「プロレス以外で、こんなに仕事ができるとは」(ジュン)
――デビューから破竹の活躍ぶりで、今では人気、実力ともに全日の“看板”とまで言われるほどに。ここまで振り返ってどんなことを感じていますか?
レイ:普通は、20代より30代のほうが年齢を重ねた分、時間が過ぎるのは早く感じると思うんですけど、自分は逆で、プロレスを始めてからのほうが長く感じています。それは、試合もそうだし、本当にいろんなことをやらせてもらって、濃くて充実した時間を過ごせているから、そういった感覚につながっているのかなって。
ジュン:俺は一瞬に感じるよ。
レイ:ホント!?
ジュン:今年でデビューして4年か。いろんなことがあって忙しかったけど、振り返ると一瞬のように感じますね。
先ほど、最初から自信があったと言いましたけど、ベルトを獲って活躍するというのが本当にイメージにあったので、なんというか、当たり前だろうっていう感覚で。だから、一瞬のように感じているのかなと思います。
それと、今「全日本プロレス」のシングルの頂点は、三冠チャンピオンで、自分がその75代目なんですけど、弟の斉藤レイより先にそれが獲れたのがうれしくてしょうがないんです。弟に先に獲られたらどうしようと思っていたので、お兄ちゃんとしてのプライドを保てました(笑)。
――やはり、兄としてのプライドがありますか?
ジュン:多少はあります(ニヤリ)。
レイ:まあ、(先を越されて)悔しいですね。
ジュン:悔しいだろう?
レイ:ちょっとイラっとしますね。でも、今すぐってわけにはいかないですけど、ゆくゆくは兄の持つ三冠ベルトに挑戦して、奪い取ってやりたいなって思いますね。
ジュン:だけど、プロレス以外でこれほどいろいろなお仕事ができるとは正直、想像していなかったですね。
レイ:そうだな。
――テレビでレギュラーコーナーを持ったり、写真集の発売やCDデビューまで果たしました。
ジュン:いずれ歌を出したいと思っていたと言いましたけど…。
レイ:まさかだよな。
ジュン:そう。自分らは、地元の情報番組『OH!バンデス』(ミヤギテレビ)さんで「TAXIめし リターンズ」というコーナーをやっているんですけど、まず、それの影響が大きかったなと思っていて。
でも、始めたころ、自分らはヒール(悪役)だったんですよ。それで、どんなふうに(ロケを)やったらいいのかわからないままやっていて。それが、こんなふうにつながっていくとは思わなかったですね。
レイ:悪役として、「タクシーをひっくり返してやるぞ!」とか「暴れてやるぞ!」という勢いでやっているんだけど、例えば、駅前なんかでロケをやっていると、みなさんが寄ってきて、おばあちゃんが「よかったら食べて」とかいって、差し入れを持ってきてくれるんですよ。それを断るなんて無理ですよね。
ジュン:いくらヒールだからといって、そういうお気持ちを断ることはできない。
レイ:そう。だからいつもありがたくいただいていました。
――ヒール(現在は卒業)なのにこぼれ出てしまう、真面目さ礼儀正しさが人気の理由のひとつでもありますが、斉藤家に家訓のようなものはあるのですか?
レイ:家訓ってほどではないですけど、両親からは、人としてすべき大事なことや当たり前のことはしっかり教えてもらいました。母もそうですし、父も何かあるとすぐに声をかけたり、教えてくれたりしましたね。
あとは、自分たちは相撲もそうですし、ずっと縦社会のスポーツ界にいるので、しっかりと挨拶する姿勢とか謙虚な気持ちとかは、変わらずに持ち続けているのかなと思います。
ジュン:年齢も性別も関係なくて、常に人にやさしく接しなさい、というのは、両親から教わったことですね。