『推しの王子様』第3話完全版
泉美(比嘉愛未)たち「ペガサス・インク」は、新作乙女ゲームの開発にむけて、水嶋十蔵(船越英一郎)率いる「ランタン・ホールディングス」に出資を持ちかけ、企画書を提出した。企画へのリアクションを聞くために、泉美は光井(ディーン・フジオカ)とともにランタンを訪れるが、応対したのはメディア事業部の小島(竹森千人)だけで、十蔵の姿はなかった。
その席で、企画のさらなるブラッシュアップを提案された泉美たちは、芽衣(徳永えり)や有栖川(瀬戸利樹)らスタッフに、先方の意向を組み込んで、もう1度、企画書を作り直すよう指示する。
しかし、再提出までの猶予は1週間足らずしかなかった。そのとき、航(渡邊圭祐)の姿がないことに気づく泉美。実は航は、会議中に居眠りを始め、そのまま会議室で眠っているという。
泉美は、航が他のスタッフが話している専門用語を理解できず、用語集を読んで勉強しようとしたものの苦戦していることを知る。
航に、物事を学ぶ意味や、その先に見える景色の素晴らしさを教えてあげたいと決意した泉美は、彼にITの専門用語集や小説などを渡し、感想を書いて提出するよう命じる。それとは別に、泉美は、ゲーム用語を題材にした穴埋め問題のプリントを日課として航に課す。
一方、光井は、航とスタッフたち――特に有栖川との関係が上手くいっていないことを心配し、間に入る気配りをしていた。
何もできないせいで制作室に居づらくなった航は、休憩スペースで穴埋め問題を解いていた。そこにやってきた杏奈(白石聖)に、頑張っても失敗したら意味がない、泉美にはできない人間の気持ちがわからない、などと愚痴る航。杏奈は、そんな航に、泉美が受けたインタビュー動画のURLを送る。その中で泉美は、何もわからないまま起業し、一から仕事を覚えていったときの苦労を話していた。
その夜、航は、初めて社長になったときのことを泉美に尋ねた。それに対して泉美は、誰でも最初はレベル1だけど勉強を続けて少しずつレベルアップすると、話せる人が増えたりして楽しい、と返す。
続けて泉美は、テーブルの上にあった本を手に取り、本を読むことで作者の考えに触れれば、自分では気づかなかったことを知ることになり、そうした積み重ねは、他人との関係においても、相手の気持ちを推しはかれるようになる、と告げる。
泉美たちは、ランタンの中核事業でもあるアウトドア事業の要素を生かすなど、先方の要望を盛り込む工夫を続け、なんとか最終プレゼン用の企画書をまとめて提出した。
すると今度は、小島と同席した第一営業部部長の野島(永山たかし)が、アウトドアの要素を抑えてほしいと、前回とは逆の要望を出してくる。さらに別の日、泉美は小島から、登場人物を増やし、人間ではないキャラクターを増やしてはどうか、と提案される。
また、小島は知らないようだったが、野島からは予算カットの依頼も入っていた。困惑した泉美は、もう一度会って話がしたいと申し出るしかなかった。
最終プレゼン前日、泉美はランタンを訪れる。すると、泉美の前には面識のない3人の社員――メディア事業部の中島(青山フォール勝ち)、営業部の木島(岸健之助)、広報戦略室の島(和田まんじゅう)が姿を現し、小島と野島はなぜか同席しなかった。
社に戻った泉美は、キャラクターの追加など、相手側の無茶な要望をスタッフに伝え、ストーリーに変更を加えずにそれに合ったキャラを出して間に合わせる方法を検討したいと告げる。
だがデザイナーの芽衣(徳永えり)は、ストーリーはキャラクターが生きているからこそ魅力的、という以前の泉美の言葉を引き合いに出し、反発。実際、予算を減らされた中でキャラを増やすこと自体、無理な状況だった。
そのやりとりを聞いていた航は、それは泉美が悪いことなのか、と発言する。泉美がみんなから責められているように感じたからだった。すると有栖川は、上っ面だけを見て適当な発言をするくらいならしゃべるな、と航に怒りをぶつける。航は、部屋を出て行き…。
芽衣や有栖川たちスタッフは、新しいデザイン案の検討や、予算の見直しに着手したものの、上手くいかずにいた。そのとき、落雷が原因で、突然の停電に見舞われる。
立ち上がった際につまずいて、転んでしまう泉美。そこにやってきたのは、ランタンを持った航だった。公園のベンチで頭を冷やしていた航は、泉美の言葉を思い出し、書店で十蔵の自伝を購入していた。十蔵にプレゼンするなら、彼の考え方を知ることがヒントになるかもしれない、と思ったからだった。それを泉美の渡す航。その本には、気になった部分にマーカーが引かれていた。
停電から復活した後、泉美は、改めてスタッフを集め、ランタン側の要望は忘れて、現時点の企画書から純粋に面白いと思うものを自由に考えてほしい、と伝える。そして泉美は、一つだけ大事にしたいことは、徹底的にユーザーの目線に立つことだと続け…。
あくる日、泉美と光井は、十蔵と担当社員たちの前で最終プレゼンに臨んだ。プレゼンの様子は、十蔵の許可を得て、「ペガサス・インク」のスタッフたちにも公開されていた。
その席で泉美は、プロジェクトが軌道に乗った段階でキャラクターを追加する方針などに触れ、その中で一番大切にしたことは、「ユーザーがどう思うか」という点だと主張する。
それは、十蔵自身がその自伝の中で主張していることでもあった。泉美の熱意に触れた十蔵は、素晴らしい企画だと返し、出資を約束する。会議の様子を見ていた芽衣たちも、喜びを分かち合っていた。有栖川は、プレゼン成功のきかっけを生んだ航に、言い過ぎたことを詫び…。
「ペガサス・インク」に戻った泉美は、改めて航に礼を言った。そんな泉美に、学ぶ意味が分かった気がする、と返す航。今まで失敗続きだった航は、何かを知る努力なんて無駄だと思っていた、と話した。すると泉美は、失敗も経験なのだから無駄でないと告げると、十蔵の考えを知ったのは航がマーカーを引いた部分ではなかったけど、と言って笑ってみせる。
その際、泉美は、出会った日に一夜をともにしたことは、内緒にするよう改めて航に釘をさす。そこで航は、あの夜は泉美がすぐに眠ってしまったために、本当は何もなかったことを明かす。
そこに通りかかった杏奈は、親し気に話している泉美と航の姿を複雑な思いで見つめていて…。
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