7月27日(火)、朗読劇「『ピース』-peace or piece?-」の東京公演に先立ち、ゲネプロ(公開稽古)と開幕直前取材が行われた。
本作では橋本良亮(A.B.C-Z)が、衛生的=正義という考え方が蔓延した社会で、「衛生」の象徴である白い服を着る若い男・レンジョウ役に挑戦。さらに本作の舞台、世界中の名水を愉しむウォーター・バーの経営者・オカモト役を篠井英介が演じる。
骨太な舞台作りに定評がある鈴木勝秀氏の演出、大嶋吾郎(ギター、キーボード)、BAN(ギター)、Grace(パーカッション)らの生演奏で、音楽作品のような朗読劇が繰り広げられる。
まずは、大嶋氏とGrace氏による、穏やかな曲調の演奏で幕を開けた。
物語の舞台は近未来。「衛生的=正義」という考え方が社会に蔓延しており、健康でいることが奨励され、病原菌の撲滅は国家の目標であった。
オカモト(篠井)が営むウォーター・バーが舞台上に静かに現れる。ウォーター・バーは、文字通り世界中の名水を愉しむバーであり、テーブルの真ん中には大きな水槽が置かれている。
そこへ、バーの常連になりかけの、白い服を着た若い男、レンジョウ(橋本)が登場。国家に忠誠を誓う印として、「衛生的」の象徴である白い服を着ている。
海への潜水に憧れているレンジョウは、水槽奥で“ヴァーチャル素潜り”をする。ふつふつと泡が吹き出す水槽越しに、美しく神秘的な表情を見せるレンジョウ。
すると冒頭の曲調から一転、激しいロックミュージックが流れ、不穏な物語の始まりを予感させる。
そして、レンジョウとオカモトによる、緩急ある会話が繰り広げられていく。要所要所で、大嶋氏とGrace氏が物語を彩るようにさまざまな音を奏で、コミカルな掛け合いで笑いを見せる場面も。
ストーリーが進むにつれ、オカモトの過去が明らかになっていく。飄々と落ち着いたトーンで話すオカモトに対し、若者らしく熱っぽく言葉を投げるレンジョウ。表情や声色に繊細さをただよわせ、自らの思いを伝えていく。
しかし、そんなレンジョウもある過去を抱えており、オカモトとの掛け合いは、次第に熱を帯びていく。
2人の緊張感高まるやり取りに、最後まで目が離せない。
最新情報は、朗読劇「『ピース』-peace or piece?-」公式サイトまで。
©️朗読劇『ピース』-peace or piece?-
撮影:伊藤智美