『推しの王子様』第2話完全版

乙女ゲームを手がけるベンチャー企業「ペガサス・インク」の社長を務める泉美(比嘉愛未)は、自身の理想通りに作った推しキャラ、「ラブ・マイ・ペガサス」の主人公・ケント様にそっくりな航(渡邊圭祐)に出会う。

だが航は、ケント様に似ているのは外見だけで、がさつで無神経、おまけに無気力な男だった。

そんな航に、乙女ゲームに出会う以前の、夢もやりたいこともなく退屈な日々を送っていたかつての自分を重ねた泉美は、彼を「ペガサス・インク」で雇うことにする。

今はまだ何者でもない航がケント様になれるかどうかを、副社長の光井(ディーン・フジオカ)と賭けた泉美は、「絶対、ちゃんと育ててみせる」と誓い…。

泉美から航を紹介された芽衣(徳永えり)や有栖川(瀬戸利樹)、マリ(佐野ひなこ)ら「ペガサス・インク」のスタッフは、ケント様にそっくりなその姿に驚きを隠せない。航は、とりあえずプランナーの有栖川の下につき、雑用から始めて仕事を覚えることになった。

ところが航は、社会人の常識どころか、漢字や敬語すらろくに知らないような有様。困り果てた有栖川たちは、このままだと大きな問題を起こしかねないから泉美にもきちんと面倒を見てほしい、と訴えた。

ある夜、仕事を終えて帰路についた泉美は、公園で野宿しようとする航を目撃する。航いわく、今までは日払いだったが月給になったことで、給料日までネットカフェに泊まる金がもたないという理由らしい。

仕方なしに、泉美は航を自分のマンションに連れて行き、家賃が払えるようになるまでの間、居候させることにする。

あくる日、有栖川は、「ランタン・ホールディングス」に提案する新たな企画を泉美や光井たちにプレゼンする。それは、スローライフを送りながら恋愛する「恋する森の中へ」という癒し系の乙女ゲームだった。

一同は、泉美の提案が提案した、それぞれ個性的な三兄弟がヒロインを取り合う、という設定を取り入れ、有栖川を中心に企画のブラッシュアップに取り組み始める。

会議の後、光井は、金曜日に予定されていたETホールディングス社長・白石(津村和幸)との会食の席に、航を連れて行けないか、と泉美に相談する。実は、白石の娘・菜美(大河原恵)が「ラブ・マイ・ペガサス」のケント様の大ファンだと知った光井は、うっかりケント様に激似の社員がいる、と話してしまい、会食の場に連れて行く約束をしてしまったのだという。

その夜、泉美は、会食に備えて、挨拶の言葉やケント様のセリフをまとめたメモを航に手渡し、覚えるよう命じる。さらに、馴染みの中華料理店でアルバイトをしている蓮(藤原大祐)の協力でフランス料理を用意してもらい、航にテーブルマナーの講習を始める。しかし航はまったくやる気がなく…。

あくる日、光井は、スタッフたちにインターンとして働くことになった杏奈(白石聖)を紹介する。杏奈は、「ラブ・マイ・ペガサス」の大ファンで、「ラブラブケント」のアカウントで公式SNSに参加する彼女の的確なコメントには、以前から有栖川たちも一目置いていた。

優秀な人材が来たと喜ぶスタッフたち。すると、杏奈を見た航が、彼女に声をかける。実は航と杏奈は幼なじみだった。杏奈は、高校中退後に行方がわからなくなった航のことをずっと心配していたのだという。

夜、航が泉美のマンションに戻ると、彼女は1人で仕事をしていた。その姿を見た航は、なぜそれほど頑張るのか、と問いかけた。もう成功しているのだから、必死に頑張らなくても良いのではないか、というのだ。

すると泉美は、一度船をこぎ出したらこぎ続けないといけない、と返し、逆に航に、いままで頑張ってきたことはあるか、と問いかける。航は、一瞬何かを思い出しはしたものの、別にない、とだけ返し…。

「ペガサス・インク」では、新しいゲーム企画の準備を続けていた。だが、キャラクターの顔一つに徹底的にこだわるスタッフたちの思いが理解できず、同じに見えるならやる意味あるのか、などと口走ってしまう航。以前から航の態度にイラついていた有栖川は、そんな航に怒りをぶつけ、やる気がないのなら来るな、と言い放つ。

その様子を見ていた泉美は、会社で働くことが難しいようだったら無理はしなくて良い、と航に告げ、明日の会食だけは出席してほしいと頼む。

翌日、光井は、キャラクターのデザイン画を見ていた航に声をかけ、休憩室に誘った。そこで光井は、泉美が本気で航を育てようと思っていること、そしてそれは、泉美自身が何者でもなかったころの自分を知っているからであることを告げる。

ゼロからスタートした泉美は、一生懸命頑張ってゲームをヒットさせ、今の日高泉美という存在になったが、それで終わりではなく、どんな評価も受け止めて、これから先もずっと進んでいかなければならない、という光井。航は、それを聞いて、「一度船をこぎ出したら、こぎ続けないといけないんだよ」という泉美の言葉を思い出し…。

白石社長との会食の日、思わぬ事態が起きた。光井が、ゲームイベントで起きたエラーに対処しなければならなくなり、会食に参加できなくなったのだ。泉美が航と一緒にフレンチレストランを訪れると、そこに、泉美が以前勤めていたゲーム会社「ゼウス」のプランナー・井上(池田良)の姿があった。井上は、タイアップの話を進めるため、「ランタン・ホールディングス」の社長・十蔵(船越英一郎)と会うのだという。

そこへ、白石が娘の菜美を連れてやってきた。航は、覚えてきた挨拶の言葉と、ケントのセリフを披露し、菜美を赤面させる。

泉美たちが仕事の話をしている最中、航はずっと肉料理と格闘していた。その時、飛び跳ねた肉が菜美の顔を直撃するというアクシデントが…。慌てて菜美に駆け寄る泉美と、焦りのあまりケント様のセリフを口にする航。白石は、泣きだしてしまった菜美を連れて店を出た。

頭を下げ、白石たちを見送っていた泉美に謝る航。そんな航に、泉美は、航のことがなくても条件が合わなかったから断られていたと思う、と言って首を振った。

そこに、十蔵と井上がやってきた。どうやら、「ゼウス」とのタイアップの話は上手くいかなかった様子。泉美に気づいた十蔵は、先日、「ランタン・ホールディングス」に押しかけてきた際の泉美のスピーチを褒め、改めて企画について話を聞かせてほしい、と告げて帰っていく。

十蔵を見送って戻ってきた井上は、泉美に噛みついた。泉美の実力が認められたわけじゃない、クリエイティブなことはスタッフ任せで手柄だけ総取り、などと暴言を吐く井上。

すると航は、近くに置いてあったデキャンタの水を井上の頭にかけてしまう。「人を不快にしないのがマナーだと教わりましたので」と平然と言ってのける航に、思わず笑ってしまった泉美は、彼の腕をとって店から飛び出す。

あくる朝、航は、もう少し「ペガサス・インク」で頑張ってみたいから、いろいろ教えてほしい、と泉美に告げる。

出社し、有栖川たちにこれまでの態度を詫びる航。そのとき、泉美のもとに十蔵から電話が入る。来週、企画を持って来てほしい、という連絡だった。それを知ったスタッフたちは、新しい企画「恋する森の中へ」を絶対に実現させようと盛り上がり…。

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