フジテレビュー!!編集部おすすめ!“目の保養”となるような麗しい男子を紹介する「眼福♡男子」。Vol.36となる今回は、強い光と鋭さをもち合わせた圧倒的な目ヂカラで、映画、ドラマと活躍する神尾楓珠が登場。
公開中の映画「ビューティフルドリーマー」では、「その作品を撮ろうとすると、必ず恐ろしいことが起こる」といういわくつきの台本をもとに、映画制作に挑む大学の映画研究会の1人・カミオ役を演じている。
同世代の俳優や、舞台で活躍する個性派俳優が集結した撮影の裏側や思い出、そして、気になるプライベートをインタビューした。
映研メンバーで話し合いを重ねながら、キャラクターをつくり上げていった
――この作品は、本広克行監督が新たな試みとして完全な脚本を用いず、おおよその筋だけを立て、現場で口頭の打ち合わせのみで芝居をまとめる“口立て”を取り入れて完成したものだそうですね。カミオ役を演じた感想から聞かせてください。
演じているという感覚はまったくなかったです。役名もカミオだし、キャラクターも自分に近い雰囲気だったので。きちんとした設定がないことが最初はやりづらかったんですけど、そのことが逆効果となって、普段の僕たちの空気感がそのまま出ていると思います。
――映画研究会のメンバー6人にはカミオ役の神尾さんほか、サラ役の小川紗良さんなどが扮していますが、皆さんとはどうやって空気を作っていきましたか?
全編にわたって、エチュード(即興劇)で作っていくということだったので、あらかじめリハーサルというか稽古みたいなものがあったんですけど、その中で「よくわからないね(苦笑)」とか「これは何がしたいんだ?」という疑問や愚痴を含め、どんなふうにやっていこうなどと話し合っているうちに、気付いたら空気感ができていたという感じです。
――愚痴もあったんですか!?
かなりありました(笑)。僕たちなりに考えてお芝居を提案しても、本広監督から「いや、そうじゃない」とダメ出しをされて。「お芝居をきちんと作り込むことによって、脚本になってしまう」という理由だったんですけど、「じゃあ、どうしたらいいんだ…」ってみんなで困り果てていました。
――通常、あるはずの台本が本当になかったんですね。
決まっていたのは、大まかな流れと要所要所のセリフだけでした。そこへきちんと向かうように、自分たちでお芝居をつくっていくという、新しいやり方でつくられた作品なんです。
――“口立て”を経験してみた感想は?
本番直前に監督から、「このセリフを言って」とポンと受け渡されるので、臨機応変にやっていくしかありませんでした。キャラクターも自分たちでつくらなきゃいけなくて、僕自身はそういう経験がほとんどないので、すべてが手探りで難しかった。でも、舞台を主戦場とするモリタ役の森田甘路さんや、ウチダ役の内田倭史さんはそういうことにとても慣れているので、さすがの対応力でしたね。
――カミオのキャラはどんなふうにつくり上げていったんですか?
いろいろ試した結果、普段の僕たちの立ち位置のままでやろうとなったので、特に作り込むこともしませんでした。普段、複数でしゃべっていて、全員が全員しゃべることってそんなにないじゃないですか。話す人もいれば、皆の発言を黙って聞いている人だっていますよね。だから、カミオはたまにしゃべるぐらいでいいと思い、そんなキャラクターにしました。
シーンと静まり返った本番中にハプニングが発生!「ダッシュで現場を離れました(笑)」
――そうやって完成した作品を見た感想は?
強いメッセージ性などが込められているわけではないのですが、この映画を見たら改めて夢を追いかけたくなったというか、仲間と一つの目標に向かって熱くなることを思い出しました。最近は、同世代のキャストだけで演じることもあまりないので、高校の頃の文化祭とか思い出して、ちょっと懐かしい気持ちになりました。
――撮影中のハプニングなどがあれば聞かせてください。
僕たちが撮る映画のキャストとして升毅さんが出演されていて、とてつもない長ゼリフを言うシーンがあったんです。映画研究会のメンバーはそのシーンには出ていないのですが、見学させていただこうということになって。
緊迫感たっぷりの張り詰めた空気の中、いきなり僕の喉が鳴って、真剣に見なきゃいけないのにツボに入って面白くなっちゃったんです。でも、1人が笑い始めると間違いなく伝染してしまうので、迷惑をかけちゃいけないと思って、現場からダッシュで離れました。
――その音は皆さんにも聞こえてたんですか?
気づかれてましたね(笑)。甘路さんやシエリ役のヒロシエリちゃんは面白いことが大好きな人だから、そういうものを目ざとく見つけると絶対にツッコんでくるんですよ。みんながそれをガマンしているんだと思ったら、さらに面白くなっちゃったです。
――こちらは、升毅さんと人形がにらみ合うシーンに大爆笑してしまいました(笑)。
あれは僕たちもカメラの横で笑ってました。
――人形は神尾さんに負けず劣らず、いい目ヂカラをしていましたね。
あの目、僕が描いたんですよ。
――絵が得意なんですか?
そういうわけじゃないんですけど、なぜか僕が描くことになったんです。
――映研メンバーが映画制作に夢中になったように、何かに熱中した経験はありますか?
12年もやっていたので、やっぱりサッカーになります。中学生の時、この試合で負けてしまったら次へ進めなくなるという大会があったんですけど、後半終了ギリギリに僕がボレーシュートを決めて勝ったことがあったんです。あれはめちゃめちゃ嬉しかったですね。
実はその頃、スランプに陥っていて、何をやってもうまくいかない時期だったんです。サッカーに飽き始めていたのかプレーに身が入らなくて、チームメイトからは「ちゃんとやれよ」みたいなことを言われ、目の敵にされ、期待もされていなくて。
反論するのも面倒くさいし、そのままにしていたら、プレー自体もうまくいかくなっていたんですけど、あのゴールを決めたことでサッカーへの情熱をとり戻すことができました。
――そんな時期を経験したからこそ、仲間と一つになることの素晴らしさをこの作品でも思い出したのではないでしょうか。では、本作で一番見てほしいのはどんな部分ですか?
やはり僕たちの空気感です。リアルなのか芝居なのか分からない、6人で作り上げた世界観にぜひ注目してほしいです。
自粛期間中に料理を始めました。得意料理はハンバーグやカレーです
――ここからは、神尾さんの素顔についてお話を聞かせてください。今、一番楽しいのは何をしている時間ですか?
友達とカラオケに行ったり、お酒を飲んだりしている時が楽しいです。
――今もサッカーやフットサルをプレーすることはあるんですか?
この間、久しぶりにやりました。でも、めっちゃキツかった(苦笑)。日常生活をしている分には気にならないんですけど、いざ体を動かしてみたら、「うわっ、こんなに体力なくなってるんだ」って。開始1分で足がもつれて、コケちゃったんです(笑)。
――普段、トレーニングや体力づくりは?
まったく。体を柔らかくしたいので、ストレッチを始めようかなと考えているところです。筋トレをやろうと思ったこともあったんですけど、1人だとなかなか続かなくて。
――今年は遠出などもなかなかできなかったと思いますが、すべて自由になったら何がしたいですか?
旅行へ行きたいですね。ライセンスを取ったので、沖縄の海でスキューバダイビングをやりたいです。
――20歳を迎えた時に突然、コーヒーや炭酸、辛いものが食べられるようになったと味覚の変化があったそうですが、21歳となった今、大人になったと感じることはあありますか?
親にきちんと感謝の気持ちを伝えられるようになりました。今までは恥ずかしくて「ありがとう」が言えなかったんですけど、素直に口にすることができるようになったし、「誕生日おめでとう」も言えるようになりました。これは、ひとり暮らしを始めたことが大きいです。
――家事もきちんとやっているんですか?
毎日というわけにはいきませんが、洗濯や掃除、時間がある時は自炊をするようにしています。料理は自粛期間にするようになりました。
――どんなお料理をしているのか気になります。
カレーとかハンバーグとか、本当に簡単なものですよ。
――ハンバーグは意外に手間がかかりますよ。
めっちゃ時間がある時か、どうしても食べたいって思った時だけです。
――それをご両親に作ってあげたら、かなり喜ばれると思います。
喜びますかね?逆にすっごい文句言われそう(笑)。
――では、そんな神尾さんの“眼福”な存在は?
アニメかな。アニメを見ている時だけは、何も考えずにリラックスできています。好きなのは、『BANANA FISH』や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』、『PSYCHO-PASS』です。
――最後に今後の展望を聞かせてください。
僕はこの世界でこうなりたいとか、これだけは絶対に成し遂げたいという目標がなくて、でも、だからこそ自然体でいられると思うんですよ。希望はこのまま流れにまかせて、気が付いたらこうなっていたんだと感じること。そのタイミングを楽しみに待っています。
プライベートでは、余裕のある人になりたいですね。そして、いつか父親になった時には、子どもから尊敬される大人になることが理想です。
「ビューティフルドリーマー」
テアトル新宿、シネ・リーブル池袋ほかにて全国順次公開中
配給:エイベックス・ピクチャーズ
©2020 映画「ビューティフルドリーマー」製作委員会
撮影:河井彩美