12月5日(土)23時40分より、真矢ミキ主演、フジテレビ系オトナの土ドラ『さくらの親子丼』第8話が放送される。
真矢演じる九十九さくらが、温かい食事を通じて問題を抱えた子どもたちを受け止めていく物語。第8話では桃子(名取裕子)らが弁護するシェルターに暮らす希望(清水香帆)が、虐待で父親を訴えた裁判が大詰めを迎える。
今作の舞台である民間子どもシェルター「第2ハチドリの家」を主宰する弁護士・三谷桃子を演じる名取は、前作に引き続いての出演。
その素顔はとてもフランクで、スタッフとともに現場を楽しんでいる様子。名取が思う桃子のイメージや、真矢との再共演について、ドラマを通じて感じたことなどを聞いた。
<名取裕子 インタビュー>
――三谷桃子という役どころを、どんなふうに演じていますか?
『さくらの親子丼』には、2シーズンに渡って出演させていただいて、桃子先生のことがだんだんわかってきました。
「ハチドリの家」のために投資をして、それで得たお金や私財をつぎ込んでいたり、パートナーが欲しいと思いお見合い倶楽部に入ったり、恋するさくらさんにヤキモチを焼いたり…。今回は、桃子先生の“人間味の部分”も楽しんで演じています。
――弁護士として、常にシビアな現実に直面していますね。
桃子先生は、弁護士ということもあり、現状の法律の範囲でできることをコツコツやっています。今まで何度も現実を見てきたので、情に流されているだけでは救えないですし、数多くの子に手を差し伸べることもできないことがわかっていて。最大限できることをしようと、本当に大きな気持ちで子どもたちを包んであげている人です。
服もとても質素で、「格好良く見えないように」と衣装さんと相談して3、4着を着回していますが、撮影途中に衣装替えをしても誰も気づかないほどで…(笑)。
でも、それくらい最低限のもので生活して、そのほかのお金はとにかく子どもたちのために回している桃子先生に見えたらいいなと思っています。
――作品を通じて感じたことはありますか。
傷ついた子どもたちを「もっと抱きしめたらいいのに」と思っていたのですが、不必要に触れて抱きしめるのではなく、距離を保ちながら大きく見守ることが大事だということを学びました。
大人としての対峙の仕方として、やさしくするだけではまた悪い道に行ってしまうこともあると気づかされて。自分の足で立って、自分の頭で考えて、自分の目で見て選べるように、自分にとって必要なことが抽出できるような環境を見つけられるように力を貸すことがとても大事なんですよね。
桃子先生は弁護士なので、その中でできることを探り、距離を取りつつも深い愛情で守っていて。さくらさんと桃子で、子どもたちの安らぎを与える翼になればと思っています。
――真矢さんとの再共演は、いかがですか?
真矢さんがどんどんさくらさんと重なってきています。今回は、さくらさんの恋の妄想が膨らんでいくような人間味のある部分も描かれているので見ていて楽しくて「やはり、何歳になっても女子の部分はあるんだな」と思えたり(笑)。
真矢さんは、普段からとても気配り、心配りのできる方で、回を追うごとに子どもたちとの絆が強まっているように見えます。さくらさんは、真矢さんにとってライフワークになる役なのかなと思います。
――撮影現場でのエピソードを教えてください。
私が出演している『法医学教室の事件ファイル』(テレビ朝日)は、シリーズ47作になるんですが、初期の頃にカメラアシスタントだった方が、今回の『さくらの親子丼』でメインのカメラマンでいらして。
「あんたのこと、こんな小さいときから知ってるんだからね!」と冗談を言ったりしていました(笑)。
私もこの仕事を40年以上やっているので、自分の知っているスタッフさんの成長を見るのはうれしくて「こんなに立派になって…」と幸せな気持ちになります。
そんな頼もしいカメラマンさんや照明さん、小道具さんがちゃんと仕事を任されて、私たち演者はそういうみなさんに支えられている。
特に今は、コロナ禍でとても大変な時期を乗りきらねければならない。その努力と愛情は、本当にありがたいと思っています。
――名取さんは『さくらの親子丼2』のとき、現場に手料理の差し入れをされてキャスト・スタッフを労っていたと聞きました。
さすがに今は、コロナ禍でそういうこともできませんよね…。スタッフのみなさんは、夜遅くに寝て、朝の5時くらいには家を出るような毎日だろうと想像して。
その中で寒い時期なら温かいもの、暑い時なら少し冷たいものがあったらいいかなと。「自分が欲しいものは人も欲しいかな」と思う気持ち、それだけのことです。一生懸命取り組んでくださる仲間を大事にしたいと思っています。
――さくらさんが作る親子丼のような気持ちですね。
寒い現場でスタッフと一緒に食べる温かい豚汁や甘酒など、心まで温まるような、思いやる気持ちを形に表すものがそこにあると、心にも記憶にも残ります。今はできませんが、現場は大鍋で作った豚汁やおでんなどを作ってくれていて、それを目当てに頑張っているところもあります(笑)。
――最後に、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
今の自分の環境を見つめ直すきっかけになるドラマだと思います。コロナのこともあり、世の中が混とんとしている中、力の弱いところに一番しわ寄せがいくのはつらいことです。
実際に、ハチドリの家のような子どもシェルターで、子どもたちを救おうとしている方たちもたくさんいらっしゃって、少しずつ解決へ導いてくれる大人がいるということをこのドラマで知ってもらえるといいですね。作品としても面白いですので、ぜひ見ていただきたいです。
<第8話あらすじ>
ハチドリの家で子どもたちと仲良く暮らしている大樹(細田佳央太)。岡林(鶴見辰吾)は、さくら(真矢ミキ)に、大学受験を控えているときにハチドリの家が大樹を惑わせていると非難する。
一方、希望(清水香帆)は、次の裁判で本人尋問を控えていた。父親は、次期市長選に立候補するため虐待を認めるわけにはいかず、母親も雪乃(新川優愛)たちに会ってはくれない。
そんな中、さくらのぎっくり腰がきっかけで、希望が裁判を起こした理由が判明する。