「やればできる!」でおなじみ、ティモンディの高岸宏行が、6月のとある日、フジテレビのスタジオ…ではなく、ナレーションを録音する部屋にいた。いつものオレンジ色のいでたちで、原稿を手に気合を入れている。

高岸がVTRのナレーションを任されたのは、6月26日(土)15時30分~フジテレビで放送される特別番組『東京五輪 ライバル物語~勝者の敗者も思い詰まった夢舞台へ~』だ。強豪・済美高(愛媛)野球部出身の元球児で、一時はプロを目指したが断念し芸人になった高岸。今回は、初挑戦ながらも「ナレーションという形で選手たちにエールを送りたい」とオファーを快諾したという。

「ナレーションを通じてエールを送りたい」

高岸が担当するVTRは、新体操日本代表(フェアリージャパン)の鈴木歩佳選手の挫折から復活を追ったものと、野球日本代表(侍ジャパン)が歩んできた五輪における激動の軌跡を描いたものだ。野球のVTRでは、稲葉篤紀監督が現役時代、北京五輪(2008年)でメダルに届かず悔し涙を流したシーンも振り返る。涙といえば、高岸は去年、東京・神宮球場で行われた「ヤクルト―広島」戦の始球式で、感極まって号泣したことが記憶に新しい。今回、高岸を紹介する部分でそのシーンが収められていた。

高岸がいざナレーションを読み始めると、制作スタッフの表情が笑顔に。初挑戦にも関わらず思いきった勢いのある読み方に、「いいですね」「味がある!」と絶賛していた。途中、イントネーションに悩む場面もあったが、おおむねスムーズに進んでいく。

侍ジャパン・稲葉監督がスタジオに「やればできる!」をどう読むか?

野球のVTRの最後のナレーションは、「やればできる!」だった。まずは自由に読んでください、と指示された高岸はしっかり抑揚をつけて読みきった。しかしその後、ディレクターから「スタジオには、稲葉監督が生出演していて、このVTRを見ています。それをふまえてもう一度お願いします」との声が。高岸が「そうですか!」と改めて気合を入れて録り直すと、ディレクターは「ばっちりです、これでいきましょう!お疲れ様でした!」と労い、無事に収録は終了した。

収録後、さぞかし手応えを感じているのでは?とフジテレビュー!!が高岸に感想を聞くと、意外な答えが返ってきた。

「無駄に考えずに、気持ちで乗り切りました」

「ナレーションはど素人ですから、技術的な手応えなんて、そんなことを言うのは生意気なことです。ただ、常日頃(つねひごろ)から、僕は“応援するため”にこの仕事をやっているので、今回はナレーションを通じて応援、鼓舞しようと思って読みました。難しいかどうか、なんて思えるレベルに至っていませんから、無駄に考えずに、とにかく気持ちで乗り切りました!」

野球のVTRで稲葉監督がスタジオにいると聞いて、読み方が変わったように聞こえたが、高岸は「監督がおられるんだ!と気持ちが入りましたが、僕は選手、監督…“皆さんを応援する”という思いは変わらなかったです」と振り返った。

あくまでも皆を「応援する」スタンスがぶれることはなかった高岸。ナレーションの仕事は楽しかったそうで「いい現場でした。またスポーツ番組のナレーションをやってみたいです!フェアリージャパンのVTRでも“うまくいかない時も前を見てあきらめないかぎり、必ず輝ける時が来る”と再確認できました。とにかく放送が楽しみです」と語り、現場を後にした。

気持ちで読み切った!という高岸の熱いナレーションに乗せ、選手たちの“ストーリー”をじっくり堪能できる今回の特番に注目だ。