フジテレビュー!!編集部おすすめ!“目の保養”となるような麗しい男子を紹介する「眼福♡男子」。Vol.42に登場してくれたのは、声優、音楽活動と幅広く活躍する増田俊樹。

声優としては、アニメ「刀剣乱舞」の加州清光役や「アイドリッシュセブン」の和泉一織役、「僕のヒーローアカデミア」切島鋭児郎役など、さまざまな役柄を演じて人気を集めている。

一方で2019年には個人名義でのCDデビューも果たした。その透明感のある声は、青みを帯びた少年性も陰影を含んだ大人の艶もまとっていて、一聴で聴き手の心をぎゅっと掴んでしまう。

そんな彼が12月21日に写真集「Re」を発売。写真集としては「Clear mind」(2009年発売)以来、自身2作目、実に11年振りとなり、屋久島でのオールロケで制作された。ひとり旅をそっと覗き見させてもらっているような、彼の素顔が満載の一冊。

30歳という節目の年に発売されたこの作品について、さらには声優という仕事をしていく中で心がけていることなど、いろいろと語ってもらった。

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普通の30代男子ですよ、良くも悪くも(笑)

――写真集は30歳の節目での新たな挑戦、という意味合いもありましたか?

元々、お話自体はだいぶ前からいただいていたのですが、出すとしたら何かの記念や、節目のタイミングでないとコンセプトが持てないかな、と思っていて。そういった意味で、30歳になった時に発売させていただけたら嬉しい、というお話はしていました。

――ロケ地の屋久島の印象は?

初めて行ったのですが、イメージ通りで、とても自然が豊かなところでした。日本国内に島はたくさんありますけれども、屋久島は屋久杉などで有名な人気スポットですし、たくさんの人が訪れて発展もしていると思うんです。なのにしっかりと自然を残し続けているのだなぁと感じました。

――自然があり、神秘的な場所ですよね。そういう場所は好きですか?

自然があって神秘的なところはこれまで行ったことはなかったのですが、パワースポットとかは好きです。ただ自然の中のパワースポットというと、日本の中でも…たとえば富士山だとか、数が限られてくるなぁと。それでいて短期間でいろいろなロケーションを回れて、普段はなかなか行けない場所、という点から屋久島を選ばせていただきました。

――撮影中、特に印象に残っているロケーションは?

通常版の表紙にもなっているのですが、有数のウミガメの産卵地になっている永田いなか浜です。そこで夕景を撮らせてもらったのですが、最初に撮る予定だったタイミングは、日差しの雰囲気や雲の形、波の高さ、いろんな部分を考えて、もう一回仕切り直してみようって話になり、次の日にもう一度そこへ行って撮ったんです。

そうしたら、前日より波も穏やかになっていて、日の光も抜けが良くて、このタイミングで撮らせてもらって良かったと思えたこともあり、印象に残っています。僕自身、海も好きですし、夕景というのはとても人間の情緒に訴えかけるシチュエーションでもあるので、個人的に思い出深いロケーションです。

――今作には「ありのままの自分」というテーマがあったそうですね。

これは僕自身、写真を撮られる上で、求められるものを提示することが出来ないというか…よく「笑ってください」と言われるんですけども、なぜここで笑顔なんだろうな、みたいな気持ちになるんです(苦笑)。

もちろん読者の方が笑顔を見たいというのはわかるんです。制作側の方たちも、僕に興味のある方が本を手に取ってくださった時に、きっと笑顔が見たいと思うんだろうと考えて、それを望むんだろう、と。

でも、僕としては、何で笑顔をするのかな?という気持ちを毎回抱えていて。楽しければもちろん笑顔になるし…あ、それは撮影現場が楽しくないというのではなく、撮影というもの自体が、自分の中では喜怒哀楽の“喜”というものではないかな、と。

いいものが撮れたらいいな、と思いながら、カメラマンさんや出版社の方たちとのセッションで作っていくものだと思うので、いきなり笑顔で、と言われると、何か疑似的に作られたもののような気がしてしまうんです。

という意味で、屋久島のような自然なロケーションで、自然なカットを撮るんであれば、僕は無理な表情作りはしなくてもいいので、それを前提に撮りたい、という話をさせてもらいました。

ありのままの自分っていうのをコンセプトとして、ごく自然に、屋久島で過ごす数日間を盗み撮ったようなカットを一冊にまとめられたらいいな、と思ったんです。僕という人間がメッセージ性のある表情の出来る人間だとは思っていないので、もし写真集を出すなら、そういうコンセプトであると助かるな、と。

――増田さん自身が分析する、ありのままの自分とは?

もう、普通の30代男子ですよ、良くも悪くも(笑)。達観した部分もあれば、子供っぽい幼い部分もあって。お仕事先の偉い方にお会いすればもちろん丁寧に接しますし、旧友に会えば30だということを忘れるくらいはっちゃけますし。そういった人間です。多分皆さんが思っている以上に、どこにでもいるありふれた男性かな、と感じていますね。

読者にけんかを売っているモノクロ写真が好き

――今回、撮影に向けてかなり体を絞られたそうですね。

一番は食事制限ですね。といっても少し量を減らすくらいですけど。日本でいわゆる一人前と言われるものを朝昼晩食べると、必要な摂取カロリーをオーバーしてしまうので、それを少しずつ減らしつつ、たんぱく質、糖質、脂質のバランスを考えて食べるようにしてます。

――ご自身でも料理はしますか?

外で食べると細かな成分までなかなか計算出来ないので、出来る範囲でしています。その上で、もちろん運動もしています。最初はジムのパーソナルトレーニングに通って、そこで筋トレのメカニズムや、大まかな知識を教えてもらったので、パーソナルも継続しつつ、自分で培った知識のもと、自分なりのトレーニングもしています。

――増田さんの「眼福なもの」を教えていただけますか?

屋久島ロケのオフショット写真です。僕は正直、人物写真が、見るのも撮られるのも好きじゃなくて。写真集のプロモーションでこんなこと言うのもすごく失礼なんですけど(笑)、被写体としての人間の表情ってものに元々そこまで興味がないんです。

それよりは、シルエットだったりロケーションだったりに興味があって。この写真はスタッフの人に撮ってもらったのですが、眼福なところはまず、屋久島というロケーションですよね。あと、僕は色味の中でもすごく青が好きで、淡い水色から濃い群青まで、どの色合いも好きなんですが、そういった色が入っているところ。それと、どこまでも澄み渡る水平線の海もとても好きなので、そんな3つの好きなものが入っているのが、いいなぁと。

さらにはシルエットで自分が写っていて…まぁ、努力してきた自分の体のシルエットが、ポージングもあって綺麗に出たかなって。だから撮ったものを見せてもらった時、これが好きだとスタッフさんに伝えて、すぐ自分のスマホに送ってもらったんです。自分もいる中で、自分の価値観に近い、好みの1枚なので、嬉しいなって思った写真ですね。

――風景の一部としての自分、みたいな立ち位置がお好きなんですね。

そうですね。自分が撮られる時って、どうしてもフォーカスが自分じゃないですか。そこに、なかなか自信を持って好きだって言えるものが少ないので、そういう意味で苦手なのかな。バックボーンやロケーションの感じられる写真を、いいなぁと思います。あと、この写真集に少し入ってますけど、モノクロの写真も好きですね。ちゃんと読者にけんかを売れてるというか(笑)。

――えっ、けんかを売っているのですか?

というか、何か1枚の作品ですって、プライドを持って提示するようなイメージなんですよ、モノクロって。要するにカッコつけるってことなんですけど、なぁなぁでは出さないという確固たるものを感じるので。読者と向き合うって意味で、けんかを売れてるな、と(笑)。単純に好きっていうのもありますけどね。

音楽活動は今の自分が持っていないことでも挑戦出来る

――声優の仕事を始めてから約10年が経ちますが、さまざまなキャラクターを演じる中で、一番心がけていることはなんですか?

心がけたいこと、でもいいですか?心がけたいのは、感情に嘘をつかないことです。戯曲なので、やっていること自体が嘘というか、フィクションじゃないですか。でも、その中に本当があってほしいというか、本気で本当にやった嘘であってほしい。怒ってるふりなんて、悲しいなぁって思いますから、本気で怒って、本気で悲しんで、本気で笑いたい、というのは、いつも思ってます。

――台本や原作などはしっかり読み込みますか?

うーん、あんまり読み込まない方ですね。多分人それぞれだと思うんです。読み込んで、ここのタイミングでこれだけの感情の湧き上がりを本番で表現したいと思った時に、その熱量だとこういう自分の揺り動かし方なのかなと考えて、それを当日引き出してくる人もいると思うんです。

けど、僕としては作品の中では自分ひとりで話しているわけではないし、自分ひとりで生きているわけでもないので、怒るんだったら怒らせてほしいというか。他者に対して怒るんだったら、そういう状態を作ってほしいし、自分に怒るんだったら、それまでの過程っていうのはストーリー上にあるわけですから、それに寄り添いたいっていうのがあるので、出来る限り自分の中で固め過ぎないようにしてます。

あんまり自分に柔軟性がないので、決めつけ過ぎずに現場に臨んだらいいのかなって気持ちで、いつも台本を読んでます。

――他のキャストやスタッフの方たちとディスカッションしながら進めていきたいと。

それが希望、ですかね。やりとりの中でワクワクするような…演じたあとで、何だろうね今の、っていうような瞬間が僕は好きですね。

――偶然や瞬発力や、いろいろなものが生み出す奇跡、みたいなものですね。

舵を取る監督、演じる役者含めて、それぞれ違う人間が同じステージで同じ方向を見つめた時に出てくるシンクロ感というか、シンパシー感というか、そういうのがぴったりハマるときが面白いなと思います。

――音楽については、どんな活動をしていきたいと考えていますか?

歌を歌っていく中では、やりたいことが昔よりもどんどんブラッシュアップされてきたのかなと思いますね。1stEP、1stアルバムを通して、手さぐりで勉強してきて、こういう道はないのかなとか、逆に、あぁ実はこういうものも自分の引き出しにあるのかなとか、少しずつわかってきました。

芝居に関してもそうですけど、特に音楽は、元々在る自分という楽器の中で、出来ることと出来ないことって絶対あって。役の場合はそれに合わなければ選ばれないと思うんですけども、個人名義の音楽というジャンルであれば、もし今の自分が持っていないことでも挑戦は出来ると思っていて。

なので、これまでいろいろなお仕事で得たことをふまえて、ここからは自分の持っている楽器をどれだけ深堀り出来るか試してみたいですし、他人に負けない楽器の主張が出来たらいいな、と思っています。

――残念ながら2020年3月のライブは昨今の状況で中止となってしまいましたが、次回やる時はどんなものにしたいですか。

毎年、誕生日付近に、応援してくださる皆さんと感謝を交換し合う場を持てたらいいな、ということで20代からいろいろな形で開催してきて、2020年はライブという形を取る予定だったんですけども。

30歳になり、もう歳を取って祝われるのも少しこそばゆいと感じてきたので、次は誕生日だとかアルバムリリースとかっていうんじゃなく、単純に開催出来なかったことによるいろんな気持ちをもう一度リアルに、ライブを通して共有出来たらいいなって思います。

――最後に、2021年挑戦したいことを教えてください。

今思ってるのは、自動車免許が取りたい。と言いながら、運転も車も全く興味なかったんですけど、自分の時間で、自分の歩幅で…車ですけど(笑)、移動出来る手段が欲しいなって思ったんです。

普段、電車とかで移動していると、決められた時間内で、大多数と距離感を合わせて移動するわけじゃないですか。でも、自分だけの空間の中で移動したいなって気持ちが芽生えて来て。実は25、6歳の頃、一度教習所に通ったことがあったんですけど、実技の一発目で、これ絶対事故るなって思って、怖くて辞めちゃったんですよ(笑)。

まぁ、あの頃に比べると性格も変わってきたなと思いますし、今だったら運転出来る気がするなって。車の運転をするという怖さと向き合える歳になってきたのかなぁと感じたので、満を持して免許を取りたいと考えています。

取材・文:向出早那 撮影:河井彩美

増田俊樹写真集「Re」の詳細は公式サイトまで。