なぜ“死後離婚”が増加傾向にあるのか?注意点は?
なぜ死後離婚が増えているのでしょうか?離婚や相続問題に詳しい、園田由佳 弁護士はその理由についてこう話します。
園田由佳 弁護士:
結婚について、家同士の結びつきという考え方から、個人と個人の結びつきと捉え方がかわっていったところに、義理のご家族との不仲みたいなそういう事象が重なると、こういう選択を取られる方が増えてきたと。
死後離婚を行うと、何が変わるのか。まず、親族ではなくなるため、「扶養義務」がなくなります。さらに、お墓や仏壇の管理、法要の主宰などを行う、祭祀承継者を他の親族に引き継ぐこともできます。
死後離婚を決意したケースには、嫁いだ先で犬の毛が大量に混ざった食事を出されたり、退院直後の体調が優れないときに車を運転させられたりと、結婚後20年以上にわたって不条理に耐えてきたというものも。手続きを終えた後は、「ものすごい開放感だった」と話していました。
さらに、死亡した妻の高齢の母親と暮らしていた男性のケースでは、義母の介護を続けていましたが自身も高齢になり、いわゆる「老老介護」状態になっていたそうです。
そこで同居を解消し、介護を他の親族に引き取ってほしいということで死後離婚を決意しました。
死後離婚の手続きは、「姻族関係終了届」に名前や住所などを記入し役所に提出するだけ。
子供や親族は行うことができません。また、義父母の了承や保証人は必要なく、義父母などに知らせないまま死後離婚することも可能です。
――親族や義理のご両親はどのタイミングで知るのですか?
園田由佳 弁護士:
この手続き自体は届け出を出しても義理のご家族への通知みたいなものは一切ないんです。なので、何もしなければずっと気付かないことになります。
関係性を絶ちたい方は、「そういう手続きを出しました」と自ら宣言される方も多くいらっしゃいます。
――手続きの前に気をつけることは?
一度届け出を出してしまうと、後からの取り消しはきかないので、そこに注意が必要です。
そのときの関係性の悪化を絶ちたいと出してしまったんだけど、よく考えると義理のご両親と自分の子供、つまり孫との関係はつながったままなんです。
そこの関係性にこじれが発生してしまうことはありますので、ご両親と孫の関係は大丈夫かなというのは確認していただかなくてはいけない。
死後離婚しても、配偶者の遺産相続や遺族年金の受給に影響はありません。
ただし、義父母の遺産相続となると、長年義父母の介護などをしていた場合、義父母が亡くなったら相続人以外の親族でも遺産に対して金銭を請求できる「特別寄与料」という制度がありますが、死後離婚すると親族という立場ではなくなるため請求ができなくなる可能性があるそうです。
――改めて、どんな点に注意が必要ですか?
園田由佳 弁護士:
手続き自体は本当に届け出を出すだけで簡単にできますし、その側面だけ見るとさほどデメリットがないように見えるのですが、後から取り消しがきかないので、姻族関係終了届を出すことによって、どういった悩みを解決したいのか。そこを冷静にじっくり考えていただくことを強くオススメしたいと思います。
(『めざまし8』 2024年9月5日放送より)
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