2024年8月現在、約3組に1組が離婚している日本の夫婦。
厚生労働省によると、離婚件数自体は20年で約4割減っている中、同居期間が20年以上の夫婦が離婚する「熟年離婚」が、離婚した人のうち23.5%と過去最高になっているといいます。
増加の理由の一つとして、一般的に50代後半で年齢で役職が外れ給料も下がる「役職定年」を、企業に勤める夫が迎えたことにより、離婚へと至るケースがあるといいます。
なぜ「役職定年」が離婚につながるのでしょうか?離婚に関する書籍を出版するなど、離婚問題に詳しい田村勇人弁護士に話を聞きました。
田村勇人弁護士:
今までは、離婚の相談に来ても最終的に踏み切らない方はいたんですが、そういう方が離婚に向けて実際に動くようになってきたことと、さらに、タイミングが早くなってきています。それが「役職定年」のタイミングなんですね。今までは定年のタイミングだったのが、役職定年のタイミングで離婚に動き出される方が増えています。
◆ 50代男性 役職定年をきっかけに…
一般企業で部長として働いていた50代の男性。ある日上司から、役職定年となることを告げられます。給料は半分近くまでダウン、今までの仕事は後輩に引き継ぐことになりました。
幸い子どもは自立していたため、妻には「ふたりで仲良くのんびりやっていこう」と話したものの、男性はこれまでの雰囲気から一転、元気がなくなっていきました。
給料が大幅に減ったことが影響したのか、重たくなる家の空気に耐えかねたのか、役職定年からわずか半年で、妻は財産の半分をもらい家を出てしまいました。
高齢社会の問題を調査する、公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団によると、「役職定年」になった9割以上の人で年収が減少。そのうち約4割が「以前の年収の50%未満」まで給与水準が低下してしまうというデータが出ています。
鈴木円香氏:
役職定年がきっかけみたいに見えてしまいますけど、多分それだけではなくて、それまでの生活におけるの性格の不一致だったり、小さなイライラの積み重ねとか、色んなことがあって“最後の一押し”が役職定年でというだけの話なんじゃないかなと、なんとなく思っちゃいますけど。
MC谷原章介:
それ以前に積み重なっていたことがあるということなんですかね?
田村勇人弁護士:
そうですね、元々「お金」でギリギリつながっていた人たちが、お金もなくなったことによってつながりもなくなってしまったという側面は非常に感じています。今は男性も女性も、結局結婚していなくても一人で生活できるという部分があるので、そこで「役職定年」が最後のきっかけということのほうが、多いように感じます。
MC谷原章介:
すごく分かります、人ごとじゃないと思いますよ、熟年離婚って。
熟年離婚が増えている理由は他にも「コロナ禍がきっかけ」になったケースもあるといいます。
◆ 50代の“おしどり夫婦”コロナ禍をきっかけに…
都内に住む50代の夫婦。お互いの趣味の時間などを大切にすることで、近所でも有名な“おしどり夫婦”でした。
しかし、コロナ禍になると平日はリモートワーク、休日もなかなか外出できない日々が続き、食事やテレビで何を見るかなど、些細なことでぶつかるようになってしまいます。
ついに、コロナ禍前までは円満だった2人は、離婚を決意したのでした。
MC谷原章介:
今まで一緒に連れ添った夫婦なのに、コロナ禍などで環境が変わったことで一緒にいる時のもめ事が増えたりするんですね。
田村勇人弁護士:
それは大きいです。コロナがなければ離婚もしなくて良かったなという夫婦はたくさん見ていて。やはり一番良くないのは、仕事モードでそのまま家庭に入ってしまうことによって、お互いの仲が悪くなってしまったと。
――介護もしたくないと思ってしまうほどに?
田村勇人弁護士:
介護状態になってから離婚するのは、体裁も悪いしそこまで悪人になりたくないということから、介護状態になる前に離婚に踏み切りたいとおっしゃられていた方はいました。
岸本理沙アナウンサー:
私はもちろんまだ熟年離婚についてそこまで考えられていないんですけど…、
ただ確かに最近友達と「これから付き合う人の何が大事か」というテーマで話していて、「愛かお金か」みたいな話をするんですけど、昔は「愛」一択だったんですよ(笑)。
ただだんだんみんな「お金も大事かな」となってきましたね。
鈴木円香氏:
今のお話だと、男性が役職定年で女性はお金があてにならないから別れますみたいな話じゃないですか?
でもこれから先は、女性も働いていて女性が役職定年を迎えるというのももちろんあるので、そうなったときに「もう会社辞めて好きなことをするわ」っていう方もいっぱいいらっしゃいますから、人生100年時代の中で、一人の人とこうやって連れ添うみたいなのって、もうそろそろアップデートしてもいいんじゃないかなと思います。
MC谷原章介:
離婚ということをネガティブに捉えるのではなく、前向きに新しく自分がそれぞれ自分らしく生きるための一つのきっかけとも取れますものね。
鈴木円香氏:
離婚って、新しい道を歩むからおめでとう。でいい時代なんじゃないかなと思いますけどね。
MC谷原章介:
熟年離婚する方が増えている中、離婚するしないではなくて、お互いにコミュニケーションを取ることが大事なんですかね。
田村勇人弁護士:
そうですね、やはり結婚はいいものではあると思うので、役割や能力ではなく、一人の人間として相手と向かい合って、この人と一緒にいたい、介護してあげたいというふうにお互い思うことが必要だと思います。ただ、それでもどうしても離婚したい場合、一言だけ言いたいのは、相手の資産状況だけは確認してから弁護士のところに来てください。
財産分与の時に、相手の資産状況を知らないと、取れるものも取れなくなるので(笑)
(『めざまし8』 2024年8月16日放送より)
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