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●著者インタビュー● 夏休みの読書感想文にも最適な感動作、『誰も知らない のら猫クロの小さな一生』に、著者なりゆきわかこさんが込めた思いとは。

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株式会社 学研ホールディングス
●著者インタビュー● 読書が苦手でも読書感想文が書ける!「のら猫の一生」をテーマに、「命」や「人間と動物の関わり方」について深く考えさせられる一冊。

株式会社 学研ホールディングス(東京・品川/代表取締役社長:宮原博昭)のグループ会社、株式会社 Gakken(東京・品川/代表取締役社長:五郎丸徹)は、2024年8月2日(金)に『誰も知らない のら猫クロの小さな一生』の著者インタビューを行い、内容を公開いたしました。

この物語を読めば、絶対に、すばらしい読書感想文が書ける!この夏、全小中学生必読の1冊を発見!
最近では、「読書感想文」を宿題として課す学校が減ってきています。とはいえ、まだまだ、「嫌いな宿題」の上位にランクインするのが、「読書感想文」なのではないでしょうか。
「読書感想文」は、「本のあらすじを書く」ものではないのはもちろんのこと、「主人公が、そのときどう思ったのか」を書くものでもありません。では、何を書くものかというと、「この本を読んで、自分(読者)は何を考え、自分が成長するどのようなきっかけになったのか」を書くものです。
だから、そもそも、物語に描かれたテーマに関心がなければ、その「読書」体験から感想文を書くのはなかなか難しいでしょう。
そんな観点で、本屋さんを散策していると、1冊の本が目にとまりました。腰帯に、「のら猫は、自由気まま……は本当?」と書かれていました。児童書の中の「のら猫たち」は、たいてい、のびのびと自由にふるまっています。でも、実際に街中で出会うのら猫たちは、神経質で警戒するような目でこちらを見て、近寄ろうものならすごいスピードで逃げていきます。
昔の「のら猫」は、児童書の中ののら猫たちのように、もっとふてぶてしく自由だった気もします。
よくよく考えてみると、自分自身、のら猫について、ほとんど知らないことに気がつきました。どこで寝て、どのように食べ物を確保し、どのような生活と生涯を送るのか――。少し調べると、「のら猫の平均寿命は、家猫の1/5ほど」という、衝撃のデータにも行き当たりました。
「のら猫の一生」とは、いかなるものなのか――。先に触れた本をじっくり読んでみると、そこには、「自分自身はどう考えるのか」「自分には何ができるのか」に、否応なしに直面する物語が描かれていました。
そこで、この物語『誰も知らない のら猫クロの小さな一生』の著者、なりゆきわかこさんに、詳しいお話を聞かせていただくことにしました。
「のら猫」は、子どもたちにとって、身近だけど、実はよくわからない存在です。そして、本書を読めば、必ず「自分はどう思うか」を考えてしまう問題でもあります。
ぜひ、著者のなりゆきさんの想いも参考に、物語を読んでみてはいかがでしょうか。


▲『誰も知らない のら猫クロの小さな一生』      人知れず過酷な日々を生きるのら猫たちの姿を描いた物語。

●のら猫は過酷な日々を生きている
――今日は、「のら猫」と、この物語について、お話を聞かせてください。まず、「のら猫」は、身近な存在ですが、どのような生活をしているのかそれについてよく知りませんでした。平均寿命が約3~5年と、とても短いことにも驚きました。

なりゆき(以下、「なり」) そうですね。のら猫は、「自由きままに生きている」ように見えますよね。でも、実際はまったく違います。この本は、「のら猫がどんな生活をしているのか」をつづった単なる観察記録的なものではありません。実際の境遇を元に、想像ではありますが、彼らの心情をまじえつつ、かなりシビアな目線で書いた物語です。「のら猫」といっても、どのようにのら猫になったのかは一様ではありません。なので本書は、いろいろなのら猫が登場する連作短編として書きました。ただ、どの猫にも共通しているのが、「過酷な生活をしている」ことです。

▲さまざまな境遇ののら猫が登場する。


――ハッピーエンドな話ではない? それぐらい、のら猫は過酷な環境に暮らしているというわけですね?

なり 書き始めるときに、のら猫たちの境遇が不幸すぎてどうまとめるかかなり悩みました。

――実際、のら猫たちはどんな過酷な環境にいるんでしょうか?

なり 飢えや、他の動物からの襲撃、冬の寒さ、交通事故、病気など、常に死の危険にさらされていて、それを知恵と行動のみでしのいで生きています。

――なるほど。のら猫は単独行動ですよね。「他の猫と協力して」ではなく、一匹で――自分ひとりの力だけで、それらに立ち向かわなくてはならないということですか?

なり そうです。それに、私たち人間だって、必ずしも彼らの味方ではありません。さっき言った「他の動物」の中には、「人間」も入っています。のら猫を虐待する人間もいます。人間は猫以上に知恵が働きますから、のら猫は寝るときも気が抜けず、常に不安の中で暮らしています。

●人の身勝手が、のら猫を不幸にしている
――作中でも、“油断した瞬間、のら猫には死が待っている”とありました。そもそも、なぜ「のら猫」は、そんな過酷な状況で生活しているんでしょうか。

なり もともと猫は、人とともに暮らしてきた動物です。その生活に合うように、改良されてきました。だから、「家の外で生きる」というのは不自然なことなんです。ですが、まだまだ多くの人は、「のら猫が過酷な環境で暮らしている」ということに気づいていないんだと思います。だから、この物語に託した大きな役割は、「のら猫が過酷に生きる姿を伝え、その現実を知ってもらうこと」だと思っています。
読者のみなさんが、街でふつうに見かけるのら猫と、この本の中で描かれている、「捨て猫や、やらせ動画のために飼われている猫、虐待を受けている猫」は、別世界のものではなく、「同じ猫」なんだと考えてほしいのです。

――のら猫のまわりには、いろいろな問題が存在しているんですね。それもすべて人と関係があることなんですね。

なり のら猫に関する問題には、ほとんど「人間」が関わっています。今回書いた『誰も知らない のら猫クロの小さな一生』の原点になったのは、以前執筆した、『多摩川のミーコ』(KADOKAWA)という、ホームレスの方とのら猫の交流を描いた物語なんです。

――「ホームレスの方がのら猫を飼っている」という話ですよね?

なり そうです。自分の生活もままならないけれど、少ない生活費でキャットフードを買って、のら猫を大事に育てていました。ホームレスさんたちがいる多摩川には、ものすごい数の猫が捨てられていくそうです。

――ホームレスの方とのら猫のあたたかい交流、その一方で、たくさんののら猫が捨てられ増えていく現状に、思うところがいろいろありますね。

なり そのことだけでも、のら猫が人間の勝手で増えていく現状が垣間見えます。捨て猫が減らないかぎり、のら猫も減りません。人間の身勝手さで不幸なのら猫を増やすことを食い止めたいと思いました。それに、「身勝手」という言葉ですまないのが、のら猫の虐待問題です。

――作中にも「エサでおびき寄せて洗剤をかける男」「ゴルフクラブで殴る男」「大型犬でのら猫を襲わせる女」などがでてきますね。

なり はい。痛ましい猫たちを見ると、人間はどうしてこんなに残酷になれるのだろうと涙が出ます。うちにいる2匹の保護猫も、子猫のときに、洗剤を浴びせられるというひどい目に遭いました。「庭にいた猫たちが邪魔だから」というのが理由だったそうです。その短絡的な行いに怒りとやるせなさを感じました。動物虐待は犯罪である、という当たり前のことがわかってほしくて作中にも虐待の話を入れました。

――なりゆきさんの飼われている猫も実際に虐待にあっていたとは……。小さな命が失われず、助けられてよかったです。今、保護猫を飼っているとのことですが、懐くまで苦労などありましたか?

なり これは以前保護した猫の話なんですが、作中の「ヨウジ」のモデルにした猫がいます。本当に暴れん坊で、部屋中をめちゃめちゃにされました。おしっこをまき散らす、触ろうとすると思いきりひっかく…と、まったく懐いてくれない猫でした。それでも、愛情をもって世話をするうちに、だんだんと懐いてきて、里親さんに渡すときには、離れがたくて泣きました。今飼っている猫も、「ヨウジ」のように簡単には抱っこさせてくれないんですが、リラックスした愛らしい姿を見せてくれると、うれしいですね。

――ペットも家族ですから、部屋でくつろぐ姿には癒されますし、病気だと心配になりますよね。猫が病気になったときはもちろん、飼い主が一人暮らしだと「自分が病気になったとき、誰が世話をしてあげられるんだろう」ということも心配です。5章に登場する猫ナナは、飼い主が亡くなってしまったために、のら猫になった猫でした。「飼い主が亡くなったあと、ペットはどうなってしまうか」という問題を提起されてますね。飼い猫は、寿命が20年ほどと長いですからね。

なり そうです。まず猫を飼う前に、猫と自分の寿命のことはきちんと考えるべきだと思います。例えば60代で飼いはじめたなら、自分が80代になるまで猫は生きています。老猫はトイレを粗相することが多いですし、病気も増えます。自分自身の体も弱ってきているのに、弱った猫のお世話が本当にできるのか。そして、飼い主が亡くなったり、入院することになるなど、飼えなくなったとき、預け先のない猫は、やっぱりのら猫になってしまうことが多いんです。

――それは、猫にとっては悲惨なことですよね。ナナもそうでしたが、飼い猫として安心して暮らしていたのが、突然住むところもなく、ごはんを出してくれる人もいないところで生きていかないといけないわけですから。

なり 家猫として飼われてきた猫は、狩りの方法を知らずに育っています。だから、のら猫になると、食べ物にありつけず、まずは飢えに苦しめられます。その後は外敵ですね。作中にも空き家に棲みつくアライグマが出てきますが、猫よりも体が大きくて昨今増え続けている動物ですから、のら猫にとっては、危険な動物です。

――のら猫にとって、外での暮らしは本当に敵が多いんですね。

なり 人間も危険な存在です。もともと飼われていた猫は、人に懐いている分、虐待にも遭いやすいんです。「人間はごはんをくれるもの」という、飼い猫の習慣から警戒心がうすくなりがちですから。

――なるほど。のら猫といっても、もともとのら猫として生まれた場合と、外での暮らしを何も知らない飼い猫だった場合とでは、大きく違ってきますね。

なり 本書では、「のら猫の子育て」についても描いていますが、のら猫の母親は、子どもに、「人間は恐ろしいものだ」と教えます。そういう、人間の一面を知らずに、元飼い猫が、外に出されれば、無事に生きるのは、本当に難しいことだと思います。そして、幸いなことに保護されたとしても、「ヨウジ」のように、警戒心を解くのに時間がかかってしまって大変…ということもあります。ただ、それは、のら猫が生きる術としてしかたなく身につけたことですから、「この猫、全然懐かないから、かわいくない」などと思わずに、私たち人間のほうから寄り添っていかなければならないことかもしれません。

▲のら猫の母は、まだ生きているネズミなどを子猫に与え、狩りの仕方を覚えさせる。

●小さな命のことを考えるきっかけに
なり ここまでのら猫にまつわる現状について話してきましたが、実はのら猫の数自体は、さまざまなデータから、過去と比べて全国でかなり減っていることがわかります。

――それはどうしてですか?

なり これは保護団体による「のら猫に去勢避妊手術を施す」「センターから引き取り、里親を探す」等の努力や、動物愛護を訴える人々の声による「殺処分ゼロ」活動の成果だと思います。 

――保護活動などによって、少しずつ改善されてきたということでしょうか。

なり そうです。私は20年くらい前から、捨て猫を保護したりするようになり、保護グループの方などと、のら猫に関わってきましたが、以前と比べるとだいぶ犬や猫に対する愛護活動に理解が得られるようになってきた印象があります。「地域猫」といった言葉も浸透してきたので、作中でも地域猫の存在を描きました。

――地域猫になるのは、7章に登場するハナブチですね。地域猫として、去勢手術をして、その後ものら猫として過ごしていた猫でした。

▲地域猫は、耳の端をカットされる。これが、去勢や避妊手術をした印になる。



なり 猫は、繁殖力が強いので、そのまま放っておくと増える一方なんです。だから、とにかくのら猫の数をこれ以上増やさないことが優先だと思っています。そのためにも作中でのら猫たちを救う活動をしている人々のことも描きました。保護猫活動グループに所属している君代や茂子、庭でのら猫たちにエサをやり、ケガした猫の手当などをしている猫屋敷の夫婦、地域猫を見守るサークル活動をしている大学生の美咲と浩介。彼らは、日々過酷に生きるのら猫たちと向き合っています。のら猫たちの問題を解決しようと、悩みながら、時に涙を流しながら奔走する姿を知ってもらいたいです。

――のら猫の問題について知っている人の目線から、自分ができることを考えることもできそうですね。

なり 知り合いの保護グループの方から聞いた話で、これを物語の中でも一部をエピソードとして使っているのですが、のら猫を轢いてしまったことを後悔して、保護猫のボランティア活動を始める人がいたそうです。のら猫と人の関係は、切ってもきれません。だから、この本を読んだら、自分ならどうするかを想像し、自分のこととして考えてほしいと思っています。近所ののら猫とペットショップに並べられる猫、どちらも小さな命、この命は最期まで幸せでいられるか? ということを。

――物語を読み、何ができるか考える。まずは、この小さな一歩がのら猫を救える未来につながりそうです。

なり 猫にとって優しい世界は、人間にとっても優しい世界だと私は考えています。少しずつのら猫が減ってきている現状をうれしく思う一方、交通事故にあったり、おなかをすかせている不幸なのら猫は、まだたくさんいます。猫の幸せは、私たち人間が考えなくてはならないことだと思います。読者の皆さんも一緒に考えてほしいと思います。

――そうですね。のら猫の在り方を『誰も知らない のら猫クロの小さな一生』をきっかけに考えてもらえたらいいですね。なりゆきさん、ありがとうございました。


[商品概要]






『誰も知らない のら猫クロの小さな一生』
著:なりゆきわかこ
絵:酒井以
定価:1,210円(税込)
発売日:2024年7月18日
判型:四六判/246ページ
ISBN:978-4-05-205984-1
発行所:株式会社 Gakken
学研出版サイト:https://hon.gakken.jp/book/1020598400

【ご購入はコチラ】
・Amazon https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4052059840/
・楽天ブックス https://books.rakuten.co.jp/rb/17881083/

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■株式会社 Gakken(Gakken Inc.)
https://www.corp-gakken.co.jp/
・代表取締役社長:五郎丸 徹
・法人設立年月日:2009年1月13日(2022年10月1日商号変更)
・資本金:50百万円
・所在住所:〒141-8416 東京都品川区西五反田2丁目11番8号
・事業内容:出版・コンテンツ事業、グローバル事業、医療・看護出版コンテンツ事業、
      園・学校・社会人事業、教室関連事業、EC・オンライン事業、広告事業を展開



■株式会社学研ホールディングス(GAKKEN HOLDINGS CO., LTD.)
https://www.gakken.co.jp/
・代表取締役社長:宮原 博昭
・法人設立年月日:1947年3月31日
・資本金:19,817百万円
・売上高:1,641億円、連結子会社75社(2023年9月期)
     東京証券取引所 プライム市場情報(証券コード:9470)
・所在住所:〒141-8510 東京都品川区西五反田2丁目11番8号
・電話番号:03-6431-1001(代表)
・事業内容:1946年創業の教育・医療福祉関連事業を展開する持株会社
      教育分野:「学研教室」を始めとする教室・学習塾事業、
           学習教材などの出版・コンテンツ事業、
           教科書・保育用品などの園・学校事業など
      医療福祉分野:サービス付き高齢者向け住宅事業、
             認知症グループホーム事業、
             保育園・学童などの子育て支援事業など
      グローバル:150か国以上で活動・事業展開
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