史上初となる、兄妹揃っての五輪2連覇を目指していた柔道女子52キロ級・阿部詩選手(24)。しかし、2回戦でまさかの敗退となりました。
畳から降りた詩選手は、悲鳴を上げながら号泣。観客席からは、健闘を称える大きな拍手と共に「詩コール」が送られました。
3年前の東京五輪では激闘の末、金メダルを獲得。
その後、両肩を手術するなど、苦しい時期もあった詩選手。今年5月に行われたインタビューでは、兄妹でのパリ五輪出場と連覇について、こう話していました。
阿部詩選手:
結構それがプレッシャーになるっていうよりかは、私は大きい大会で、身近に家族がいるっていう部分で、すごく心強く戦えているので。
それに関して、もちろんどっちかが勝って、どっちかが負けた時の空気っていうのは本当に地獄なので、それは他のアスリートより感じると思うんですけど。でも…なんか、やっぱり心強いっていう部分の方が勝つので。良かったなって思う部分の方が多いですね。
妹の“思い”も背負い決勝へ…
五輪連覇の夢がついえてしまった詩選手は、衝撃の敗戦から4時間後、カメラの前でその思いを語りました。
阿部詩選手:
本当にまずはたくさんの方に…。ここまでくるのにすごく…サポートしていただいて、背中を押していただいて、この日というのを迎えることができたので、本当にありがとうございますという感謝の気持ちでいっぱいです。
期待に応えられなかった自分の弱さと、これから向き合いながら、過ごしていきたいなと思います。
――試合の瞬間は?
相手の技がうまくて、一本取られた形なので、負けた瞬間は状況が理解できなくて。本当に一瞬で勝負が決まるというのはこういうことかなというのは思い知りました。
一番良い形は兄と2人で、金メダルを持って、日本に帰ることだったんですけど、それはかなわなかったので、後は兄の応援をして、兄にはしっかり金メダル取ってもらって、勝っている姿を目に焼き付けたいなと思います。
そんな妹の思いを胸に、兄・一二三選手は2度目の大舞台へ。連覇を目指し、世界の強豪に立ち向かいます。
途中鼻血が出るアクシデントなどもありましたが、順調に勝ち進み決勝へ。観客席で見守る家族の中に、もちろん妹・詩選手の姿もありました。
持ち味のスピードで技ありを決める一二三選手。そして、兄として妹の思いを背負い、見事、オリンピック連覇の偉業を成し遂げました。
阿部一二三選手:
いや、もう最高な思いです。この3年、東京終わってから、すごい苦しい思い、しんどい思いばかりで、そんな楽な道ではなかったので、そういう思いを考えながら。
あとはきょう妹が、負けてしまって、僕自身もすごい苦しい1日になったんですけど、妹の分まで、やっぱり兄が頑張らないという気持ちで、1日頑張りました。
難しさというか、でもやっぱり苦しかったんですけど、そこは兄として、やるしかないという思いで、気持ちはしっかり抑えていました。
「妹の分まで兄が頑張らないと」試合後にそう打ち明けた一二三選手。パリの地で兄妹の強さ、そして、その絆をみせてくれました。
(『めざまし8』 2024年7月29日放送より)
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