横山ルリカが行く「得するウォッチング!」。
少子化で多くの公立学校が定員割れとなる中、廃校の可能性があったにもかかわらず、今や2年連続で、志願倍率・県内1位となった広島県立加計(かけ)高校。
廃校寸前から、人気1位となった理由には“町ぐるみ”の取り組みがあったといいます。
廃校寸前の高校を救ったのは“町の人々”
広島県の山間にある県立加計高校。1学年1クラス、全校生徒113人の小さな高校です。
高校がある安芸太田町は人口5500人、年々過疎が進み子どもは減少。
さらに、2003年には、広島市内から通うことができたJR線が一部廃線、最寄りの加計駅は廃止となり、町外から通うことも難しくなってしまいました。
様々な事情が重なり、2014年には生徒数が90人まで減少。統廃合を検討するデッドラインである80人に迫り、廃校の危機となりました。
しかし、そんなとき「高校は残していかないと定住につながらない」「子どもがいるということは発展につながる」と、危機感を持って立ち上がった町の人々が、「加計高校を育てる会」を発足させたのです。
安芸太田町議会 津田宏議員:
若者が1人でもたくさん来ていただけるような町を作るためには、学校は絶対必要だと。地域の皆さんと一緒に支援していこうと。
5億円かけて寮建設 無料塾も
1学年1クラスで、1年生は40人。生徒に出身地を聞いてみると、茨城や東京、愛知、奈良など様々。県立高校ながら“特定校”という形で、全国から生徒が集まってきています。
二川一成校長:
県立学校の場合は、保護者の住所が県内にあるということが条件になりますので、広島県に働きかけて、“特定校”という形で、保護者の住所が県外のままでも入れるようにしました。
廃校にならないために、町が下した大きな決断のひとつに、2年前に5億円をかけて建設した学生寮「黎明館」があります。
建設費は、全額町費。広々としたキッチンに洗面台も複数あり清潔感にあふれています。お風呂は大浴場ではなく1人用です。
食堂は1日2食、朝食と夕食を食べることができます。
生徒:
コロッケと魚と味噌汁とご飯です。私、魚が好きなのでうれしいです。
みんなでごはんを食べる至福のひと時。他にも生徒に人気の場所があるといいます。
生徒:
2階の共有スペースに集まってテスト期間は勉強、休みはカードゲームで遊んだり、家族みたいです。
全室1人部屋で、寮費は2食付き、冷蔵庫に棚、エアコン・机・ベッド・無料Wi-Fiまで完備されていて、1カ月4万円。定員は60人。
この寮ができたことで女子生徒が増え、現在は半数以上が女子だということです。
この他にも、「加計高校を育てる会」が費用を捻出し塾まで設立。塾の授業料は無料です。
こうした町をあげて高校を支援した結果、町民の転出人数は減り、わずかですが人口減少率も少なくなってきているといいます。
ハワイ留学が“無料”?国際交流に力
全国から集まった生徒たちが加計高校を選んだ理由の中には、姉妹提携を結んでいるハワイの高校との、2週間の交換留学もあります。
生徒:
国際交流が盛んだったり、あとはハワイ留学。ほぼ無料で行くことができる。
毎年、2~3人の生徒が交換留学しますが、渡航費など約30万円の費用は、同窓会が負担するため全額免除。
2023年、交換留学でハワイに行った上野来夏さんは…。
2年生 上野来夏さん:
ホームステイをしたのと、現地の姉妹校の高校で授業を受けたり。休日とかは海に。本当に海がキレイだったんですよ。
私の名前が来夏(こな)っていうんですけど、ハワイの“コナ”から来ていて、父と母が新婚旅行で行った場所がそこだったので、夕陽が沈むところも見られて本当にキレイでした。
ハワイからも毎年 留学生が訪れ、こちらの高校で1週間、生徒たちと一緒に生活をしています。
国際交流にも力を入れており、ベトナムやインドなどから年間100人以上の外国人を招いているんです。
生徒:
1年生の時から国際交流をけっこうしていたので、関わり方とかめっちゃ慣れてきて。
生徒:
英語の勉強のモチベーションも、すごいね。
多様性を育み、生き生きと生活する生徒たち。卒業後については…。
生徒:
大学進学を考えています。やっぱり国際交流とかすごく楽しかったので、国際関係とかの学部に行けたらと思っています。
生徒:
東京に戻って大学進学を考えています。マーケティングとかコンサルティング系が今はいいかなと、考えています。
(『めざまし8』 2024年6 月18日放送より)
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