2024年7月26日に開会式が行われるパリオリンピックのメダル候補を紹介する「メダルへの道」。今回は、5大会連続のオリンピック出場を決め、2大会ぶりのメダル獲得を目指すカヌー・スラロームの羽根田卓也選手。メダルを逃した東京五輪後、引退もよぎったという羽根田選手が再びオリンピックを目指した思いに迫ります。
リオ五輪 銅メダル羽根田卓也選手 日本人初の快挙
「5回目となると『今回も出られるんでしょ?』みたいな、出て当たり前というプレッシャーをかけていただくんですけど。実際の勝負は本当に大変で…」と、語るのは5大会連続のオリンピック出場を決めたカヌー・スラロームの羽根田卓也選手。
2016年のリオ五輪で羽根田選手は、急流のコースに設置されたゲートを通過する技術、所要時間で競うカヌー・スラロームで銅メダルを獲得。カヌー競技で日本人初の快挙を成し遂げました。
その甘いマスクも注目され、女性ファンが急増。カヌー競技を一躍世に知らしめました。
東京五輪では無念の10位…よぎる“引退”の文字
しかし、多くの人に2大会連続のメダル獲得を期待され臨んだ2021年の東京五輪。
ゲートへの接触でペナルティーを受けるなど思うように記録を伸ばすことができず、結果は10位。
競技後、「応援してもらっている以上、弱音を吐くことは許されないとただ前を向いてきた」と、応援をする人たちの思いを力にこの日まで練習してきたと涙ながらに語った羽根田選手。
そんな羽根田選手に東京五輪の後、ある思いがよぎったといいます。
羽根田選手:
自国の五輪っていうのは自分にとって特別で、東京五輪が終わってから、
じゃあ次それが続けることなのか辞めることなのかどちらにせよ、
“じゃあ次”っていうわけにはいかなかったんですよね。
競技を続けていくか、それとも辞めるのか、気持ちの整理をする時間を作ったといいます。
再び五輪に挑戦するきっかけは“応援してくれる人たち”
そんな中で、パリ五輪に気持ちが向いたきっかけはなんだったのでしょうか?
羽根田選手:
一番大きなきっかけは東京五輪が終わっていろんな人に会いに行ったんですね。
当たり前のように「次パリ頑張ってね」と自分に声をかけてくださる方々がほとんどだったので、それってすごく貴重なことだと思うんですよね。
羽根田選手:
もう一度オリンピックに挑戦する価値はあるなと思って決めました。
周りには応援してくれる人がいる。
羽根田選手はその人たちのためにも再びオリンピックを目指す決意をしました。
0.1秒じゃなく0.01秒を削るための“体幹”が「メダルへの道」
そんな羽根田選手がパリに向けて磨いてきたのが…
羽根田選手:
“0.1秒”の戦いではなくて“0.01秒” それ以下の戦いになってくるんですよね
ゲートに対してギリギリ10センチ、1センチ…1ミリを削っていくことを今取り組んでいます。
どんな激流でも体勢を保つために必要だと言うのが「体幹の強さ」。
様々なトレーニング法を取り入れながら、今まで以上に徹底的に体幹の強化に努めました。
そして、2023年のアジア選手権で優勝。見事パリへの切符を掴み取りました。
羽根田選手:
この体幹が弱いと体勢を崩してしまったりだとか0.01秒を削る時に足かせになってしまうので、体幹の強さだけは誰にも負けないようにトレーニングしています。
羽根田選手:
目標はできるだけ高いところ
リオでは銅メダルを取ることができているので、表彰台を目指してやっていきたいと思います。
37歳で迎える5度目のオリンピックに向けて磨いた「0.01秒を削るための体幹」
これが羽根田選手のメダルへの道です。
(『めざましテレビ』2024年5月29日放送より)