石橋貴明が文化人、ミュージシャン、タレント、アスリートなどジャンルを問わず“話してみたい”ゲストを迎え、焚き火の前でじっくり語り合うフジテレビ『石橋、薪を焚べる』。
2月2日(火)の放送は、アーモンドアイの調教師・国枝栄氏が登場。2020年度JRA賞競走馬部門の年度代表馬となったアーモンドアイとの出会いや、調教師としての思いを語った。
競馬ファン垂涎の頂上決戦「あんなレースはない」
石橋は、歴代三冠馬3頭が参戦、アーモンドアイのラストランとなった昨年のジャパンカップを「生で見たかったです」と残念そう。国枝氏も「あんなレースはないですから」とうなずいた。
石橋:国枝さんって、報道陣をある程度意識した発言をされるんですか?
国枝:報道の向こうにはファンの方がいらっしゃるから、我々としては、ファンの方に自分の気持ちを(伝えたい)と。
石橋:だからあの、デアリングタクトが勝ったときに「ジャパンカップで待ってるからな」って。
国枝:あははは!
石橋:ちょっとしびれたんですけど。
国枝:あのときは、「待ってる」とは言わずに「次はジャパンカップだな」って言ったんですよ。(調教師の)杉山(晴紀)くんに。そのあとに、アーモンドアイが参戦するということが決まったんで。タイミング的にはちょうど面白かったと言えば、面白かったですけどね。
石橋:やっぱり、国枝さんがあれを言ったことによって、たぶん、デアリングタクトも出るってことになって。
国枝:そうですね。
石橋:コントレイルも「だったらうちも出る」って。競馬ファンからしたら最高の舞台が整って。
国枝:そうですね。私も競馬長いですけど、今までそういうシチュエーションというんですか、牡牝の、しかも無敗の三冠馬が同じレースに出るということはなかったし。そこに記録を作ったアーモンドアイが参戦するということも、絵に描いたというか、出来すぎっていう。
石橋:それできっちり、あの2頭を倒すという。国枝さんとしても、当然、自信ありと?
国枝:アーモンドアイが、(2018年に)ジャパンカップですごい時計で勝ったんですけど、そういうレースをすれば、負けるはずはないかなという気はありましたよね(笑)。
石橋が「やっぱりすごい馬なんですね!」と感嘆の声をあげると、「身近にいても、自分の想像を常に超えていく存在だった」と、アーモンドアイを形容した。
国枝氏「アーモンドアイは、全部そろっていた」
石橋:アーモンドアイは、お利口さんなんですか?
国枝:全部そろってますよね。
石橋:全部そろってる?
国枝:毎回、レースのたびに「あ、こんなこともやっちゃうんだな」「こんなこともできちゃうんだな」って。「次、どうしてくれるのかな?」という、そういう楽しみはありましたね。
長年さまざまな馬を調教をしてきた国枝氏は、競走馬にはたくさん覚えさせることがあり、一つひとつ積み重ねていく中で「いろんな懸念材料が出てくる」と話す。その中でも、アーモンドアイは「メンタルもフィジカルも相当余裕があったんじゃないか」と振り返る。
石橋:変な話、今年走らせても…。
国枝:(笑)。おそらく、良いパフォーマンスはできたんじゃないかなと思います。
惜しまれつつも2020年で現役を引退したアーモンドアイ。国枝氏は「(繁殖という)今後の仕事があるので、とにかく記録を作って、無事に引退してほしい」と願っていたと明かした。
第一印象は「ボリュームも、作りも、目も良かった」
そのアーモンドアイとの出会いは…。
国枝:すごく良い馬で。
石橋:小さいときから?
国枝:1歳なんですけどね。ボリュームも、作りも、目も良かった。
石橋:目!?目も大事なんですか?
国枝:目は大事です。
石橋:なぜ大事なんですか?
国枝:その馬の性格、気性だとか、中の健康度ですとか、そういうものを表しますからね。
石橋:目が。
国枝:ええ。本当に澄んで力のある目。「顔がいい」と言うんですけどね。
と、振り返り、馬を見る際に「目は重要」と語った。
「馬は頭がいい。誰がボスか見極める」
石橋は、調教師と騎手、馬の関係について「レースのときに騎手に指示をしたりするんですか」と問いかけた。
国枝:例えば、調教でこんな癖があるとか、前のレースでこうだったとか、ある程度のことは言いますけどね。
石橋:当然、想定と違うレースになることも。そういうときは、騎手判断なんですか?
国枝:そうですね。それが一番だと思いますよ。
石橋:じゃあ、馬何割で騎手何割くらいなんですか?
国枝:3割くらいは、騎手だと思いますね。
国枝氏は、騎手の腕はレースに大きな影響を及ぼすといい「馬は頭がいい。ボスを頼りにするので、誰がボスなのか見極める」と語った。
「ダービーや凱旋門で勝ちたい」受け継がれる夢
調教師になる前に「奨学生」としてドバイで競馬を学んだ国枝氏は、そのドバイのレースでアーモンドアイが勝てたことで「恩返しというか、貢献できたかなという意味で、すごく良かった」と回顧。今後は「大きなレース、ダービーや、凱旋門で勝ちたい」と目標を語った。
国枝:できたらね、と思うんですけど、定年設定がありますからね。
石橋:あと、5年なんですね。
国枝:5年ですから、なかなか厳しいものがありますね。
石橋:やっぱり、ダービーは…。
国枝:ダービーは欲しいですよね。世界中のホースマンが、競馬以外の人も「ダービー」と言えば競馬だってわかりますからね。
それでも、現在28馬房を所持している国枝氏は「チャンスはあると思う」と目を輝かせた。
「競馬はブラッド(血統)スポーツ」と語る国枝氏。現在、自身の息子たちも厩舎で共に働いている。
国枝:私のダメなところを見てるから(笑)、それを反面教師に良い馬を作ってくれるんじゃないかと思ってるんですけど。
石橋:楽しいですね。それで、アーモンドアイの生まれてきた子どもを、また息子さんたちが…。
国枝:そうですね。競馬には血統というものがあって。馬も人も、受け継いでいくというのはすごく重要なことだと思います。そういう意味では、連綿といろんなストーリーが出来てきますから、面白いと思います。
パドックでその日の馬の良し悪しはわかるのか?
最後に、石橋は競馬場での競走馬の見方について質問した。
石橋:パドックで良いとか悪いとか言うじゃないですか。あのときって、そんなに(良し悪しが)わかるんですか?
国枝:見るのは、メンタルの部分をよく見るんですよね。馬が汗を書いちゃって、緊張してるなとか、イライラしてるなとか、そういうのは見ますけど、そんなにあそこでどうなのかと言われても…わからないですね。
レースが近づくと馬もナーバスになるそうで、「競馬はゴールがすべて。最初からいい状況でいってたら、余力がなくなる」。
国枝氏は「パドック、ゲートでおとなしくしていて、スタートしたらリラックスしていて。勝負所から騎手のアクションに応えてトップギアに入るのが理想的」と語った。
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