フジテレビュー‼編集部推薦、“目の保養”となるようなイケメンを紹介する「眼福♡男子」Vol.41には、前山剛久(まえやま・たかひさ)が登場。
稲垣吾郎主演で、現在公演中の舞台「No.9-不滅の旋律-」に、主人公・ベートーヴェンの弟・ニコラウス役で出演している。偉大な作曲家を支えたニコラウスをどんなふうに作り上げ、どんな思いで演じているのか、その役作りの裏側に迫った。
また、後日公開予定の<プライベート編>では、特別な年となった2020年について、そして、新たな年への展望も聞いた。
間近で見た吾郎さんはやっぱりスター。ずっとテレビで見ていた方なので不思議です
――まずは「No.9」の出演が決まってからの思いを聞かせてください。
再々演の作品ですが、僕は今回初参加でかなり緊張していたんです。だけど、カンパニーの皆さんがとてもやさしく、さらに、厳しいと聞いていた演出の白井晃さんも意外に和やかで、有意義な稽古時間を過ごすことができました。
僕以外の皆さんは、二度、三度と出演している方がほとんどなので役柄への理解度がさすがといった感じだったんですが、そんな中に自分が入る意味というものをすごく考えましたね。ニコラウスはこれまで加藤和樹さん、鈴木拡樹さんが演じてこられたんですけど、お2人とはまた違うアプローチでいきたいなと思ったんです。手ごたえとしては、あまり硬くならず、陽気なニコラウスになれている気がします。
稲垣吾郎さん演じる長男のベートーヴェン、そして、橋本淳さん演じる次男のカスパール、さらに僕が演じる末っ子のニコラウスと、この3人のバランスがとても重要なんですけど、僕が加わったことでまた新しい3兄弟になっているのではないかと思います。
――稲垣さんとの共演はいかがですか?
僕が言うのもなんですけど、吾郎さんってすごくベートーヴェン役にハマっていらっしゃるんです。髪型も似ていますし、雰囲気も近いものがあって。こういう表現をしたら語弊があるのかもしれませんが、やっぱり“スター”だなって。
僕はこの世界に入って約10年になるんですけど、お芝居をしながら「役者だな」って思う人は何人かいても、「スターだな」って感じる人ってそうそういないんです。実は僕、この世界に興味をもったきっかけがジャニーズさんで、吾郎さんはずっとテレビで見ていた方なのでとても不思議です。
――そんな稲垣さんと間近で接して、どんなことを感じましたか?
ベートーヴェンはかなり気難しい性格だから、この現場ではいつも以上に緊張感をもって入られているんだろうな、という印象を受けました。普段の稲垣さんはもっと穏やかだと思いますし、テレビでのやわらかいイメージがあったので、その姿がとても意外でしたね。
「なるほど、お芝居にはこういうスタンスなんだ」と、その取り組み方を間近で見られたことはとても勉強になりました。さらに、お客様の目線を常に大事にされていることにもスター性を感じました。
“弟感”が僕ならではのニコラウス。兄さんに気をつかう姿が滑稽に見えるよう演じています
――先ほど、ニコラウスを演じるのは前山さんが3人目というお話も出ましたけど、前山さんらしさはどんな部分に出ていると思いますか?
今回の出演にあたって、以前ニコラウスを演じた和樹さん、拡樹くんと3人でお話させていただく機会があったんですけど、お2人は白井さんからかなり厳しく指導されたそうで、僕もかなりしごかれるのではないかとビビっていたんです。でも、結果的に叱られることはほとんどありませんでした。
白井さんの演出ってとても細かくて、「今の一歩はどうして歩いたのか?」「なんで、そこで手を挙げたのか」など行動一つ一つの意味合いを大事にされるんですが、僕は「基本的に前山くんが楽しんでやってくれたらいい」というようなことを言われたので、その違いが大きいかもしれないですね。
台本を読んだ時、ニコラウスの中に自分と近いものを感じたんです。兄さんたちに気をつかっている姿が、コメディとまではいかないけど滑稽に見えるような。僕にもそんな部分があるので、そこが今回のニコラウスのカラーなのかもしれません。
――過去2度の上演を観劇していますが、加藤さんのニコラウスは男らしさ、鈴木さんのニコラウスは繊細さ、前山さんのニコラウスは“弟感”が強い印象です。
“弟感”まさにそうかもしれません。だからなのか、稽古場でも皆さんがやさしくリードしてくださったんですよ。仕事の都合で遅れて稽古に加わる方もいらっしゃったんですけど、そのたびに白井さんが僕のことをお父さんのように皆さんに紹介してくださいました(笑)。
マリアへ告白する場面はもっとも稽古を積み重ねた部分なので、ぜひ注目してください
――ニコラウスの見せ場としては兄弟の関係性のほかに、剛力彩芽さん扮するマリアへの恋心もありますね。
二幕の冒頭でマリアへ告白する場面があるんですけど、そこはもっとも稽古を重ねたところでした。稽古序盤では声を荒げるように想いを伝えていたんですけど、白井さんから「そんなんじゃ女の子が引いちゃうよ」とダメ出しがあり、ソフトにやってみたら「それじゃやさしすぎる。もっと悩んで、攻めてほしい」とさらにダメ出しがあって。
そんな過程を経て得たものを、最初の通し稽古で披露したら白井さんから「いい!」と言っていただけて、それはめちゃくちゃうれしかったです。
実は僕、その前のシーンで出トチっちゃったんです(注・舞台へ登場するタイミングを間違えてしまうこと)。遅れたことで焦ってしまって、セリフもないところで「ごめんなさい」って言っちゃったり、ソワソワしちゃったり、動揺したまま告白したんですが、その状況がニコラウスの心境と重なったらしく、白井さんが「今が一番よかった」と褒めてくださいました。
――焦ったことで肩に力の入らない自然な演技になったのかもしれないですね。
その時に僕は、芝居って硬くなりすぎちゃダメだと気づいたんです。出遅れたことでの焦りが、マリアへ想いを伝えなきゃと焦るニコラウスの気持ちとうまくシンクロした。告白するシーンは繊細さが求められるから、変に頭で考えちゃダメなんですよね。もちろんお芝居なので計算も必要になってくるんですけど、それよりも感覚的なもののほうが大事というか。マリアへ想いを告げる場面は一番苦労したところでもある分、一番観てほしい場面です。
――舞台上のニコラウスやカスパールはヒステリックでワガママなベートーヴェンに振り回されますが、もし、ご自身にそんなお兄さんがいたらどうしますか?
僕は妹がいて、実生活ではお兄ちゃんなので、下の気持ちはわからないんですけど、なぜか“弟気質”って言われるんですよ。ベートーヴェンみたいなお兄ちゃんがいたら、多分距離をおきますね(笑)。イジれたらイジりますが、難しいだろうなぁ。リアルにああいうお兄ちゃんがいたら怖いですよね。でも、きっとニコラウスと同じように支えようと努力すると思います。そうしないと生きていけないし、兄弟ですから。
――公演は年明けまで続きますが、ニコラウスの見どころを聞かせてください。
ニコラウスがあれだけ冷たくあしらわれても、支え続けるのはベートーヴェンに対する愛情ゆえなんですよね。そして、マリアへの恋心も実らないまま、離れ離れになってしまう。とても悲しい役柄で、悩んでる度合いでいうと、登場人物の中ではかなり上位にいる人物だと思います。
そして、最も常識人で、お客様に一番近い目線で見てもらえるのもニコラウス。音楽的才能では兄さんに到底かなわなくて、新たな事業を始めるしかなかった彼の葛藤はとても演じがいがあります。これまでニコラウスを演じてきた役者は3人いますが、今回が最もリアルで共感できると感じていただけたら僕の勝ち。そうなることを祈って、舞台に立っています。
舞台「No.9-不滅の旋律-」*12月31日(木)公演のライブ配信決定
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撮影:河井彩美 ヘアメイク:小林純子