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松本幸四郎・市川猿之助主演で、2016年から4年連続夏に歌舞伎座で上演され恒例の舞台となっていた「弥次喜多」シリーズ。最新作は、図夢歌舞伎「弥次喜多」（ずぅむかぶき やじきた）として配信される。

猿之助が初の監督を務めた映像作品である本作は、時空を飛び越え、「弥次喜多」の世界から現代社会が抱える問題をも描く意欲作。この配信スタートを記念して、幸四郎、猿之助両氏が会見に登壇。後半には公演を終えたばかりの市川染五郎、市川團子も駆けつけ、世代を超えた華やかな会見となった。

本作で、初の監督を務めた猿之助は、「（コロナ禍で）何もできなくなった時、幸四郎さんが立ち上げた（オンライン歌舞伎の）“図夢歌舞伎”で、まず『忠臣蔵』の配信をしたんです。でも、せっかくの“図夢歌舞伎”を1回だけで終わらせるんじゃなくて、続けていきたいと幸四郎さんも僕も思っていて、その第2弾として、この『弥次喜多』を配信でやってみよう、ということになりました。“図夢歌舞伎”ならではの、舞台でもない、映像でもないものをめざして、幸四郎さんと相談しながら作っていきました」と語り、幸四郎も「これが“歌舞伎”であるかないか、というのは正直わからないですけど、新作歌舞伎を作る時にはいつも思うことなんですが、いきつくところは“面白い”、“すごい”、“ビックリするもの”を作ろうということで、今回もそういう気持ちで臨みました」と思いを語った。

この図夢歌舞伎「弥次喜多」では、猿之助が出演したドラマを思わせるシーンも登場する。

「歌舞伎は古い作品でも、その時々の時事ネタを入れるんです。なので、我々はドラマのネタを入れていますけど、逆に歌舞伎だからこそ、こういうネタは入れなきゃいけないというのがあって、そういう意味でネタがあってよかったと思ってます」と猿之助。

また、「『弥次喜多』で僕らいつも馬鹿やってるんですけども、この作品では、果たして我々が今生きてる文明というのは本当に正しいのか、こんなに地球をめちゃくちゃにして、疫病が流行って、これ人災じゃないのか、と。果たして自分たちの生き方がこのままだと本当に滅びるぞ、ということもちょっと考えてほしいと思って作りました」と本作に込めたメッセージについても語った。

撮影は、今年10月に4日間集中して行われた。「現場で、幸四郎さんと（市川）中車（香川照之）さんは、アドリブになるとイキイキとして止まらないんですよ（笑）。（編集で）アドリブを切るのが大変でした」と猿之助が明かすと、幸四郎が「だいぶ切られましたねー（笑）」と返し、会場は笑いに。

また、2020年最大のヒットドラマとなった『半沢直樹』の話題になり、猿之助は、「（公演休止の時期）、歌舞伎以外でお仕事があったということが、毎日のモチベーションになった。本当にありがたかった」と語り、ドラマ効果でバラエティへの出演も増えたが、と振られると「僕はバブルだと思ってるので、バブルは（12月）31日ではじけます（笑）」と笑いを誘った。

一方、その『半沢直樹』をどう見ていたか、と振られた幸四郎は、「あそこに僕がいたほうがよかったんじゃないか、って思いながら見てました（笑）」とコメントし、「出るとしたらどの役で？」と質問されると「北大路（欣也）さんの役で」と頭取での出演希望を語り、猿之助も「僕も北大路さんで」と重ねた。

会見終盤には公演を終えたばかりの幸四郎の長男・市川染五郎、中車の長男・市川團子も駆けつけた。今回の不良役について聞かれた染五郎は、「不良役をやったことはないので、自分でいろいろアクセサリーを用意したりして考えました。でも、どこか少年らしいところもあってそこは変わってないなと思って演じました」とコメント。

一方、團子は、「クラスメートでこういう感じの人を、ちょっと真似してみました」と役作りに付いて話した。また、團子には、父・香川が出演したドラマ『半沢直樹』での芝居を見てどう思ったか、という質問も振られ、「すごいと思います。なんかここ数年で芸風が変わってる、だいぶキャラ変してるなって（笑）。（映画）『ゆれる』（の役）とかからは考えられない感じなので、役に入り込めるってすごいなって思います」と冷静に分析。

ドラマで香川が言い話題となったセリフ「おしまいDEATH」については、「友達から振られることはあります。1回限りでやめましたけど（笑）」と、余波を受けていたと披露。「ここでやっていただければ」と取材陣に振られると、「それは厳しいです…」と照れた表情で断るという一幕もあった。

笑いの絶えない会見の最後には改めて猿之助が「この作品は、世界発信したいので、よろしくお願いします！」と取材陣に力強く語り、作品への自信を垣間見せていた。