7月4日(日)、映画「ドライブ・マイ・カー」の“壮行会”イベントが行われ、西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、濱口竜介監督が登壇した。
本作は、村上春樹の同名短編小説を映像化したもので、7月6日(火)より開催される第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門への正式出品が決定している。最高賞「パルムドール」を競う同部門への出品は、日本映画としては唯一という快挙。
物語の主人公は、俳優であり演出家の家福(西島)。愛する妻(霧島)と満ち足りた日々を送っていた。しかし、妻は秘密を残して突然この世からいなくなってしまう。2年後、演劇祭に愛車で向かった家福は、ある過去をもつ寡黙な専属ドライバーのみさき(三浦)と出会う。行き場のない喪失を抱えて生きる家福は、みさきと過ごすなかであることに気づかされていく――。
イベントではキャスト・監督が、初の海外映画祭でのお披露目を果たす本作について喜びを語った。
まずは濱口監督が、カンヌ国際映画祭への出品決定について「改めて、すごいことなんだなと感じています。うれしく、誇らしく思います」と、噛み締めるようにコメント。
そして西島は、「世界が注目している作品です。これからきっと、さらに存在感が大きくなる監督の作品に参加させてもらって光栄ですし、俳優として素晴らしい体験をさせていただきました」と、しみじみ語った。
三浦は「海外の俳優さんとご一緒する機会が初めてだったので、参加させていただいてありがたい」、霧島も「完成した作品を見て、心が震えました」とうれしそうに答えた。
完成した本作を見た感想を聞かれると、西島は「架空の人物たちが架空の物語を生きていますが、『真実が映っている』と感じる瞬間がものすごくある映画です」と力強く話した。
続けて、「今の日本の人たちの心の中を描いていますが、きっとそれを世界の人たちも見たいと思っているのでは。何か普遍的なものに通じるのでは」と、世界で評価された理由について、考えを述べた。
さらに西島が「上映時間が2時間59分だったのですが、実際に見るとあっという間」とコメントすると、三浦も「(長いけれど)全てから目が離せない」と、上映時間の長さについて言及。
すると西島は「あまり『2時間59分』って言っても…感覚的には『1時間半』です!」と、観客が気軽に見られるようアピールして笑わせた。
また、監督の演出について尋ねられると、西島は「ほかの監督とは違う方法がたくさんある。本読みをひたすら続けたり、(台本にはない)その役の過去のシーンをリハーサルで再現してみたり…すごく刺激的な体験で、ほかの現場でも個人的に実践したい作業を、たくさん教えていただきました」と、穏やかな笑顔で感謝を表した。
特に、本読みについては「ずっとやっていると、声が気持ちよく聞こえるんですよね。素晴らしい経験だった」と、うれしそうに振り返った。
三浦は、本作では車を運転しながら話すシーンが多いため「本読みの空間は、運転しながら話しているときの感覚に近い。相手の顔を見ずに、音だけで表情や心の変化を感じます」と話した。
霧島も「撮影に入る前に、西島さんとは長い時間、本読みをしました。その後のほかの現場では、本読みがないと物足りない(笑)」と、濱口監督の手法がすっかり身に付いたようだった。
<イベントの様子は動画でも!>
映画「ドライブ・マイ・カー」は8月20日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー。
©2021「ドライブ・マイ・カー」製作委員会
最新情報は、「ドライブ・マイ・カー」公式サイトまで。