中村勘太郎＆中村長三郎 インタビュー 歌舞伎、家族、「鬼滅の刃」を語る

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12月18日（金）20時より、フジテレビでは『中村屋ファミリー2020 待ってました！勘九郎 七之助 試練と喝采の幕開けスペシャル』が放送された。

歌舞伎の名門・中村屋を30年以上にわたり追い続けている、フジテレビ独占のドキュメンタリー番組『密着！中村屋ファミリー』。

昨年の『密着！中村屋ファミリー』の記事はこちら！

世界中を新型コロナウイルスが襲った2020年、あらゆるエンターテインメントが休止を余儀なくされ、歌舞伎の舞台も3月から軒並み中止という大ピンチに陥った。

そんな中、勘九郎は、7月に中村屋初の歌舞伎生配信「中村勘九郎 中村七之助 歌舞伎生配信特別公演」（浅草公会堂にて無観客）を実施。

「中村勘九郎 中村七之助 歌舞伎生配信特別公演」の記事はこちら！

エンターテインメント界が逆風の中、総力をあげてチャレンジを続けた中村屋。歌舞伎座も8月に公演を再開、幕を上げ続けるために徹底した感染予防対策を行った。

取材カメラは、感染防止のため舞台裏に入ることも許されない状況だったものの、中村屋一門の協力を得て、定点カメラやZoom、さらには自撮り映像などを駆使し、プライベート映像も含む、年末12月の歌舞伎座公演までを追った。

番組から、激動の1年を乗りきった中村勘太郎＆長三郎兄弟のインタビュー（未公開分を含む）完全版が到着した。

――今年1月の歌舞伎座では「鰯賣戀曳網（いわしうりこいのひきあみ）」の禿（かむろ）役をやりましたが、やってみた感想はどうでしたか？

勘太郎：はい、楽しかったです。久しぶりに、お芝居に出られたから。

――長三郎さんはどうですか？

長三郎：楽しかったです。

――お客さまの反応は、どんなだったか覚えていますか？

勘太郎：盃をするときに、僕が睨（にら）んで、お父さん（中村勘九郎）が睨み返したときに、笑ってたことをよく覚えています。

――笑い声、反応がありましたよね。

勘太郎：はい。

――長三郎さんは？

長三郎：同じです。

――同じですね。

勘太郎：ずっと同じじゃダメだよ。

――同じでも大丈夫ですよ。勘太郎さん、コロナという病気が出てきて学校の様子は、何か変わりましたか？

勘太郎：ずっとマスクをしたり、授業ごとに手洗いとかしています。

――学校が、一回中止になったときはどうでしたか？

勘太郎：友達に会えないので、ちょっと寂しくなったりしました。

――連絡をとったりしましたか？電話とか？

長三郎：オンラインで授業をやっていたので、連絡とかはオンラインでしました。

勘太郎：まぁ、そういう感じです（笑）。

――お友達とは、どんな話をしますか？

勘太郎：最近「鬼滅の刃」にハマっているので、僕のクラスはみんな、鬼滅の話をします。もう、みんな好きです。

――長三郎さんは？お友達とはどんな話をしますか？

長三郎：友達とは、（「鬼滅の刃」の）最後らへんの話とか。よく知ってる子がいるので。

――今年から小学生になりました。小学校はどうですか？

長三郎：楽しいです。

――どんなところが楽しいですか？

長三郎：授業とか放課後とか、いろいろ楽しいです。

――授業は、何が楽しいですか？

長三郎：図工とか。

――何か作りましたか？

長三郎：えーっと、粘土でつまむだけのネズミを作って、穴を小指で空けて、その中を固めて。お家で草を撒（ま）いて、お水をあげて針を出してます。そういうハリネズミを作っています。

――本格的ですね。

勘太郎：粘土をつまんで作って、それが固まったのを持ってきて、穴を開けたところに種を撒いて、1日4回くらいお水あげて、日の当たるところに置いて草を生えさせて。たぶん、ハリネズミの針をイメージしてるんだと思います。

長三郎：たぶん、雑草っぽいやつを撒いてると思います。

――なるほど。放課後は何が楽しいですか？

長三郎：放課後は、鬼ごっことか。

――鬼ごっこ。

勘太郎：（長三郎に）「鬼滅ごっこ」は？

長三郎：（首を横に振る）

勘太郎：話したほうがよくない？

長三郎：ううん。

勘太郎：最近、お友達と「鬼滅ごっこ」というのを作って。鬼がいて、鬼と人と隊士を作って。鬼ごっこみたいなものなんですけど、人が鬼から逃げて、それで鬼に捕まったら、その鬼を退治することで、人が助かって、隊士がボディーガードみたいな感じで。

――なるほど、それが言いたかったのかな？

長三郎：はい。そんな感じです。

――勘太郎さんは、学校の授業は何が好きですか？

勘太郎：習字が好きです。書写が。

――どんな字を書いていますか？

長三郎：花火とか？

勘太郎：「花火」って課題で書いて。

――放課後は、どんなことをしていますか？

勘太郎：「ドロ警」とか。

――それは、普通のドロ警ですか？

勘太郎：はい。「鬼滅ごっこ」じゃなくて。あとは、大縄もやってます。

――全部学校の中でやるんですか？

勘太郎：はい。あ、手打ち野球もやっていて。打って、投げて、走って。

――学校の中で、一緒に何かやることはありますか？

勘太郎：ないですけど、会ったことあります！

長三郎：たまに会う。

勘太郎：体育の授業で。

長三郎：体育の授業で、お兄ちゃまが…。

勘太郎：水泳の授業で帰ってきたときに。

長三郎：始まるときに、会ったり。

勘太郎：あと、階段のところで会ったり。「あーっ！」って手を振って、「じゃあねー」という感じで。

――今年は、外に出られなくなった時期もありました。そのときは何か困ったことはありましたか？

勘太郎：困ったこと…。

長三郎：外に出て、公園行ったり、遊んだりすることができなくなったりしたから。

――勘太郎さんは、外に出られないときはどうでしたか？

勘太郎：外出とか旅行とかができなくて、ちょっと。行きたかったところがあるので残念でした。

――その間は、外に出ず、お家で何をしていましたか？

長三郎：「ドラクエ」とかゲームとか。

勘太郎：「ドラクエ」にハマってゲームとかしてましたし、あとお稽古も始まりました。

――稽古はどんなことを？

長三郎：山神とか。

勘太郎：連獅子という踊りとか、「紅葉狩」というお芝居の山神という役の踊りを教えてもらったりしました。

――やってみてどうですか？

長三郎：うれしいです。

勘太郎：あまりやらないお芝居とかの稽古が、楽しかったです。

――大変ではなかったですか？

勘太郎：大変なときもありましたけど、楽しかったです。

――長三郎さんは？

長三郎：同じです。

――お稽古で何か大変なところはありましたか？

長三郎：お稽古で大変なことは、振りを覚えること、一度やってしまったいけないことを、またやっちゃったこととか。怒られます。

――「直して、頑張って」と？

勘太郎：はい。

長三郎：はい。

――外に出られなくなって、お父さんもだいぶ家にいるようになったと思うんですけど、お父さんに変わったことはありましたか？

長三郎：「モンスターハンター」。

勘太郎：「モンスターハンター」のゲームをやったり、あとは、47都道府県を覚えなきゃいけないんですけど、覚え方を教えてもらったり。

――お勉強のお手伝いも？

勘太郎：お手伝いもしてもらってます。

――長三郎さんは、何かお父さんで…。

長三郎：お掃除も結構してます。掃除機を持って、ソファとかテーブルの下とかお掃除してます。

勘太郎：換気もしてるよね。

長三郎：はい。

勘太郎：お父さんが全部してます。

――お二人は、お手伝いはどんなことをしていますか？

長三郎：お手伝いは、お食事を作ったり、洗濯機に白いものを入れたり、お皿洗いとか。

勘太郎：お皿洗いもしてます。

――長三郎さんは、料理は何を作るんですか？

長三郎：料理は、コロッケ、バジルパスタ、お米、ガーリックチャーハン。

勘太郎：ガーリックライスね。

長三郎：お肉を切ったり。楽しいです。

――何が一番よくできましたか？

長三郎：お米を炊くことと、コロッケを作ることです。

勘太郎：3回ぐらい食べたことがあります。どれも、おいしかったです。

――7月には、浅草公会堂で「お祭り」（｢猿若揃江戸賑 厄祓浅草祭 ｣ ）をやったんですけど、やってみてどうでしたか？

長三郎：うれしかったり、楽しかったり。お客さまがいなかったし、無観客でオンラインというのも初めてだから、緊張しました。

――うまくできましたか？

長三郎：たぶん、できました。

――勘太郎さんはどうでしたか？

勘太郎：オンラインでは初めてで緊張したし、「お祭り」も初めてだったので、難しいところもありました。あとは、1月の「禿（かむろ）」からお芝居をやってなかったので、久々で楽しかったです。

――8月、夏休みの時期もお出かけできなかったと思うんですけど、我慢は大変でしたか？

長三郎：大変じゃありませんでした。

勘太郎：ありませんでした。二人ともお家が好きなので。ずっと家にいられたり、遊んだり、お芝居ごっこをしたり、テレビ見たり、お勉強したり。

――そういえば、すごいお芝居を作っていると聞いたんですけど、それはどんなものですか？

勘太郎：「ザザザ物語」です。

長三郎：1から…。

勘太郎：10まであるって言ってたよね。

長三郎：今、5までやったよね。

勘太郎：うん。まだあと5話。5作あるんで、ちょっともう大変です。

――お芝居は、どのくらい長い時間やるんですか？

勘太郎：お芝居って楽しいから、バーってやって「1時間半」とか言われて、「え！そんなにやってたの？」ってなる。

――今、学校でも「鬼滅の刃」が流行ってるそうですね。お二人で「鬼滅ごっこ」とかやりますか？

勘太郎：はい。してます。

長三郎：はい。朝。

勘太郎：昼もやってるよね。

――役の取り合いになったりしませんか？

勘太郎：うーん、するときもあるんですけど、しないときもあります。

長三郎：僕がおもちゃをもらったとき、（「鬼滅の刃」の登場人物の）煉獄さんが出て、お兄ちゃまが好きだから、あげるとか。

勘太郎：そういうのもあります。

――「鬼滅の刃」のどんなところが好きですか？

長三郎：家族が鬼になったりするところが。

勘太郎：僕は、戦闘シーンです。かっこいい戦いが。

――真似はしますか？

勘太郎：します。

長三郎：します。

――長三郎さんは、家族が鬼になったりするところが好きということですが…。

長三郎：すごいなって思います。「こういうつながりなんだ！」ってよくわかって。

――お話が？

長三郎：で、こうなって、こうなって、なんかやられて鬼になっていく。そういう感じのところが、「へぇ」ってよくわかります。

――そういう、ストーリーとかお話が好きということなんですか？

長三郎：はい。

勘太郎：たぶん、そうなんだと思います。

長三郎：でも、お話は、その映像が流れるときは、よくわかるけどちょっと短いんです。でも、よくわかるんです。それがすごいなと思います。

――ギュッと凝縮されているんですね。それは、自分がお芝居を作るときにも、そうしようと思いますか？

長三郎：そうしようと思うけど、そういう役がいろいろいるので、二人じゃできないかな？どうしよう…。

勘太郎：確かに、二人じゃできないよね。あの、「ザザザ物語」なんて、たくさん王様出てきてさ。「我はなんとかだ」。鉄砲打たれて、バタン。（次の王様が出てきて）「俺はなんとかだ」、「え？誰？」ってなっちゃう。「ザザザ物語」を二人でやるのは、もう限界です（笑）。

――王様は、何人出てくるんでしたっけ？

長三郎：王様はね、10人ぐらい。

勘太郎：17人ぐらい出てくるよね。

――それを見て、お父さんはなんて言ってた？

勘太郎：「え？誰？え？誰？」

長三郎：「え？誰？」とか。

勘太郎：あとは、弟が作った話で、お父さんが馬になる薬を飲まされて、それで馬になって死んじゃうんですけど。その死骸を見つけた子どもが、たぶんわざとじゃないんですけど、間違えてその馬の上に足を乗っけてしまって、それで蹴っちゃうんです。それをお父さんが見て、「今蹴ったよね？」って。「すいません」ってなる（笑）。

――どのくらいの時間やるんですか？

勘太郎：たぶん、1時間半。「ザザザ物語」は、10まであるって聞いたときは、お父さんが「まだやるの？」と言っていた。

長三郎：でも、「ザザザ物語」のほかにも、「鬼」とか…。

勘太郎：「ザザザ物語」の番外編が「鬼」というやつなんですけど、それがつながってるときが…例えば、「ザザザ物語」での弟（の役）が鬼だったり、鬼の子どもが、「糸の滝」というお芝居があって、その鬼だったり。それを聞いたときに「はぁ～、この人つながってたんだ」という感じになって。

――そういう細かいことは、誰が考えてるんですか？

勘太郎：そういうのは、弟が作ってるんですけど、それを「こんな感じなんだけど、つなげてよ」って言われたときに…。

長三郎：僕が「こういう感じなんだよ」って説明したら、お兄ちゃまが台本を書いてくれる。

――最後に、コロナが元通りになって、外に出かけられたり、昔みたいにいろいろできるようになったら、何がしたいですか？

長三郎：えーっと、いろいろ出かけたり、めちゃくちゃ遊んだり。

勘太郎：大分県に行ってみたいです。温泉県なので。行ったことがないところに行きたいです。

――長三郎さんは、どこか行きたいところはありますか？

勘太郎：海外でもいいんだよ。例えば、ニューヨークとか。

長三郎：アイスランド。

勘太郎：アイスランド？え、なぜアイスランド？

長三郎：ダメ？

勘太郎：いいけど。

――ちなみにどうしてですか？

長三郎：結構、日本と違うところがありそうだから。

勘太郎：アイスランドって雪とかだよ？

長三郎：雪とか、雪だるまとかいっぱい作れるから、いっぱい雪で遊びたい。

――長い時間、ありがとうございました。

勘太郎：全然大丈夫です。ありがとうございました。

長三郎：ありがとうございました。

聞き手：番組ディレクター　花枝祐樹