俳優の大竹しのぶさん、歌舞伎俳優の中村七之助さん、俳優で劇作家の渡辺えりさんの3人が『ボクらの時代』で鼎談。

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 七之助さんの亡き父、勘三郎さんが「ハエになって現れる」というエピソードに花を咲かせました。

十三回忌を迎える今もなお、その急逝が惜しまれる歌舞伎俳優、十八世中村勘三郎さん。

 その次男、七之助さんと幼い頃から家族ぐるみの付き合いがあり、公私ともに親しい大竹さんと渡辺さんが勘三郎さんの思い出を語りました。

 

 

勘三郎さんが主演を務めた大河ドラマ「元禄繚乱（1999年）」で初共演したという大竹さんと七之助さん。

当時の大竹さんについて「めちゃくちゃ優しかった」と語ると、大竹さんは「お父さんが厳しかったからね（笑）」と勘三郎さんの指導が厳しかったことを明かしました。

 

大河ドラマのリハーサルのとき、「（父に）引かれるくらい怒られていた」という七之助さん。

 

「リハーサルでいろんなシーンを撮るから、いろんな役者さんが長テーブルに座っている。その中から（芝居を）やる人だけ行くんですけど、僕は大先輩たちの前で本当に緊張して…。

お茶を持ってくるシーンでぜんまい仕掛けみたいに動いたら、『何だそれ！』と怒られた。

父が「怒る人」だというのは歌舞伎役者の方はわかっているけど、テレビの方はそんな怒る人を見たことないので、もうみんなビックリしていた。
みんなシーンとして僕はポロポロ泣いて、それくらい怖かった」と父の厳しい指導を告白。

そんな七之助さんを「（大竹さんが）『大丈夫だよ、大丈夫だよ…』と毎日、毎日言ってくれて…」と、大竹さんが慰めてくれたことを振り返ると、
大竹さんは笑いながら「自分の芝居よりも隆ちゃん（七之助さん）の芝居が気になって、
自分の芝居どころじゃなくなってたね」と当時を思い出していました。

さらに七之助さんは「出待ちの人をちょっと邪険にしてしまったことがあって。

（父から）タクシーに乗った瞬間に『お前、なにやっているんだ！あの人たちがいるから俺たちがいるんだよ！』って、本当にめちゃくちゃ怒られたことがあった」と、ファンの対応を巡っても、父・勘三郎さんから雷を落とされたことを明かしました。

そんな勘三郎さんの厳しい指導に渡辺さんは「それはでも親の愛情なんだろうね。いい歌舞伎役者になってほしいという祈りと願いがあったってことなんだろうね」と、回想。

「そこが尊敬できるよね」と、勘三郎さんの父としての厳しい姿に感心していました。

 

 

 

厳しい父であった勘三郎さんについて七之助さんは「今振り返ると、言ってもらってよかったなと心の底から思える」と、父の指導に今は感謝していることを明かし、
「勘三郎という役者のめちゃくちゃファンだった。今、本当に思います、『父のこの役を見たいな、あの役見たいな。一緒にこの役できたのにな』と。
その思いが日に日に増すのはすごいなと思います」と、亡き父に思いをはせました。

 

渡辺さんは「（亡くなってから）10年以上たつのに存在が今もハッキリしている人なんて、そうそういないね」と、勘三郎さんの存在の大きさを語っていると、大竹さんから「時々現れるしね」と、驚きの発言が。

 

大竹さんは「松竹座だったかな、私が一カ月舞台をやったときに、千秋楽で哲明（勘三郎）さんのことを思ったの。

舞台が始まる前に『哲明（勘三郎）さん、今日で終わるよ。うまくいきますように』ってお祈りをして舞台に出たら、私の頭の上をハエが飛んでいたの（笑）」と話すと、
七之助さんは「私の祖父が亡くなったときに一匹のハエが飛びまして。それから中村屋のすごく大切なときにはハエが飛ぶようになった。

僕がハエを見たら『祖父だ』と言っていたら、父が亡くなった後、ハエがもう一匹増えた」と、『中村屋の先代はハエになって現れる』という不思議なエピソードを明かしました。

そんな“ハエエピソード”に渡辺さんは「山形公演のときにもハエが来たんだよ！」と興奮気味に話し、「みんなハエを見ちゃって、（尾上）松也くんもいたんだけど、『来た！来た！』って」と、明かすと大竹さんと七之助さんは爆笑。

亡くなった今も3人の中にいる勘三郎さんの話に花を咲かしていました。

 

 

（「ボクらの時代」2024年2月11日放送より）

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