8月29日(土)からスタートするオトナの土ドラ『恐怖新聞』。
1970年代にオカルトブームを巻き起こした、つのだじろうの同名コミックを現代の京都を舞台によみがえらせた戦慄のホラー作品だ。
「恐怖新聞」は、未来に起こるあらゆる災厄を予言し、1日読むごとに100日寿命が縮まるという奇怪な新聞。それが届くようになった女子大生・小野田詩弦(おのだ・しずる/白石聖)が、死と隣り合わせの悪夢と恐怖に巻き込まれながら、未来を変えようと奔走する。
そんな詩弦とバイト先で出会って恋に落ち、恐怖新聞と関わるようになったことで人生が激変する松田勇介を、EXILEやFANTASTICS from EXILE TRIBEのパフォーマーとして活躍する佐藤大樹が演じる。
勇介は、不可解で理不尽な状況下で恐怖におびえ、自身が秘めていた弱さ、エゴが表出し、それが原因で複雑な人間関係に陥る…というキーパーソンだ。
繊細な感情表現あり、殺陣や切ないラブシーンもあるという、なかなかの難役である勇介役に挑む佐藤に、ホラー出演への意気込みや役柄、撮影エピソードなどについて聞いた。
<佐藤大樹 インタビュー>
ホラーは好きだけど、根っからのビビり
──『恐怖新聞』の出演オファーを聞いた時の感想を教えてください。
僕にとって、久しぶりの連続ドラマですし、今後ドラマに力を入れていきたいと話していたときにお話をいただいたので、まさに奇跡のタイミングでした。
ホラー作品を見るのは好きなのですが、僕自身は根っからのビビりで…(笑)。でも、そこに挑戦することで、役者として新たな階段を上れると思いますし、企画自体がものすごくおもしろくて、やりがいのある役に出合えたと思いました。
──原作は読みましたか?
怖かったのですが、コミカルなところもあって、結構笑ってしまいました(笑)。
ただ、この作品に出演することが決まった時に、「恐怖新聞に出るの?」と、いろいろな人に声をかけてもらったのがうれしかったですね。ホラーマンガのバイブルみたいに思っている方が多くて驚きました。
原作では、恐怖新聞がガラスを突き破って届くのですが、みんなに「どうやって新聞が届くの?」と聞かれるので、そこを楽しみにしている人が多いんだなと思いました。
やっぱり一番怖いのは人間!?
──原作とはだいぶ設定が変わっているそうですが、台本を読んだ印象はいかがですか?
とにかく怖いです。設定もぶっ飛んでいて、先が読めない展開なので、読んでいてドキドキしました。
恐怖新聞に書かれている事件が実際に起こるという怖さもありますが、僕としては、誌弦の母親の歌子さん(黒木瞳)が怖かったですね。やっぱり一番怖いのは人間なんだと、この台本を読んで思いました。
そして最後は、「お見事!」という感じで、まさに挑戦的な作品だと思います。
──松田勇介を演じる上で意識していることはありますか?
勇介は、まっすぐで爽やかで、憎めないキャラクターになったらいいなと思っています。いろいろな恐怖や不幸が続く中で、誌弦と勇介のシーンは、少しホッとしたり、ニコッと笑えるような感じになれば。
「勇介は、いいヤツだし、憎めないけど、バカだな」と思っていただけるようなお芝居を心がけています。
──白石聖さんとの共演はいかがですか?
白石さんは、すごくお芝居がうまいという印象があったのですが、実際にお会いしてみると、映像で見るよりも大人っぽくて、落ち着いた方。今作が連ドラ初主演と聞いて、びっくりするほど頼もしいし、きちんと自分の意見を監督に伝えていて、すばらしと思いました。
僕は、共演者の中に同世代の男性がいない現場が初めてで、正直、現場でどういたらいいのか困っています(笑)。
ただ、僕は撮影が終わったあと温泉に行くのですが、白石さんも一人で行くタイプらしく、温泉情報を交換しあっています。
ダメだしをされたい“M役者”開花!?
──中田秀夫監督の演出はいかがですか?
映画「リング」は、僕の母親が大好きで、3回くらい見ています(笑)。だから、このドラマに出演することを伝えた時は、すごく喜んでくれました。
ほかにも、映画「スマホを落としただけなのに」やドラマ『リモートで殺される』など、どれも大好きです。映画「事故物件怖い間取り」は、以前、原作者の芸人・松原タニシさんとラジオでご一緒したときに、中田監督で実写化すると聞いて楽しみにしていました。そうしたら今回、監督とご一緒できると聞いたのでうれしかったです。
中田監督は、“貞子”のような人間離れしたものの怖さはもちろん、“人間のもつ本来の怖さ”を演出するのがうまいと思います。
──ホラーならではのお芝居の難しさはありますか?
僕自身は、恐怖のリアクションや目の見開き方などが課題になるんじゃないかと思って、たくさんホラー映画を見て勉強しました。
中田監督からは、「セリフをサラッと言うのではなく、一つ一つ立てて、わかりやすく、聞き取りやすく。そして、メリハリのある芝居をしましょう」と言われました。
監督は、「今の3.5倍オーバーに!」など数字でアドバイスをくださるのですが、恐怖のリアクションは自分の思っている5倍くらいはやらないと、見ている方は共感できないとおっしゃっていて…。
僕自身、ダメだしをされたいタイプの“M役者”なので、いろいろ指導していただけるのはうれしいです(笑)。
役のためなら何でもやります!
──第1話から、白目をむいて、けいれんするシーンが出てきますね。
白目ってどうやるんだろうというところから、すごく研究しました。本番では、監督から「こんなにちゃんと白目をむいた人は初めて見た」と言っていただいたので、それくらいうまくできたと思います(笑)。
これまでに「ここでにらんでほしい」とか「泣いてほしい」「笑ってほしい」というのはありましたが、「白目をむいてほしい」というのは初めてだったので、やりがいもありました。
しかも、本番はテストよりもすごく長い時間カットをかけないんですよ。カットをかけずにやったら、どれくらいできるんだろうという、監督の“ドS”な部分も見られたのでおもしろかったです。
──グループ活動ではカッコよさを求められると思いますが、ドラマで白目をむいてしまって大丈夫ですか(笑)?
自分は、役のためなら何でも選ばずにやりますよ(笑)。
FANTASTICSのメンバーは、みんなホラーが好きで、僕がドラマ出演するのをすごく喜んでくれています。コロナの影響でライブができない中、自分が出ることによってグループの名前が世間に広まればうれしいし、僕自身も一人で活動できる機会をいただけて感謝しています。
──最後に、メッセージをお願いします。
“だれの身にも起こりうる”“先の読めない展開”など、見ている方も恐怖に巻き込んでしまうようなドラマです。
僕としては、登場したときから勇介はデリバリーサービスのバイトで宅配バッグを持っているのですが、そのバッグを開けたら…というシーンが一番怖いと思いました。 眠気が覚めてしまうような怖いドラマです。ぜひご期待ください。
撮影:今井裕治