【眼福♡男子】Vol.23尾上右近 目指すのは「どんな瞬間を切り取っても“芸”を感じられるエンターテイナー」
7月22日(水)~8月5日(水)帝国劇場/ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」イン コンサート
次世代歌舞伎俳優の一人として、めきめきと頭角を現している尾上右近がこの夏、ミュージカルの大舞台に初めて挑む。新型コロナウイルスの影響により、本公演ではなく、ミュージカル「『ジャージー・ボーイズ』イン コンサート」(7月22日~8月5日)という形での上演となるが、日本演劇界の最高峰・帝国劇場に立つ心境や、コロナ禍における近況を聞いた。
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稽古場は、歌舞伎とミュージカルの共通点と相違点を発見できる感覚にあふれていました
――本番間近となりましたが、稽古の手ごたえはいかがですか?
歌舞伎以外の作品もまだそんなに経験を積んでいるわけでもなく、さらに初めてのミュージカル、初めて人前で歌を披露するということで相当な気合を入れて飛び込みましたが、とても明るく康的なお稽古場で、新鮮さを感じています。
残念ながらミュージカルとしては中止となってしまいましたが、コンサートという形で復活したことがとても嬉しく、トミー・デヴィートという役でありながら、トミーではない尾上右近としての一面もお見せできたらと考えています。
とはいうものの、トミーという役柄を一度も演じたことがないので、どういうスタンスで演じればいいか、演出の藤田俊太郎さんや大先輩の中川晃教さん、藤岡正明さんが考えてくださって、「こういうほうがやりやすいんじゃない?」といろいろアドバイスをしていただきました。
――いつかミュージカルをやってみたいという思いは以前からあったんですか?
10代半ばまでは歌舞伎のことしか考えていなくて、他の活動にも…というところまで考えが至っていなかったのですが、諸先輩方がいろいろな分野に触れているのを見て、歌舞伎以外のことにも挑戦してみたいという思いが徐々に増していったんです。その中でもミュージカルは大きな目標で、20代のどこかのタイミングでやらせていただく機会があったらいいなと思い描いていたので、今回の出演は願ってもいない幸せでした。
僕は歌舞伎役者の一方で、清元という歌舞伎の伴奏音楽の宗家家元の家に生まれ、唄をうたう太夫のお仕事もさせていただいているので、声を通じて歌詞に込められた思いを伝えていきたいと日頃から意識していたんです。そういう意味でミュージカルは僕の中に潜在的にあったものと一致しますし、表現の違いはあれど、歌舞伎とミュージカルの共通点と相違点の両方を発見できる感覚に今、あふれているところです。
何しろ、大劇場でお客様の前に立つことが1月以来なので、ステージに立った時の自分の気持ちを想像するだけでもワクワクします。
白鸚の叔父さん、松也のお兄さんの言葉が励みになりました
――初めてのミュージカル出演が帝劇というのも、すごいことですね。
これは本当に光栄なことで、歌舞伎役者がミュージカルで帝劇に立つのは(松本)白鸚の叔父さん、そして、(尾上)松也のお兄さん以来なんだそうです。今年、新年のご挨拶まわりで白鸚の叔父さんにお会いし、ミュージカル出演が決まったことを報告したところ、「観に行くよ」とご自分のことのように喜んでくださいました。その言葉がとても励みになりましたね。
――松也さんからはアドバイスなどあったのでしょうか?
いろいろな作品が幕を明けて再出発すること自体が難しいなか、「『ジャージー・ボーイズ』がミュージカル作品の先陣を切ること、そして、その場所が帝劇であることに大きな意味があるし、歌舞伎役者がその一員として重要なポジションで参加できることは、あなたの人生において素晴らしいステータスになるから頑張って」と言ってくださいました。
今でこそ歌舞伎役者がミュージカルに出演することはそんなに珍しいことでもなくなりましたが、白鸚の叔父さんや松也のお兄さんにとっては未知の挑戦だったと思うんです。それは経験したことのある人間にしかわからないものだと思うので、僕もその気持ちを共有できることがとても嬉しいです。
――トミー・デヴィートという役は当初、藤岡正明さんとWキャストでしたが、コンサート形式になったことで奇跡的に同じステージへと立つことになりましたね。
Wキャストは「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」で(市川)猿之助のお兄さん、そして、同年代の(中村)隼人さんや(坂東)新悟のお兄さんとも経験しているんですけど、同じ役の方と一緒に舞台に立つことは初めての経験です。今回、お稽古をして、藤岡さん演じるトミーの厚みと器の大きさ、自由度の高さを肌で感じました。ですので、藤岡さんのトミーを真摯に受け止めたうえで、自分なりのトミーをいかに作り上げていくかが大きなテーマです。
――一緒にお稽古をして、生で耳にした皆さんの歌声はいかがですか?
皆さん、本当に歌が好きなんだなと感じる部分をお稽古でたくさん発見できることが、とても楽しいです。好きなものに対する純粋な気持ちって、何物にも代えがたい心を打つものなんだなっていうふうに感じました。
バラエティ番組出演には“嫌われる勇気”をもって挑んでいます
――この数ヵ月、ご自宅で過ごす時間も多くあったと思うのですが、その中で考えたこと、また、どんなふうに過ごしていたのかを聞かせてください。
僕は「芸は人なり」という言葉が好きで、芸には人間性が出ると思うんですね。それがどういう瞬間に出るのかというと、ちょっとしたアクシデントや突発的な事態が起きた時、瞬発的なリアクションなどに表れるのではないかと。そういうことは日頃からちゃんと受け止めて整理しておく必要があると思ったので、(自粛明けで)再出発する時に以前よりもパワーアップした自分になれていたらいいなと、いろいろと準備をしていました。
具体的にいうと、先祖について調べたり、お墓参りに行き、墓の掃除をしたり、ファンクラブの方にゲリラ電話をさせていただいたり。あとは踊りのお稽古や、心拍数が上がった状態でのパフォーマンスが衰えないよう、全力で走って立ち止まって見得をするとか、そんなこともしていました。
――右近さんが舞台に向き合うモチベーションになっているものは何ですか?
昨日より今日、今日より明日、ちょっとずつ進化している自分に期待するということですね。そして、自分を支えてくれる人、応援してくれる人、育ててくれる人、自分のために何かをしてくれている人のためにやるということが、安定した僕のモチベーションになっています。
――先日、フジテレビの『ダウンタウンなう』で披露した素の一面も大きな話題となりましたね。
番組に出させていただく際は、嫌われる勇気を持って挑んでいます。番組をご覧になった方の中には生意気だとかチャラチャラしてる、フワフワしてるという印象をおぼえた方もきっといらっしゃると思うんですけど、その一方で好意的な意見も多くいただきました。
自分の内面的なものをさらけ出すことで、もしかしたら嫌われてしまうんじゃないかと不安を抱えていたんですが、思いきってさらけ出すことが共感を呼ぶ、好感をもっていただくことにつながるんだということをすごく感じました。
――『ダウンタウンなう』では、右近さんが「よく泣く」と、親友の布川隼汰さんが暴露していましたが…。
そうなんです。この自粛期間も、インプットするための時間にしたくて日々を静かに過ごしていたので、いろんなことに敏感になり、人の優しさやちょっとした言葉に反応してはすぐに泣いちゃうみたいな状態になっていました。
感情が抑えられないんですよね。今回の「ジャージー・ボーイズ」もそれぞれの独白場面があるんですけど、フランキー・ヴァリ(中川晃教)の最後のセリフを聞いていたらお稽古場でもウルッときてしまいました。
今の願いは「ただ普通に歌舞伎の舞台に立つこと。満員のお客様に向き合いたい」
――感受性が豊かなんですね。では、コーナー名にちなんで、右近さんの“眼福”な存在は?
海かな。よせては返す波…これがもう最高の眼福です。しばらく海にも行けてませんが、時間ができたら宮古島の海でボーっとして、何もしない時間を過ごしたいです。
――元の生活へと戻ったら真っ先にやりたいことは何ですか?
ただもう普通に歌舞伎の舞台に立ちたいです。それでしかない!決して安くはないチケット代金に値するようなものをお見せして、満員のお客様の拍手を聞きたい。そして、「ありがとうございました」と挨拶をし、舞台裏で役者仲間やスタッフさんたちとハグをしたり、握手をしたり。それが普通にできるようになったら、今まで以上にありがたみを感じるんでしょうね。
――1日も早くそんな日が来ることを願っています。最後に、右近さんが目指す役者像について聞かせてください。
指に付けた絵の具を紙にシュッと描いただけで素晴らしい作品になってしまうピカソや、「芸が羽織を着ている」と表現されたた古今亭志ん生師匠のような、その人にしかない魅力をもった芸を感じる人間。どんな瞬間を切り取っても芸を感じることのできるエンターテイナー、グレイテストなショーマンになりたいです。そのためにはまず、目の前の「ジャージー・ボーイズイン コンサート」を成功させることが課題。今後の尾上右近にどうぞご期待ください(笑)。
撮影:河井彩美 ヘアメイク:白石義人(ima.)
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