提供元のルールを守れば、誰でも無料で利用できる写真やイラストの「フリー素材」。インターネットニュースのイメージ画像や企業広告、商品のパッケージなど幅広く利用されているが、ここで“自称・日本一自分の顔が使われている”男性がいるらしい。

公開されている写真はなんと3000枚以上! “フリー素材のモデル”の大川竜弥さんだ。一体どんな人物なのか?フジテレビ『めざまし8』で、話題の人物や物事を捜査する“三面刑事”こと山下真司が、早速捜査を開始した。

女性に壁ドンした写真は、あの有名企業の広告に使用!

山下刑事:お前か、日本一インターネットで顔が使われている男ってのは?

大川さん:はい。そうです。フリー素材モデルの大川です。

このあと、新作フリー素材の撮影に来たという大川さんについて行くと、そこはマンションの1室にあるレンタルスペースで、中にいたのはカメラマンひとりだけだ。

山下刑事:(全部で)2人だけ?

大川さん:予算もないので。

大川さんは、2012年から、フリー写真素材サイト「ぱくたそ」の専属モデルをしている。いかにもイメージっぽい写真や時事ネタ、パロディ、“何に使えるのか?”というような不思議なものまで。公開されている写真は、なんと3000枚以上。今までに100社以上の企業広告で、写真が使われたそうだ。

こちらの女性を壁ドンするドキドキな写真は、どこに使われたかというと…。

「養命酒」の“冷え症の壁にドンと効く!”のキャンペーンサイト広告に使用された。

一方でこちらの、黒い背景で渋くたばこを吸っている写真は…?

「誰にも迷惑かけていない」…と思っていませんか?という、福岡市の受動喫煙防止啓発ポスターに使われた。

“使いやすい”写真を撮るコツは?

今回の撮影テーマは「マスク会食」。撮影を進めていく大川さんの様子をみると、

カメラマン つるたまさん:逆面のほうが。ああそうですね。

大川さん:盛り上がってますみたいなのも撮っといて。

カメラマン つるたまさん:知り合いが来て、おーいこっちだよみたいなやつ。

大川さんはカメラマンのつるたまさんとあうんの呼吸で撮影を進めていく。表情を次々と変えながら、いろいろなパターンが撮れている様子だ。つい、山下刑事はオリジナルのナレーションをつけ始める。

山下刑事:もも肉、やっぱり弾力があっておいしいよな。口の中に焼き鳥の味が。あー幸せ。表情で今どうなんだって気持ちをやっぱり表現しないと、ただ単に無表情で食べてたら面白くないのね。

大川さん:こういうシチュエーションですよっていうのを分かりやすく伝えると、使う側も使いやすいフリー素材になります。

山下刑事:俺、いまもナレーション入れてたけど、すごく入れやすいもん。

大川さん:やりやすかったです。

山下刑事:一度に何枚くらい撮ってます?

カメラマン つるたまさん:だいたい1000枚から3000枚多い時だといきますね。

山下刑事:そんなに撮るの!?

撮影から10日。この日撮った写真のいくつかは、ホームページに掲載され誰でも無料で使用できるようになっている。そんな大川さん、街で声をかけられることも。時には、家電量販店のポップや、居酒屋のポスターなど、街中で偶然自分の写真を発見することもあるという。

たくさんの写真が使われているということは、やはりかなり稼いでいるのか?

山下刑事が切り込む!「収入、すごいでしょう?」

山下刑事:3000枚も写真撮ってたら、収入すごいでしょう?

大川さん:いくら使っても僕には1円も入ってこないんですね。仮に100万枚使われても、1円にもならない。

山下刑事:どうやって食いつないでいたの?

大川さん:2019年くらいまではアルバイトをして、週5回。

山下刑事:2019年!?つい最近じゃん。どうやって生活してるんですか?

大川さん:フリー素材を見た企業から、うちの会社の広告に出てくださいとか、CMに出てくださいとか、そういう依頼をいただくようになったので、今はそれでなんとか生活できてますね。

山下刑事:今は失礼ですけど収入はどれくらい?

大川さん:去年の年商?年間の売り上げでいうと330万円くらいです。

現在は、企業から依頼されたSNSモデルの出演料などで生計を立てている大川さん。さらに、最近ではテレビコマーシャルにも出演するなど、徐々に活躍の場を広げている。

それではなぜ、お金にならないフリー素材のモデルを続けているのか。

大川さん:人に感謝されることが多いんですよ。無料なのにこんな色んなフリー素材使わせてもらってありがとうございます、とか。色んな人から感謝されるっていうのが大きいですね。

フリー素材を使用した人からの「感謝」を大切にしている大川さん。そこで、大川さんの提案により、三面刑事も実際にフリー素材のモデルを体験することに。

「絵になってはいけない」大川さんのこだわりを学ぶ!

テーマは「ひとりぼっちのクリスマスを過ごす男性」。早速三面刑事が撮影したものを大川さんに見てもらうと…。

山下刑事:どう?俺のおじいちゃんトナカイ。

大川さん:絵になっちゃってますよ。

山下刑事:絵になっちゃってる?

大川さん:フリー素材はやっぱり絵になっちゃいけないんですよね。ポスターのデザインの一部で使われたりするので、目立っちゃいけないんですよ。

そこで、より良いフリー素材にするためのテクニックを披露した。

大川さん:向かいの席に置くと、本当は彼女が来るはずだったけど来なかった感がちょっと出るんですよね。脱力してこう帽子をずっと見つめてるというのも…。

できあがった写真がこちら。

山下刑事:影うすっ。自己主張が全くないね。

大川さん:ほめてますか?(笑)

山下刑事:ほめているよ。でも、本当に個性無いな。

大川さん:ありがとうございます!実は、10年くらい髪型変わってないんですよ。体型も。週5でジムに行ってますね。なるべく見た目も個性がないように。

自身の見た目にも注意する徹底ぶり。そんな大川さんの夢は…

「僕のお葬式の遺影もフリー素材に」

大川さん:生涯現役。死ぬまでやって、カメラマンさんにも言ってあるんですけど、僕のお葬式も遺影もフリー素材として出していいよって言ってあるので。

決して収益を重視するのではなく、フリー素材モデルとしての「誇り」を持って活動する大川さんだった!