7月16日(木)22時より、木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』がいよいよスタートする(第1話、第2話15分拡大)。
日本で初めて病院薬剤師にスポットを当てた医療ドラマである本作。主人公の葵(あおい)みどりを中心に、相原(あいはら)くるみ(西野七瀬)、瀬野省吾(せの・しょうご/田中圭)ら病院薬剤師が、患者の“当たり前の毎日”を取り戻すために奮闘する姿を描いていく。
本作で、誰よりも患者1人1人との関わりを大事にしている薬剤師・みどり役を演じるのは、石原さとみ。初回放送の延期、撮影の中断…これまでに経験のなかった状況の中での撮影と、現場での裏話、そしてようやく放送がスタートする率直な思いなどを聞いた。
<石原さとみ インタビュー>
――撮影が中断していた自粛期間中は、どんなことをして過ごしていましたか?
アクリル絵の具を買って、絵を描き始めました。頭の中にあったものを描いたんですけど、そのテーマが「温暖化で死にそうな絶滅危惧種」で。メイクさんに「これを描いたんだよね」という話をしたら、「これはやばいです!」と言われて(笑)。ずっと家にいる中で描いていたので、そこで自分も知らないうちにストレスを抱えていたんだなと気づきました。
それではまずいと思い、明るい色で別の絵を描いたり、水書道をやったり、お花を宅配してもらって生けたり、ビデオ通話で人と話すようにしたり、気持ちをプラスに持っていくようにして過ごしていましたね。
――ドラマとしては、「葵みどりのお薬講座」という動画も出されていましたね。
視聴者の皆さんにドラマのことを忘れられないように何かできないかということは、撮影を休んでいる間もプロデューサーと話していました。
いろいろと提案させていただいた中で、「葵みどりのお薬講座」(公式HPに掲載中)を撮ることになったのですが…出来上がった台本がとても長くて(笑)。そういう意味では、セリフを覚えて発するということを忘れないでいられましたね。
あとは、あの動画を撮ることで、葵という役自体も忘れずにいられましたし、撮影が再開した時に「久々だな」という感じにもならなったのが、良かったなと思っています。
――そして約2ヵ月がたって撮影再開。自粛期間の前後で撮影に臨む上での気持ちの変化はありましたか?
私自身が油断したら、(撮影が止まってしまい)周囲に大きな迷惑をかけてしまうということを以前より強く感じています。撮影中はもちろん気が張っているんですけど、撮影を終えたあと、プライベートな時間も今はすごく気を張っています。
仕事が終わったあとに友達や家族に会いたいなと思っても、気軽には会えないですし。作品に携わる1人として、責任感の重さをちゃんと自覚して行動をするようになりました。
――撮影自体に制限ができたり、大変なことも多いと聞きますが…。
医療ものの作品をやるにあたって、やっぱり医療従事者の皆さんにご迷惑をおかけしない対策は徹底されているなとすごく思いました。もし私たちキャストやスタッフの中から新型コロナの感染者が出たり、熱中症で倒れる人がたくさん出てしまったとしたら…。それでは、医療従事者の方の負担になってしまいますよね。
感染予防のためにスタッフさんが小道具をこまめに除菌してくださったり、この状況になったことがキカッケですがロケが減ったことも熱中症対策になっていて。今、スタジオはどこに行っても萬津総合病院になっていて、とても撮影がしやすいんです。換気も整っていて、待機場所もあって、今までロケに出なきゃいけなかった部分が全部スタジオで撮影できるというのはありがたいなと感じています。
これには、美術さんとか大道具さんの力が大きいと感じていますし、スタッフの皆さんがお芝居をしやすいような環境を整えてくださっている感じが本当にうれしいです。
――撮影再開後にキャストの皆さんでお話されたことはありますか?
再開した日は、単純に久々にみんなと会えたことがうれしくて、いろいろ話をしましたね。やっぱり「自粛中は何してた?」という話は最初にして、みんな料理をしたり、家族との時間を楽しんでいたり。あとは、私もそうですけど、2ヵ月前に撮っていたシーンとの繋がりもあるので、体型や髪型を含めて“変わらない”ということをみんな意識して過ごしていたようでした。
でも、不思議なのですが…2ヵ月間会っていなかったのに、ちょっと仲良くなっているんですよ(笑)。なんでだろう?すでに1ヵ月半くらい撮影していたこともあって、“知ってるよね感”があるのかもしれないです。2ヵ月の間で愛を育んでるわけじゃないんですけど(笑)、今はすごく会話をしますね。あ、この同じ状況を一緒に乗り越えている仲間っていう意識が強くなったのかな。安心感、居心地の良さを以前にも増して感じています。
――改めて、みどりを演じていて、共感できるのはどんなところですか?
正義感強さですね。回を重ねていくうちに、患者さんと患者さんのご家族のことを第一に考えている薬剤師さんなんだなということが、より強く感じられるようになってきています。
あとは、みどりがくるみ(西野)を愛おしく思う瞬間があるのですが、私が七瀬ちゃんを「かわいい」と思う気持ちと重なるところがありますね。お芝居って年齢も経験値も関係がなくて、スタートしてから同じゴールを目指していくものだから、みんな対等な関係なんです。だから、10代とか20代の子とは友達のような関係になることが多くて。
でも、七瀬ちゃんの場合は、とにかく「かわいい」と思うんですよ。この気持ちって何なんでしょう(笑)。母性?私と話す時に見せるこの笑顔を役柄でも見せてほしいなと思ったり。劇中でくるみが輝けば輝くほど、この作品はもっと良くなるなと感じているので、みどりとともに…おこがましいですが、見守っていきたいなと思っています。
――撮影は毎日大変かと思いますが、そんな中でも癒されることはありますか?
料理をしている時ですね。今まで、ドラマの撮影に入ると自炊をする気力がなくなっていたのですが、自粛期間中、毎日ご飯作っていたこともあって、料理をすること自体に慣れたんです。今はドラマの撮影をしていても家に帰ったら毎日自炊しています。
――最近作ったもので一番うまくいった料理はなんですか?
私、いつもクックパッド大先生を頼っているのですが(笑)、担々麺がとてもおいしかったです。あ、でも油淋鶏もおいしかったなぁ。でも、担々麺ですかね。
以前、豆乳担々麺は作ったことがあったのですが、豆乳よりも普通にダシで作ってみたら、もたつかない、ちゃんとひき肉の味が伝わる担々麺にできて。とてもおいしかったです。
――どうしても気分が落ち込みがちになる昨今。皆さんに、元気になるメッセージをお願いします。
自分の心を豊かにするご褒美って自分の中で何かと考えたら、結構出てくると思うんです。ちょっと家具の位置変えてみるとか、気分転換をしてみるとか。知識を得るとか。「よっこいしょ」と重い腰を上げなければいけないかもしれないけど、意外とちょっとした小さな勇気で得られる幸せってある気がするので、探してみてほしいですね。
自分で初めて髪の毛切ってみるとか、そういうちっちゃなことでもいいんです。そういうことを通して、自分で自分を鼓舞していけたら、きっと元気が出ると思うので試してみてください!
――最後に、『アンサング・シンデレラ』の放送を約3ヵ月待っていた皆さんにメッセージをお願いします。
お待たせしました!この3ヵ月の世界情勢の変化で、皆さんが思っていた薬剤師さんに対するイメージが変わったと思います。いろいろな意見はあると思いますが、今放送することに意味があったと思ってもらえる作品になるように、現場は頑張っています。状況が落ち着いてからでいいので、とにかく薬剤師さんに見ていただけたらうれしいですね。皆さんがやっている仕事は、これだけ尊くてかっこいいんだということが伝えられたらいいなと思っています。
そして、原作漫画がお好きな方も、漫画のエピソードも描かれていますので、楽しみにしていてください。私は回を進むにつれて、どんどん脚本が面白くなっていて、台本をもらうたびにワクワクするんですけど、私と同じように毎週木曜日にワクワクしてもらえたらうれしいです!