＜山本美月 インタビュー＞

――ドキュメンタリーのナレーションは初めてだそうですが、収録を終えていかがですか？

楽しかったです。過去に自分が出演したドキュメンタリーに声を入れたり、CM内で何かを読んだり、ということはありましたけど、本格的なナレーションのお仕事は今回が初めて。

以前から、いつかナレーションをやってみたいなと思っていて、マネージャーにも伝えていたので、念願叶った、という感じです。

――声優の経験はありますよね。

何度か経験があるんですけど、どうしても“ゲスト”として扱われてしまい、あまり演出していただけなくて、あとから聞き直して、「ああ、ここはもっとこうすればよかったな」と思うことがあったんです。

声優のお仕事も好きなので、もしまた、やる機会があったら、声優のお友だちにいろいろ聞いてやってみたいですね。

――人力車の俥夫を目指す若者たちの物語には、どんな印象を持ちましたか？

切なかったです。ちょっと衝撃的な展開でしたけど、当然、どういう結末になるか、わからず取材を始めているのですから…。それが、本当にリアルだと思いました。

――何度も検定試験に落ちてしまうアツシさん、それをなんとか引き上げようとする先輩と社長。どちらに感情移入しましたか？

どちらにも感情移入しました。両方のことがよくわかって。例えば、アツシさんは、怒られているときにヘラヘラした表情に見えてしまって、それを先輩に怒られるわけですけど、その両方の気持ちがわかりました。

アツシさんは、自分の中に何か葛藤があって、言いたいことがあっても言えなかったり、集中しきれなかったのかな、と思いましたが、本当のところは本人にしかわからないですよね。

社長や先輩が言っていることは本当にその通りだと思いましたし、いい人たちしかいない会社でしたよね。あそこまでちゃんと怒ってくれて、しかもそれが愛ある怒りですから。

怒っている人を見ていて愛情が感じられるって、なかなかないですよね。私も、30歳を過ぎて、怒られることが減ったと感じているのですが、本気で怒られるってあまりないことだと思いますから。

――検定試験の壁がなかなか越えられない研修生が登場しますが、山本さんはそういった壁を感じることはありますか？

常に感じています。何度、作品に出演しても、毎回反省点がありますし、心から「できたな」と思えることはあまりないです。

お芝居の世界は、正解がないし、点数を付けられるものではないですし。周りから好意的な声が聞こえたり、監督から褒められたら、よかったのかな、と思えるかもしれないですけど、大半の監督は褒めたりしませんから（笑）。

そうすると「今のはよかったのかな…」と、もやもやが続くこともあります。

作品が公開されたり、オンエアされたりすると、賛否の声は両方あるものですが、やっぱり悪い声のほうが自分の中でも目立ってしまうので、やはり壁だな、と感じています。

――今回、社長や先輩から、真摯なアドバイスがなされますが、山本さんもそういった印象的な言葉をかけてもらった経験はありますか？

信頼している監督や先輩の俳優さんから、相性がいいと言われたり、褒めてもらったりすると、やっていてよかったな、と思います。

あの人が褒めてくれるんだから、悪いところだけではないんだろうな、と思うこともありました。

――最後に、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

これこそ本当に『ザ・ノンフィクション』といいますか、現実を突きつけられる回かな、と思います。登場人物みんなに共感できると思いますし、考えさせられます。「リアルな世界」を見ていただきたいです。