4月9日(木)22時よりスタートするフジテレビ木曜劇場『アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋』(初回15分拡大)。

本作は、日本の連ドラ初となる病院薬剤師が主人公の新・医療ドラマ。石原さとみ演じる葵(あおい)みどりが、患者の“当たり前の毎日”を取り戻すために奮闘する姿を描いていく。

新しい視点の医療ドラマで主演を務める石原に、作品にかける思いや意気込み、共演者の印象などを聞いた。

<石原さとみインタビュー>

――本作のオファーを受けた時の心境を聞かせてください。

最初に企画を聞いた時は、すごくうれしくなりました。いつも薬剤師さんにお世話になっているはずだけど、どんなお仕事をされているのか全然知りませんでしたから。それを知ることができる、しかも作品に関わることができるということがうれしいなと思いました。

薬剤師さんが正しいお薬を出すことって、“できていて当たり前”だから「ありがとう」となかなか気持ちを込めて言われないお仕事だったりすると思うんです。裏でどんなお仕事をされているのかという部分を見せることができたら、きっと「ありがとう」の質を変えることができるんじゃないかと。このドラマがそういう作品になったらいいなと思っています。

――みどりはどういう役柄なのしょうか?

新しい薬が出ると匂いや味を確認する薬オタクな一面があり、どんなにキャリアを重ねてもちゃんと新薬を勉強する真っすぐな姿勢を持っている人。その夢中な感じというか、知識欲は私自身にもあり、「似ているな」と感じていて、大好きな役ですね。

みどり役を演じるということに関しては、気持ちがすごく前のめりになっていました(笑)。お話をいただいて原作漫画を読んだ段階で、薬剤師さんの役は絶対にやりたいと思っていましたから。

薬剤師さんは病気を“治し続ける人”

――「薬剤師ってこんなことするの!?」と、初めて知ったことはありますか?

夜勤があることは単純に知りませんでした…(笑)。1度だけ、3日間入院したことはあるのですが、今回初めて知ることが多いです。

――演じていて「薬剤師さんはこういう存在なんだ」と感じたことはありますか?

手術などをして、治して終わりということではなく、自分らしい生活ができるようになるまでケアしているんだということを知って、ハッとさせられました。お医者さんが言ったこと(処方箋)を受けて、治し続ける人という感じでしょうか。

あと、みどりがセリフでポロッと言うんです。「体に働きかけてるのは薬じゃん」って。「医者が治しているわけじゃない」と。薬が口の中に入って、体に働きかけているので、その薬を口に入れたり、入れ続けたりしたあとを見ているのが薬剤師さんなのかなと思いました。

もしいつか入院することがあったら、声をかけて気になることは聞いて、ちゃんとお世話になりたいなと思いました。

――友人に薬剤師さんがいるとのことですが、何か相談されたりしましたか?

普段の仕事着について聞きました。友人の話だと、薬剤師さんはドクターと間違われてはいけないので、生地の薄いちょっとシワが寄ったような白衣を着ているらしくて。しかも、だいたいのドクターが前を開けて白衣を着ているので、一生懸命ボタンを閉めている、と話していました。

でも、薬剤師として「こうなったらいいな」という話も聞いていたので、制作チームと相談をして、最終的にスクラブ(近年、医療ドラマの手術シーンで医師が術着として着用している形の医療白衣)のユニフォームを作りました。

ただ、スクラブにすると術着や介護士さんに似ているという問題も出てきて。スクラブを着る職業の方々と差別化をするにはどうしたらいいのか、たくさん話し合いました。楽しかったですね。

――こだわりポイントはありますか?

ハリがあって機能的な生地、優しいけど甘すぎない色、ステッチ、切り返し、シルエット、ポケットの大きさから位置までこだわっています。特にシルエットはシャープに見せたいけど、きつくは見えたくないと思って今の形にしています。

いつか薬剤師さんたちがこのユニフォームを実際に使ってくれたらいいな…というのが、夢です(笑)。

作品を通して、かかりつけ薬剤師の大切さを広めることができたらうれしい

――役を通してどういうふうに薬剤師という職業を伝えていきたい?

身近な薬剤師や医師の友人から聞く反響だけでもものすごい期待値なのでうれしいです。だからこそ、このドラマは夢物語にしたくないなと思っています。ちゃんと現実を伝えていきたい。問題提起もしたい。答えが出ないとしても、考えるキッカケを作りたい。そんな作品にできたらいいなと思っています。

ただ、ネガティブな部分を映すだけにはしたくなくて。「どういう時にガッツポーズをする?」「どういう時にうれしい?」「どういう時に安心する?」「どういう時に良かったと思う?」と友人に聞いているんです。そういうプラスの部分をドラマの中で映していけたらいいですね。

あとは、かかりつけ薬剤師がなかなか浸透しないと言われているので、広まっていったらいいなと思います。

薬のことで何か気になることがある時に相談できる薬剤師の友達がいるってすごいありがたいな、何を聞いても答えてくれる人がいるってすごいなと、このドラマに出演したことで、改めて感じました。どれだけ勉強してきたんだろうと思いましたし、尊敬しています。

――みどり役を演じるうえで、苦労している点はありますか?

薬の名前ですかね。あとは、薬がどういう作用をするのか分からないと先に進めない部分もあるので、そういう時は友人に質問しています。「これは何錠飲めば効くよ」などと詳しく教えてくれるので、ドラマが終わるころには私、薬にすごく詳しくなっているかもしれません(笑)。

撮影は過酷そうですが…頑張ります!

――共演者の皆さんの印象はいかがですか?

すごいバラエティ豊かですね(笑)。メガネ率も身長も男女率も、バランスがとれているなと感じています。キャラクターがハッキリしている方々ばかりですし、何よりみんな優しそうです(笑)。スタッフさんも、いつもお世話になっているチームなので、安心して撮影ができるような気がしています。

中でも、後輩のくるみ役を演じる西野七瀬ちゃんは、すごくかわいい!それでいて、物事をハッキリ言う方なんだなと思いました。七瀬ちゃんと仕事をしているスタッフさんに話を聞くと、みんなが口をそろえて「いい子!」と言うので、ご一緒できることを楽しみにしていたんです。

実際に会ったら、本当にいい子でとにかくかわいくて。撮影が楽しくなるだろうなと思っています。

桜井ユキさんは、カッコいいお姉さんっていう感じでした。井之脇海さんは、のび太くんみたいな人でした(笑)。これから一緒のチームを作るのが本当に楽しみな皆さんです。

――撮影に向けて、準備したことなどがあれば教えてください。

今回、とにかく早歩きをするので、準備運動はしていました。撮影に入る前に監督からは「立ちっぱなしで、歩く時は早歩きになる」と言われていましたから。過酷な撮影になりそうです…(笑)。

――薬剤師さんは実際にもみんなそういう動きをしているんですか?

ドラマの中の設定です。でも、実際に調剤や薬を詰める作業をしたり、パソコン作業をしたりする時は立っていることが多いみたいです。薬剤師さんはとにかく時間がなくて追われているそうで。その部分を早歩きや薬の手さばきで表現できたらと思っています。手さばきは本当に大変そうなので…とにかく頑張ります!

――みどりは薬剤師としてどういう信念を持っていると思いますか?

諦めないことですね。患者さんの口に薬が入る時とか、患者さんのその後とか、その人にとっての薬の飲み方だったりに責任を持っているというか。

看護師さんって担当が変わってしまったりするし、患者さん自身も何かあっても何も言わないことってあると思うんですよ。そんな中でも、薬剤師さんは、薬を飲んでるか飲んでないかは、会った瞬間に分かるそうなんです。

本当にその薬が効いているかどうかは、その患者さんをちゃんと見ていかないと分からない部分で、そこの大切さをみどりは分かっているのだと思います。患者さんがその薬を飲んでどうなっていくのかをよく見ている、そこを重要視することは、みどりだからこそできることなのかもしれません。

患者さんがちゃんと普通の生活に戻ることの意味、より良くなるようにと、ちゃんと先まで考えられるみどりの姿を、いろんなシーンで映せたらいいなと思っています。