『アライブ がん専門医のカルテ』第7話完全版

恩田心(松下奈緒)は匠(中村俊介)の死が、梶山薫(木村佳乃)ではなく須藤進(田辺誠一)による医療過誤であったことを、関河隆一(三浦翔平)に証拠とともに知らされた。心は薫に酷いことを言ってしまったと謝罪し、須藤を関東医大附属中央病院の調査委員会に申し立てると話す。薫の心中は複雑だ。

心は新たに武井正弘(平田満)という患者を担当。武井は3年前に膀胱がんの治療を受け、経過は良好だったが今回の検査で肺への転移が発見された。がん性腹膜炎の疑いもあるため、入院しての抗がん剤治療を勧める心だが、武井は仕事もあるからと通院治療を望む。

心は武井の家族にも説明したいと伝えていたが、話は本人にしか出来なかった。同席していた結城涼(清原翔)は武井が頑なに入院を拒否することに疑問を持つ。

数日後、心は治療に来た武井に「やはりご家族にも病状について話したい」と説明するも、再び言い淀む武井。治療を終えた数時間後、病院の廊下の椅子で眠る武井を見かけた結城が声をかけると、武井は自ら調べた余命が真実なのか結城に詰め寄る。結城は曖昧な返事をしてしまった。

そんな時、心の携帯電話に須藤から直接連絡が入る。一度話をしたいと言う須藤だが、心は断った。また、心はまだ匠の医療過誤について、京太郎(北大路欣也)にも話せないでいた。

診察日に武井が姿を現さない。自分のせいかも知れないと打ち明ける結城とともに、心は武井の家に向かう。途中、心はなぜ患者が余命を知りたがっているかを見極めなければならないと結城に告げる。武井と会い結城の件を謝罪した心は、改めて余命について説明した。

その時、二階から物音がした。武井は息子だと言う。心が今後のことについて息子も交えて話をしたいと言うのだが、武井は息子とはしばらく話をしていないと答える。武井の息子は無職だった。そのため武井は入院を断っていたのだ。息子が仕事を見つけるまで生きていたいと言う武井に、心はまず自分の体を気遣って欲しいとしか言えなかった。

心は調査委員会の中間報告を聞きに行く。だが、須藤の処置は手術中には起こりうることで医療過誤と認定することは難しいと言われてしまう。心は医師としては理解出来るのが、遺族としては納得出来ないと訴えた。

帰宅した心は、匠の死因が須藤の手術中の不手際であったことを京太郎に話す。

翌日、心は中間報告の件を薫に話す。自分の思いを語る心に、薫は謝ることしか出来ない。

そんな時、武井が救急搬送されて来た。武井の息子、健太(篠原篤)も付き添っている。心は武井の病気について健太に話を聞いてもらおうとするが、自分には何も出来ないと断られてしまう。病院を出ようとした健太に、結城は保険証を持って来て欲しいと頼んだ。

その頃、薫は須藤に会っていた。手術中のミスを自分に黙っていた須藤に、薫は調査委員会で真実を話すと静かに語り、別れを告げた。

次の日、保険証を持って来た健太を結城は武井の病室へ連れて行く。だが、健太は父親と話しもせず帰ろうとする。そんな健太に、結城は武井の父としての優しさを話す。だが、結城の言葉を振り切って健太は去ってしまう。家に帰った健太は、心や結城にかけられた言葉を思い出し、父親の自分を心配する思いを考え涙を流した。

その夜、須藤が恩田家に謝罪に来た。医療過誤はミスを認めることが出来なかった自分のプライドから起きたと正直に告白する須藤。そして、関東医科大学も辞職したと言う須藤に、心はどういう気持ちで匠を診ていたのかと怒りを抑えきれない。

傍にいた京太郎が心を諫めて口を開く。京太郎は静かに、「息子の死を自分が死ぬまで嘆き、あなたへの怒りを抱えて生きて行く。そういう人間がいることを忘れるな」と須藤に突きつけた。

関河は記事のゲラを心に渡す。それは須藤の医療ミスを糾弾するものではなかった。ただ、須藤の告白が書かれていた。そして、関河は自分が医学部に通っていたと話だす。

だが、実習の時に、患者には積極的に知らされない情報が多いことに納得出来ず中退して、ジャーナリストになったのだ。学生の時は不正だと思っていたが、ジャーナリストとして医療現場の現実を見るうちに、それが不正なのかわからなくなったと言う。

その線引きは難しと話して去ろうとする関河。心は関河のおかげで匠の死の真実を知ることが出来たと頭を下げた。

武井への治療方針の説明に、健太も姿を現した。また、心は須藤が謝罪しに来たことを薫に話す。そして、薫が調査委員会にすべて話してくれたことに心は礼を述べる。

須藤は過ちの責任を感じていて、薫だけに押し付けようとしたのではなかったと思うと心は続ける。堪えきれずに須藤と自分の関係を告白しようとする薫を心は遮った。心が去ると、薫は封筒を取り出す。表には退職願と書かれていて…。