木曜劇場『silent』の村瀬健プロデューサーと、脚本家の生方美久さんが、本作の誕生秘話を明かしました。
毎週木曜22時から放送中のドラマ『silent』。
主人公の青羽紬(あおば・つむぎ/川口春奈)が、本気で愛しながらも、突然、別れを告げられてしまった恋人・佐倉想(さくら・そう/目黒蓮)に、再会したことから動き出すラブストーリーです。
見逃し配信が累計1000万再生を突破、Twitterで「#silent」が世界トレンド1位を獲得するなど、大きな反響を呼んでいます。
村瀬プロデューサーはこれまで、ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(2016年/フジテレビ)、映画「信長協奏曲」(2016年)、「約束のネバーランド」(2020年)などを手掛けてきました。
生方さんは、2021年の「フジテレビヤングシナリオ大賞」で大賞を受賞。コンクール出品作以外の脚本を一度も書いたことのない新人ながら、完全オリジナル作品での脚本家デビューという、異例の抜擢となりました。
第33回「ヤングシナリオ大賞」大賞は、生方美久さんの「踊り場にて」!
そんな村瀬プロデューサーと生方さんにインタビュー。
その前編では、本作誕生の過程や、脚本執筆で意識していること、ロケハンや撮影時のエピソードを聞きました。
【後編】あの考察の真相は?スピッツとの関連は?村瀬健Pが明かす『silent』の秘密
川口春奈の芝居が「私が書いた以上のものにしてくれる」
――本作は「毎回泣ける」「切なすぎる」など、大きな話題となっています。今の気持ちを聞かせてください。
村瀬:みなさん本当にありがとうございます。人の心を丁寧に描いている、シンプルなドラマだと思いますが、こうやってみなさんが受け入れてくださっていることを、非常にうれしく感じております。
生方:私も、うれしく思っています。今後もよろしくお願いします。
――生方さんは、連続ドラマの脚本を手掛けるのは初めてだそうですが、書いたものが映像化されるというのは、どんな感覚ですか?
生方: 映像になるともちろん、自分が頭の中で描いたものと違う画にはなるのですが、「違う」というより、むしろ「正しい」ものにしていただいている、という感じです。
そして主演の川口春奈さんのお芝居が、本当にお上手だと思います。たとえば、私がト書きで「涙を流す」とだけ書いたところも、川口さんは紬の心情をぜんぶ理解して、素敵な表情をされるんです。もちろんご本人が持っているものや、演出の力もあると思いますが、私が書いた以上のものにしてくださっていると感じています。
――『silent』誕生の経緯を教えてください。
村瀬:2021年の「ヤングシナリオ大賞」で生方さんに出会って、「めちゃくちゃ才能があるな、一緒に仕事をしたいな」と思っていたんです。
そして今回、僕が木10ドラマを担当することになったので、「2人で一緒にオリジナル作品を作ろう」と声をかけました。
今、連続ドラマに求められているものは何だろう、と。考えたのは、派手な展開で盛り上げるのではなく、「好き」という気持ちをきちんと描く、“大人の鑑賞に堪えるラブストーリー”です。
生方さんといろいろ話した結果、今の形にたどり着きました。企画の大枠や、ろう者が登場するという設定は僕が、物語の基本や細かい設定は生方さんが考えました。
「でも」「うーん」無意識の言葉を、あえて脚本に入れる
――視聴者からは「セリフがリアル」「心に刺さる」といった声もありますが、脚本を書くときにこだわっていることはありますか?
生方:特にはないです。「このキャラクターはこんな時、何て言うかな?」と想像して、自然に書いています。
私たちは普段しゃべっていると、「でも」とか「うーん」とか、無意識に言うじゃないですか。セリフもそのほうが自然だと思って、あえて入れるようにしています。
村瀬:僕は通常、もちろん脚本家の方と相談しながら大きく直させてもらったりもするのですが、今回に関しては、その作業を極端に減らしています。
生方さんには、いい意味で好き勝手に脚本を書いてもらうようにしていて。セリフのディテールがすごく良いし、話も面白いので、なるべくそのまま活かすようにしています。ことさらに演出をせず、脚本どおりに撮ることも、すごく意識していますね。
生方さんのいいところは、“ろう者だから”ではなく、そのキャラクターが何を思っているか、深く考えて丁寧に書けるところ。ろう者を描くのが目的ではなく、たまたま登場人物がろう者だった、ということなんです。
――本作は当て書き(※)だそうですが、どんなイメージで書きましたか?
(※)その役を演じる俳優を決めてから、脚本を書くこと
生方:みなさんの出演作品はよく観ていたので、お芝居をしているところよりも、インタビュー映像を見て、素のしゃべり方やトーンを反映させるようにしました。
村瀬:僕は早い段階から、川口さんや目黒蓮さんとお会いしていたので、そこで感じた印象を生方さんに共有していました。
たとえば川口さんは、YouTubeチャンネルを開設したり、すごくあっけらかんとしたところが魅力だと思います。彼女なら女性の共感を得やすいから、リアルな女の子を演じても嫌われないんじゃないか、みたいな僕の感覚を伝えていました。
各駅をリサーチ!小田急線・世田谷代田が舞台になったわけ
――撮影で、特に苦労したシーンはありますか?
村瀬:第1話の冒頭、紬が団地の階段を駆け下りるときに雪が降っているシーンは、雪を降らせる専用マシーンや、めちゃくちゃ大きいクレーンを何台も使って、納得いくまで何度も撮りました。ファーストシーンなので、監督も美術さんもすごくこだわって、何時間もかけて。
逆に、登場人物が泣いたり感情をあらわにするシーンは1〜2テイクで撮っています。
――「世田谷代田駅」や「タワーレコード」など、実在の場所が、実名で登場します。そこには、何かこだわりはありますか?
村瀬:僕は、連続ドラマのラブストーリーは、視聴者の方が“自分の物語”として見られるのが一番いいと思っていて。だから「この物語は、今この東京で起きているんだ」というのをしっかり伝えるために、街やお店を実名で出して、リアリティを演出しています。
――駅を借りて撮影する際、大変なことはありますか?
村瀬:実は大変になっているのは、撮影時より今です。おかげさまでドラマが話題になっているので、多くの方がロケ地を見に来てくださっていて。近隣のみなさんにご迷惑をかけかねないので、そこは気にしています。
実は小田急電鉄さんは、連続ドラマの撮影に協力するのは、今回が初めてだそうです。僕は以前から「小田急は、車両や全体の色がいいな」と思っていたので、今回初めて貸していただけてラッキーでした。
小田急電鉄さんに決まった後は、監督が中心になって、どの駅で撮影するかを決めて行きました。「紬たちはどのあたりに住んでるかな?」と想像しながら、(世田谷代田から8駅先の)狛江駅くらいまで、いろいろ見ましたね。
そのなかで、小田急電鉄さんから「世田谷代田駅は駅舎が新しくてきれいだけど、そのわりに人が少ない」と聞いて。ロケーションが良くて風間太樹監督らも気に入ったので、世田谷代田駅に決めました。
――紬のアルバイト先を「タワーレコード渋谷店」にしたのは、なぜですか?
村瀬:「紬はCDショップでアルバイトをしている」と決めた時点で、タワーレコード渋谷店を使いたいと思いました。やっぱり有名だし、僕自身も音楽好きとして長い間通っている場所なので。そこでご相談したら、快く貸してくださいました。
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