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『リカ』への系譜~直撃!東海テレビ“愛憎ドロドロ”路線ドラマの秘密に迫る<前編>_site_large

『リカ』への系譜~直撃!東海テレビ“愛憎ドロドロ”路線ドラマの秘密に迫る<前編>

毎週土曜23時40分~オトナの土ドラ『リカ』

めざましmedia編集部

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11月9日(土)から第2部(第5話)がスタートしたオトナの土ドラ『リカ』。話題沸騰のこのドラマの大ファンで、当サイトの「試写室」でレビューを担当する 大石庸平( テレビ視聴しつ 室長 )が、『リカ』の企画担当で東海テレビの東京制作部長である市野直親プロデューサーを直撃!

市野プロデューサーは、フジテレビ系の東海テレビで、1964年から2016年まで52年(!)にわたり放送していた昼の連続ドラマ、通称“昼ドラ”で 15作品以上をプロデュース。2016年4月から土曜の深夜でスタートした「オトナの土ドラ」の立ち上げにも携わった人物だ。

そんな市野プロデューサーに、「昼ドラ」から「オトナの土ドラ」まで、手掛けた作品の秘話や、東海テレビ制作だからこそのドラマの作り方、さらには今後の『リカ』の見どころなど、たっぷりと聞いた。

< 市野直親プロデューサー× 大石庸平 (前編)>

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大石:『リカ』は、SNS上でも個人的にも大変盛り上がっております。『リカ』に限らず、この枠ではすごくエッジの効いたドラマをたくさん放送しているので、その源泉を探りたい…東海テレビと言えば昼ドラなので、その歴史からひも解ければと思い、お話を伺いに来ました。

市野:東海テレビの昼ドラは、前回の東京オリンピック(1964年)の時にスタートしたんですよ。

大石:えー!

市野:だから「次のオリンピックまで」と思っていたんですが、終わっちゃったんですね。東京オリンピックの開催が決まったころ、ちょうど『花嫁のれん』(※)という作品を野際(陽子)さんとやってまして。

滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」が流行する前から、そのドラマでは「おもてなし」という言葉を使っていたので、野際さんから「あの言葉は、うちに専売特許があるんだからちゃんと主張してね」と言われたのを覚えてます(笑)。

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大石:まず市野さんご自身についてお聞きしたいのですが、東海テレビのドラマ担当というのは、キー局のドラマ部に配属されるよりかなりレアなのかな?と思いますが、どのような経緯でドラマ部に配属されたのでしょうか?

市野:入社して5年くらいはスポーツのイベントの部署にいたんです。名古屋の局なので中日ドラゴンズのイベントとか、大相撲の巡業とか、ちびっこのドッジボール大会とか。イベント係でも一番下のADなので、誰よりも先に会場に行ったり、ホールの鍵を開けるところからやるんですね。

そこで、“一流アスリートの一流たるゆえん”みたいなものを目の当たりにして。天才と言われる人や、人気力士が一人で黙々と練習していたり。だけどそれは記者が入ってくるころには終わっているから、練習していないように見えるんだけど、本当はものすごい努力があるんだなと知って「奥深いな」と。

その経験を経て、やっぱり番組が作りたいという希望を出して、それで東京ならばということで、東京に来たのが事の次第ですね。

※『花嫁のれん』(2010年~2015年)羽田美智子・野際陽子主演。金沢の老舗旅館を舞台にしたホームドラマで第4シリーズまで続いた人気作。(FODで配信中)

モノづくりは、“大変さまで楽しめる”ところまでやってみないと何も始まらない

大石:東海テレビに入る前からドラマを作りたいと思っていたんですか?

市野:東海テレビは、ドラマ枠が1つしかないんです。だからドラマを作りたいと入ってくる人は殆どいないと思います。僕も、もともとは報道記者になりたかったんです。就職するときが「愛知万博」の前だったり、僕が住んでる知多半島に空港ができたりとか、世の中がいろいろと変わるタイミングだったので、報道記者になろうという思いで東海テレビに入ったんです。

大石:希望とは違う部署だったので、嫌だなってことはなかったですか?

市野:嫌だなってことばっかりでしたよ(笑)。僕は番組を作ったことがなかったですし、自分はすごく狭い価値観の中で生きてるなと思ったり、自分がドラマで人間そのものを描くなんておこがましいなって思ったり…。

だから先輩からいろんなことを教わりました。当時、(1964年の)東京オリンピックの年の昼ドラ第1作から作っていたゼネラルプロデューサーについて行くのが仕事で、その中で教えを受けたんです。

例えば、日比谷公園が会社の近くにあるんですけど、そこで枯れ葉が落ちるのを見て「それがドラマだ!」とか(笑)。ラーメン屋さんで食べていたラーメンがぬるくなると怒って「作り直せ!」って言うんですよ。めちゃめちゃ理不尽だから僕は「止めてください」って言うんですけど、その先輩は「それがドラマだ!」って。「何言ってんだ、この親父?」と思うような暮らしを3年くらいやっていました。

次についたチーフプロデューサーは、現場で何もしゃべらせてくれなかった。しゃべる程の知識も、知恵も無かったからだと思うんですけど。でも毎日深夜2時くらいに、そのプロデューサーからの問いかけが始まるんです。「今日のあれはどうだった?」とか、「どうしてそういう話になったと思う?」とか。

でも、おかげですごく鍛えられました。 その2人を超えることはできないですけど、 「オトナの土ドラ」をやるようになってようやく、なぜ葉っぱが落ちることがドラマなのか、なぜ深夜2時になって問いかけが始まるのか、とかその意味が20年たってわかるようになってきて…“どんなに理不尽でも人間のすることはすべてドラマになるんだ”ってことだと思うんですが…ハッとさせられることが多いです。

20数年ドラマを作ってきたんですけど、「何も知らずにドラマを作って来たんだな」って、これまでの人生を取り返したい気持ちになります。それくらいドラマは奥が深いものだと思います。

大石:昼ドラは、30分×5日間というハードな放送スケジュールでしたから、撮影のご苦労もあったのではないですか?

市野:撮影はもう楽しくてしょうがないですよ(笑)。朝から晩まで同じ場所にいられて、目の前でどんどん面白いことが起きている。だから、ずっと現場にいたいですし、そういう思いは今も変わりません。

自分が作家さんと作ったお話が、目の前で俳優さんが演じて形になる…点も何もなかったものが、文字になり、平面だったものが、形になり、動き出し、映像になるんですよ。

どんなに遅い時間であっても、それはみんなで頑張ってるからこその時間だし、一番下のADが作った小道具が「面白い」と評判になって、その人が喜んでいるというようなことも、初めて参加したスタッフが注文したお弁当を、役者さんが「おいしい」と言ってコミュニケーションを取っていたりするのも見るのも楽しいですし。

制作現場には、時間やそういう大変さを忘れさせちゃうくらいの楽しさがあると思います。それはドラマに限らずだと思いますけど、モノづくりは大変さまで楽しめる、というところまでやってみないと何も始まらないと思います。

自分の知らない人の気持ちを動かせるっていうのがすごく嬉しかった

大石:キー局のドラマプロデューサーより多くの作品を手掛けられてますよね。

市野:20年近くやって来て、1年に2本とか3本作っていたときもあるので、かなり手掛けてきたと思います。本数が多いのであるときから数えるのやめました(笑)。

僕の第一作目(『新・愛の嵐』※)が、おかげさまで間違って大ヒットしちゃったんですね(笑)。その一つ前の作品が「真珠夫人」(※)という流行語になった作品で。

その直後だったこともあるんですけど、視聴率がすごく良くて。間違ってって言うと、一緒に組んだチームに申し訳ないですけど(笑)、それで有頂天になって、自分はどれだけできるプロデューサーなんだと調子に乗ってたんですけど、決してそんなことはなくて。

やればやる程怖くなるというか、そんな経験を重ねてきました。今もヒット作がたくさんあるわけではないし、有名なわけでもないので偉そうなことはいえないのですが、ただただ長くやらせてもらっていることは確かですね。その立場から言えば、「やればやる程(奥深さがわかって)怖い」そういう思いです。

※『新・愛の嵐』(2002年)…藤谷美紀・要潤主演。令嬢と使用人の許されぬ愛を描いた大河ロマン。86年に田中美佐子・渡辺裕之主演で同じ昼ドラで大ヒットを記録した『愛の嵐』のリメイク版。

※「真珠夫人」(2002年)…横山めぐみ主演。過酷な運命に翻弄された主人公の愛憎劇。「真珠夫人」は流行語となり、今作で登場し話題となったのが”たわしコロッケ”。その後、”財布ステーキ”(『牡丹と薔薇』)など、数々の昼ドラ料理が生まれるきっかけとなる。

大石:その中で特に思い出深い作品ってありますか?

市野:挙げるとすれば3つくらいかな。これからもドラマが続けられるなと思ったのが2003年にやった『貫太ですッ!』(※)という作品です。これはその当時の昼ドラ史上最低視聴率を記録したんです(笑)。 ドロドロの愛憎劇が全盛だったんですけど 、昼ドラでは珍しい男性が主人公のホームドラマでした。

というのもプロデューサーとしてデビューした年に娘が生まれて、その娘に見せると思うと…愛憎劇は、ちょっと嫌だったんです(笑)。あとは、もともと『池中玄太80キロ』というドラマが大好きで、そういうのがやりたかった。

視聴率的には良くなかったんですけど、番組が終わったときに小学生の子からハガキが届いたんです。「『貫太ですッ!』を見ていて、明日から学校にいけるようになりました。ありがとう」って。それがすごく嬉しくて。視聴率は裏番組の3分の1、「そんなことで喜んでいては、民放のプロデューサーとしては失格」と、当時上からも言われて。僕も、今部下には同じことを言ってるんですけど(笑)、自分の全然知らない人が、そういう新しい気持ちになれる、人の気持ちを動かせるっていうのがすごく嬉しかったんですね。

それから何年か経って『明日の光をつかめ』(※)になり、『さくらの親子丼』(※)に繋がっているんです。その時組んだ清水(有生)さんという作家さんと一緒にやってきているのが一連のシリーズですし、その時組んだプロデューサーの沼田(通嗣)さんと一緒にやったのが『花嫁のれん』シリーズです。

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『さくらの親子丼』は、「オトナの土ドラ」では、現在唯一のシリーズものですし、 『花嫁のれん』は、世界25ヵ国以上でまだ放送されています。 だから 、お2人からいろんなものを学ばせていただいた『貫太ですッ!』は、原点だと思っています。

※『貫太ですッ!』(2003年)…山田純大主演。湘南の海岸沿いにある新聞販売店を舞台にした人情ドラマ。

※『明日の光をつかめ』(2010年~2013年)…農作業を通じて暗い過去を持つ少年少女たちを社会復帰させようという”たんぽぽ農場”を舞台にした人気シリーズ。1作目の主演は、民放連ドラ初主演だった広瀬アリス。(FODで配信中)

※「さくらの親子丼」(2017年~2019年)…真矢ミキ主演。行き場を無くした子供達に”親子丼”をふるまって手を差し伸べるさくらが主人公の人間ドラマ。(FODで配信中)

大石:昼ドラも「オトナの土ドラ」も、激しい作品と、人情モノっていう二本柱な気がしてたんですけど、そういうところから来てたんですね。

市野:そうかもしれません。それはすごく大事にしたいと思っているんですね。ドラマって感情移入してみる面白さと、紙芝居の様に目の前に展開される事の面白さの二種類があるなと。どちらもあるから枠の広がりができると思っています。

大石:2つ目の作品を教えてください。

市野:あまり知られていない作品かもしれない『嵐がくれたもの』(※)です。当時、伊勢湾台風から50年が経過したということで、 困難に立ち向かう人間の強さを描きました。これまでで唯一、先輩に褒められたドラマで、それ以降は全部ダメ出しだったりするんですけど(笑)。

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実際に起きた災害なんですが、細かなドラマの部分はオリジナルで作ったんです。その時一体何が起きて、なぜ全国で5098人もの犠牲者が出てしまったのか、1年くらいかけて新聞や雑誌 、 東京、名古屋、地元の図書館に行って調べまくったんですよ。

当時は、東海テレビも開局して間もないときで、ニュース映像がいっぱい残っていたのでそれを見たりしました。その上でそこから起こるドラマを想像して作りました。実際の災害の中にあえてフィクションを入れて、人と人との結びつきの強さとか、信じる強さみたいな物語を作りました。

ドラマをやり始めて10年目くらいだったんですけど、すごく達成感がありました。僕自身が生まれ育ったところが伊勢湾台風の被害に遭っていたので、思いは強かったです。

※『嵐がくれたもの』(2009年)…岩崎ひろみ主演。伊勢湾台風を基にし、生き別れた母子を描いたヒューマンドラマ。実際に被災した地域でのロケーションも行われ、当時の貴重な報道映像もドラマに使用された。

大石:ルーツが関係しているからこそ達成感もあったんでしょうね。

市野:そうかもしれないですね。災害が起きた時、真夏の炎天下で、運動場に遺体がたくさん並んでいて、遺体が腐ってしまうから身元確認をしていられなかったとか、そういう話は子供の頃からずっと近所の人たちからも聞いていました。

だから調べた新聞や雑誌などに書いてある「事実のその先には一体何が起きたんだろう?」と、いろんなエピソードを参考に作りました。僕の家も被害に遭っていて、両親も被災して、遊んでいた公園には水位が刻まれていたりとか。

おっしゃるようにドラマって作り手の全てをさらけ出さないと何も生まれない。それが出来たからこそ、思い出深い作品になったのかもしれないですね。

「オトナの土ドラ」一作目『火の粉』が誕生した背景は?

大石:3つ目の作品は何ですか?

市野:『火の粉』(※)です。「オトナの土ドラ」という枠の1作目で、ずっと昼ドラしか作ったことがなかったので、東海テレビとして52年続けてきた枠をこっち(土曜深夜)に持って来るってどんな作り方をすればいいのか、みんなで時間がない中ですごく模索しました。

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土曜の深夜にどうしたらドラマを見てもらえるんだろうと、いろんな人に助言をいただきました。

新しく番組枠を立ち上げたことのあるプロデューサーに、その時は何を考えたんだろうというのを、局の垣根を越えて恥も外聞もなく聞きに行ったんです。

一緒に組んでいたプロデューサーの方たちの力も借りて意見をもらって。それでこういうサスペンスで、こういう作り方かなって。新しいところに踏み出す時の思いというのは、それ以降はないですから、前例にならうものがある時とない時では全然違うなと思いました。

※『火の粉』(2016年)…ユースケ・サンタマリア主演。平和な一家の隣に引っ越してきた男の狂気を描いた心理サスペンス。得意料理はバームクーヘンで、その焼きの工程で”火の粉”が上がる。(FODで配信中)

大石:「オトナの土ドラ」の一作目が『火の粉』ってすごいですよね。だって主人公が受け入れられないじゃないですか(笑)。どんな会議をしたらああいう企画になるのかと思ってました。

市野:会議じゃないんですよ(笑)。飲み会の席で盛り上がっていたときに、出たアイデアで。だから、それを信じてやらせてくれた会社や先輩たちへの思いもあって。何が当たるかはやってみないとわからないですね。

今は土曜の夜に(他局を含めて)ドラマ枠がいくつかあって、それがとてもありがたいです。同じ時間にドラマがあると、ドラマ好きの方は「どれを見ようかな」っていう風になって、選んでいただけるチャンスも広がりますから。

<後編>に続く――

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