羽生結弦さんの素顔が、編集者により明かされました。
現在発売中の、羽生結弦自叙伝「蒼い炎Ⅲ−究竟(くきょう)編−」(扶桑社刊)。初の世界選手権で銅メダルを獲得直後の2012年に発売された「蒼い炎」、ソチオリンピックでの金メダル獲得後の2016年に発売された「蒼い炎Ⅱ−飛翔編−」に続く、シリーズ3冊目となります。
羽生さんがケガと戦いながら平昌オリンピックで金メダルを獲得し、2020年の「四大陸選手権」で男子フィギュアスケート史上初のスーパースラム(※)を達成するまでの2016年~2020年のシーズンに密着した「蒼い炎Ⅲ−究竟編−」。
(※)スーパースラム…オリンピック、世界選手権、GPファイナル、四大陸選手権もしくは欧州選手権、世界ジュニア選手権、ジュニアGPファイナルをすべて優勝すること。
この本の編集を担当した、大久保かおりさん(扶桑社)にインタビュー。「蒼い炎」の1冊目(以下「Ⅰ」)から、羽生さんを見つめ続けた大久保さんだからこそ知る、羽生さんの素顔や魅力を語ってもらいました。
<「蒼い炎Ⅲー究竟編ー」編集 大久保かおりさんインタビュー>
――「Ⅰ」の制作はどのようにスタートしたのでしょうか。
2011年の東日本大震災で、羽生さんが練習していた「アイスリンク仙台」が被災したとうかがい、私たちに何かお手伝いできることがないかと考えて「『チャリティブック』を作りませんか?」とご提案したのが最初です。
震災後、羽生さんは全国のスケート場を転々としていたので、印税を遠征費の足しにしていただけないかと考えたんです。
羽生さんは、ジュニアからシニアに上がったばかりでしたが、彼のこれまでのスケート人生や、被災してご苦労なさったこと、スケート観や目標についてなど…。見る人を惹きつけるルックスも含めて彼のことを広く知ってほしいという思いがあって、自叙伝という形でまとめることになりました。
ご本人とお母さまから、支えていただいた方々へ感謝の気持ちを伝えたい、また印税は全額「アイスリンク仙台」に寄付をしたいというお申し出をいただいたので、羽生さんの印税と弊社の売り上げの一部を寄付しております。
――「蒼い炎」というタイトルは、今、振り返るとまさに羽生さんの競技人生そのものという印象を受けます。タイトルはどのように決めたのですか?
「Ⅰ」の表紙は、写真家の能登直さんの撮影で、羽生さんが海の波を表現した衣装(11-12シーズンSP『悲愴』)をまとっているのですが、波の表現が蒼い炎が燃え上がっているようにも見えました。
当時の羽生さんから、自分の内面に燃える負けん気や強い思いを力に変えていく選手だという印象も受けたので、「蒼い炎」というタイトルをご提案しました。
――「Ⅰ」のとき17歳だった羽生さんは、続編となる「飛翔編」(以下「Ⅱ」)で飛躍的な活躍を見せました。その成長をどのように見ていましたか?
羽生さんは「Ⅰ」の発売直前の「世界選手権」で3位になり、活動拠点をトロントに移すことになったのですが、まだ17歳でご家族や大好きな地元の仙台と離れるのは、大きな葛藤があったと思います。それでも自分が目指す理想のスケートを追い求めるために覚悟を決めて、新しい拠点でたくさんの刺激を受けながら飛躍していく姿を、非常に頼もしく拝見していました。
インタビューを重ねるごとに、興味や関心の幅がどんどん広がっていくのも感じましたし、ハビエル・フェルナンデス選手をはじめとした仲間やコーチ、振付師の方々に触発されて、成長された部分も大きかったと思います。
ただ一方で、ご本人の芯になっているスケート観はまったくブレることがなくて。「Ⅰ」と「Ⅱ」でおっしゃっていたことが、「Ⅲ」に収録されている平昌オリンピックでことごとく実現されていきました。
「Ⅰ」と「Ⅱ」は予言の書なのではないかと思ってしまうくらいでしたが(笑)、それは羽生さんの中の「理想」が一貫しているからなのだろうと感じています。
――その「理想」とは、どんなものだったのでしょうか?
10代のころから理想に掲げていたのは、エフゲニー・プルシェンコ選手。優勝して満足することなく、その次は優勝した自分を超えて勝ち続ける姿に憧れていました。2018年のオリンピックまでは自分もそんな戦いを続けて、金メダルを獲りたいと「Ⅰ」で語っています。
また当時、2010年バンクーバーオリンピックでは4回転を回避する選手も多かったのですが、羽生さんは「平昌オリンピックでは、4回転が当たり前の時代になる」と読んでいました。でも「自分はサルコウとトゥーループの2種類くらいでいい。あとはスケーティングやプログラムを完成させたい」という軸からブレることがなかったんです。
平昌オリンピックでは、ケガの影響もありましたが、まさにサルコウとトゥーループで勝負をして優勝しましたし、「Ⅰ」のときに「ジャンプがステップやターンの一部に見られるくらいにならないといけない。ジャンプだけではなく、スピンやスケーティングを含めたトータルパッケージで戦っていく。それが『フィギュアスケート』だ」と語っていらっしゃった。羽生さんの揺るぎないスケート観に、驚かされました。
自叙伝だから語られた「人間・羽生結弦」のもつ「弱さ」
――「Ⅲ」では羽生さんがケガに苦しみ、そこから立ち直っていく様が克明に描かれています。アスリートがケガについて公に語るケースは、そんなに多くないですよね。
確かにスポーツ選手は、大会の公式会見などで自分のケガについて詳しく語りたがらないですよね。言い訳に聞こえてしまうケースもありますから。ただ「蒼い炎」は自叙伝ですので、「今だから話せる」というお話を深堀りすることができました。
ケガの痛みやつらさについて、ここまで率直にお話いただけたのは、羽生さんにとっては過去のことで、それを乗り越えてきた強さがあったからだと思います。
完璧な「王者・羽生結弦」というオフィシャルの面で見せている顔とは違った、「人間・羽生結弦」の弱さまで赤裸々に明かしてくださったのは、自叙伝だからできたことだと思いますし、この本の最も面白い部分なのではないかと思っています。
――大久保さんは「人間・羽生結弦」のどんなところに魅力を感じているのでしょうか?
カメラマンが撮影した膨大な写真の中から、掲載する写真を選ぶのが私の役割なのですが、羽生さんは本当に多彩な表情をお持ちなんです。表情が驚くほど目まぐるしく変わりますし、頭の回転が速い方なので、撮影中にもこちらの要望に即座に反応して、さまざまな表情を見せてくださいます。
10代のころのような子どもらしい愛らしい表情は、さすがに20代後半に入った最近ではなかなか見られなくなってきましたが、「Ⅱ」と「Ⅲ」のカメラマンの浅倉恵子さんは小さいころから羽生さんのチャーミングな表情を切りとってきた方。浅倉さんがカメラを向けると、普段とは違うお茶目なポーズや表情を見せてくれるんです。
そういった写真を見ていて、羽生さんの大きな魅力の一つはやはり「ギャップ」にあると感じました。競技中の鬼気迫るような迫力のある表情と、演技が終わったあとのふにゃっとした表情。そこが多くのみなさんを引きつけるのだと思いますし、私もそういう表情に魅力を感じています。
また、「蒼い炎」の趣旨に沿っていえば、何十年に一度現れるかどうかという才能をもった青年が、東日本大震災という未曽有の災害に直面し、はたしてスケートをこのまま続けていいのかと苦悩して、その後、少しでも被災者のみなさんの励みになればという思いで競技に挑んできました。
自分のためだけではない「何か」を背負ってスケートを続けていく、そんな運命を引き受ける覚悟が、彼を唯一無二の存在にしているのではないかと思っています。
プロ転向の「今」だから話せる、2019-2020シーズンへの思い
――編集者の立場からオススメしたい、「Ⅲ」の読みどころを教えてください。
「Ⅲ」はスポーツライターの折山淑美さんが2016年から2020年四大陸選手権までの数々の大会で取材したインタビューなどで構成しているのですが、そのほかに本書だけのために、新たに2019-2020年のシーズンを振り返っていただきました。
自分で感じるスケートの手応えと評価の乖離など、ご自身の競技人生の中で最も苦悩したシーズンの一つを振り返り、ある種の”悟り”に至るまでの心境を初めて語っていただいたインタビューは、まさに今だから話していただけた貴重な証言だと思います。
ちなみに「Ⅲ」のサブタイトルの「究竟」という言葉は、「この上なく優れたもの」「究極のもの」という意味なのですが、ほかの選手との「順位」を争う「競技」としてのフィギュアスケートのあり方に縛られない、現在の羽生さんを象徴する言葉だと思って選びました。
――また、「Ⅳ」が今春発売ということですが、どのような内容になっているのでしょうか。
「Ⅱ」を出した2016年から「Ⅲ」の出版にこぎつけるまで7年もの時間が空き、いろいろなことがありすぎました。もともとは1冊にまとめようと動いていたのですが、羽生さん側から「2冊に分けてはどうか?」というご提案をいただきました。
ですから「Ⅳ」は北京オリンピックに向けての歩みと、プロに転向して前人未踏のアイスショーを作っていく過程など、「Ⅲ」の続きから現在に至る道のりを追っていく内容になっています。
――最後に、「Ⅳ」の先にある今後の羽生さんに期待していることについて、聞かせてください。
プロ転向後のアイスショーを拝見していると、羽生さんのプロデュース能力の高さに驚かされます。2月26日には、東京ドーム単独公演「Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 “GIFT” at Tokyo Dome」を開催しましたが、自分で物語や構成を考えて、たった1人で東京ドームの観客を虜(とりこ)にする演技を見せるなんて、羽生さんにしかできないことだと感動しました。
また、これだけ注目を集めているお忙しい方ですから、競技生活中はコンサートに行ったり、ミュージカルを見たりということがなかなかできなかったと思うのですが、プロに転向したことによって、様々なアーティストとコラボレーションの機会ができて、きっといろんなインスピレーションを受けると思うんです。
今後もスケートを通して、スケートの枠を超えて、私たちにどんな世界を見せてくれるのか、本当に楽しみにしています。
「蒼い炎Ⅲ-究竟編-」(扶桑社刊)
著者:羽生結弦
定価:1870円(税込)
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