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『ほん怖』20周年記念! プロデューサー×監督×編集者がトーク②

10月12日(土)21時~『ほんとにあった怖い話 20周年スペシャル』

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10月12日(土)に、稲垣吾郎が出演するフジテレビ『ほんとにあった怖い話 20周年スペシャル』が放送される。

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本作は、一般の人の身に実際に起こった心霊体験を基に、豪華俳優陣によって心底怖いゾッとする恐怖と、その恐怖や不安に翻弄(ほんろう)されつつも立ち向かっていく人々の姿を描くリアルホラーエンターテインメント。

今回、フジテレビュー!!では“ほん怖”20周年を記念して、原作となった漫画誌『ほんとにあった怖い話』を手掛けた朝日新聞出版の長谷川まち子氏、「Jホラーの父」とも呼ばれる映画監督で、シリーズ開始から多くの“ほん怖”作品を演出してきた鶴田法男氏、番組のチーフプロデューサー・後藤博幸のスペシャル鼎談が実現した。

番組の成り立ちから、こだわりや苦労、制作秘話まで、前後編でたっぷりと聞いた。

『ほん怖』がリアルだと言われる理由

鶴田:『ほん怖』は“リアル”だとよく言われますが、心霊体験をした人のドラマが物語の背景に垣間見えるからだろうと思うんです。

長谷川:生々しさがあるんですよね。

後藤:かといって、そこにあるものをそのまま映し取っても“リアル”にはならない。完成した作品を“リアルに見せる”にはどうしたらいいか、監督とはよく議論しました。

鶴田:『ほん怖』を分析している人たちの表現を借りるなら、“心霊写真テイスト”というやつですよね。被写体から離れた端っこに人が見切れて写っているとか、なんだかわからないけどよく見ると“何か”いるとか。心霊写真特有の怖さを、映像で再現しようとしたんです。そのためには、映像的な工夫を凝らさなければいけないのですが、ビデオ版の時は予算の関係であきらめざるを得ないこともたくさんありました。

後藤:一般的に低予算の映像作品はオールロケで制作することが多いのですが、ロケ撮影だと逆に制約も出てくるんですよね。

鶴田:例えば、大島優子さんが主演した『赤いイヤリングの怪』(夏の特別編2010)は、ビデオ版のリメイクなんですが、ビデオ版ではやりたい表現ができずに悔しい思いをしたんです。リメイクが決まったときに、まず「セットを組むことになるけどいいですか?」って後藤さんに確認しました。

後藤:天窓に幽霊が落ちてくる話なので、ロケで撮影しようとすると、クレーン車とスタントマンを手配して…と大ごとになってしまう。多少予算がかかっても、セットを組むことに躊躇(ちゅうちょ)はありませんでした。

鶴田:あのシーンでは、幽霊役の俳優さんにケガをさせるわけにはいかないので、俳優さんをゆっくり落としてセットの天窓にぶつけて、撮り終えた映像に合成をかけました。そこで起きている現象を“リアル”に感じてもらうために、実際はすごく作り込んだ“嘘”をついているんです。

後藤:『誘いの森』(15周年スペシャル)では、ぼっとん便所のセットを丸ごと建てました。そもそも実際のぼっとん便所を探すのが難しいですし、もしあったとしても、そこから生首を出すのは非常に難しいですから(笑)。

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ほかにも、佐藤健さん主演の『顔の道』(夏の特別編2009)や玉森裕太さん主演の『どこまでも憑いてくる』(夏の特別編2015)では、2.5mくらいの巨大な幽霊の顔を作りました。

鶴田:ほかのプロデューサーなら「CGのほうが安い」と判断するところでも、後藤さんは「何をやったら一番怖いか」を理解してくださる。CGを使うときも、観ている方にどこがCGかわからないくらいリアルに作りこませてもらっています。

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長谷川:幽霊が出た瞬間の“間”も大切じゃないですか? 漫画では、幽霊が出た瞬間では悲鳴を上げさせずに、一瞬、間を入れた方が効果的だったりします。映像もその一瞬が勝負ですよね。

鶴田:実際に幽霊を見ると、怖さが襲ってくるまでに時間がかかる。そのリアリティは大切にしています。幽霊モノは、すべてにおいて“タイミング”が命。記念すべき1作目(’99)の黒木瞳さん主演の『深夜病棟』では、“一瞬の間”を追求して鏡から幽霊の手が出てくるシーンを何度も撮影しました。

後藤:「これ以外はありえない」というタイミングがあるんですよね。タイミングが0.01秒でも違うと、印象が全然違ってしまう。

鶴田:テイクを重ねれば重ねるほど、黒木さんが乗ってきてくださって。まるで大長編を撮っているような緊張感と達成感を覚えました。

謎の“何か”に出会って、後から考えてゾッとする経験を作品に生かす

後藤:僕は幽霊を見たことはないのですが、『ほん怖』で再現したかったのは、子供の頃、お風呂で頭を洗っている時に“背後”が怖くてしょうがなかった、あの感覚。振り向いても誰もいないし、それが幽霊なのかはわからない、そのゾクッとする感覚をどうやって映像で表現するかを突き詰めてきた気がします。監督は、実際に霊体験をなさっているんですよね?

鶴田:私は、小学3年生の時ですね。学校から帰ってきて、自分の部屋に行こうと階段を登り始めたら、2階の僕の部屋からグレーのシャツの男が出てきて、両親の部屋に入っていったんです。音もなく歩いて、部屋の扉も開けずにすーっと入っていったのを、今でも覚えています。最初は幽霊だとは思わなくて、母に「お客さんが来てるの?」と聞いたけれど、当然、誰も来ていない。

「あれは幽霊か?」と気付いて怖くなったのは、しばらくたって自分の部屋でランドセルを片付けている時でした。『ほん怖』を初めて読んだときに「これだ!」と思ったのは、「“何か”に出会ったけれど何なのかわからなくて、直後ではなく、後で考えたらゾッとした」という体験談に共感したからなんです。

長谷川:私は幽霊を見たことはありませんが、大事なのは「幽霊を見た人」「見えるという人」を信じるかどうかだと思うんです。その人には何が見えて、何を感じたんだろう。どういう心理状態にあると、他の人に見えないものを見えると認識するんだろう、という。こういう雑誌を作っているのは、そんな興味からかもしれません。

後藤:長谷川さんが『ハロウィン』や『ほん怖』のような媒体を担当することになったきっかけは、何なんですか?

長谷川:高校生のころ、新人物往来社の「怪奇幻想の文学」シリーズにハマったことがベースになっていますかね……。あとは心理学に興味を持って、当時ブームになった岸田秀(日本の心理学者)さんの著書を読みあさったり……。

鶴田:岸田秀先生は僕の大学時代の先生ですし、同じ全集を僕も持っていました。

後藤:不思議なところでつながっているものなんですね!

放送20周年を迎えた今の思い

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後藤:初めて出した企画が通ってオンエアするまでの間に、僕のドラマ人生の全てが詰まっていると言っても過言ではないほど。’99年の放送開始から20年。振り返ると大変なことはたくさんありましたが、本当に楽しかったです。今だから言えますが、「このシーンでは絶対怖がってほしい!」と、放送中にプロ野球の試合結果のテロップを入れるのを少し待ってもらったこともあったくらいです。

鶴田:今の現場のみなさんが真似しちゃうとよくないから、大きな声では言えませんけどね(笑)。

長谷川:雑誌のタイトルは『HONKOWA』に変わりましたが、本質を変えずに少しずつ読者のすそ野を広げていけたのは、鶴田監督や後藤さんが『ほん怖』を気に入って大切に映像作品を作ってくださったお陰だと思います。お陰様で、タレントさんに取材をお願いする時に「あの『ほん怖』の原作本なら!」と言っていただけるようになりました(笑)。

鶴田:僕にとっても、この作品はライフワークだと思っています。ビデオ映画を撮った時は、まさか後に『リング』(’98)の中田秀夫監督や『呪怨』(’00)の清水崇監督、それに黒沢清監督のホラーに影響を与えるとも*、フジテレビでドラマを撮れるとも思ってもいなかった。一度は監督を引退した僕が監督復帰できたのも『ほん怖』のお陰ですし、この作品がなければ今の僕はないと思っています。

*『リング』の中田秀夫監督は、「『リング』はビデオ映画『ほん怖』が存在しなかったらできていなかった」と発言をし、黒沢清監督も同様の発言をしている。『呪怨』の清水崇監督は『THE JUON/呪怨』(’04)撮影中のスタジオに鶴田が訪れた際、ビデオ映画『新・ほんとにあった怖い話/幽幻界』(’92)の恐怖演出を真似させて欲しいと許諾を求めた(鶴田はこれを快諾)など、多くのJホラー作家に多大な影響を与えている。

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