中村勘九郎さんと中村七之助さんが、父子の関係について語りました。
10月5日(木)から開催される「中村勘九郎 中村七之助 錦秋特別公演2023」に出演する勘九郎さんと七之助さん。
この公演は、「地方にいると交通費や宿泊費がかかって歌舞伎を見に行くことができない」という若いファンからの手紙を受け、2005年より二人を中心にしてスタートした地方巡業。
もともと、父である故・十八代目中村勘三郎さんとともに「親子会」として全国を巡っていた縁もあり、「それなら自分から赴こう」と、毎回、趣向を凝らした演目で全国のファンを喜ばせています。
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勘九郎さん、七之助さんは、歌舞伎の常識にとらわれず革新的な挑戦を重ね、不世出の役者として名高い勘三郎さんの意思を継ぎ、そのバトンを勘九郎さんの息子である中村勘太郎さんと中村長三郎さんをはじめとする次世代へとつないでいます。
今回、勘九郎さんと七之助さん兄弟に、「父と子」をテーマに話を聞きました。
<中村勘九郎×中村七之助 インタビュー>
「父からはすべての面で影響を受けた。憧れでしかない」(勘九郎)
――2005年に始まった「錦秋特別公演」は、父・勘三郎さんとの「親子会」に端を発した地方巡業ですが、思い出はありますか?
勘九郎:父からは芝居のことや生活のこと、本当にすべての面で影響を受けていますが、地方に行くと、特にその人脈の広さを感じます。巡業先で父がお世話になったご飯屋さんやお友だちとは、僕たちも仲良くさせていただいています。
七之助:「お父さんと撮った写真だよ」と、昔の写真を見せてくださるファンの方も多いです。たまたま入ったバーで「ここに、お父さんを連れてきたかったね」って話していたら、お店の方から「お父さんもいらしていましたよ」と言われたり。そういう面白いことがたくさんありますよね。
あとは、父のことではないですが、この間、鎌倉へ食事に行ったら、「お兄さんのご紹介ですか?」と聞かれました(笑)。
勘九郎:僕が紹介したんじゃないんですけどね。偶然、僕が家族と行った店だったようで。
七之助:どこのご家族にもあるのかもしれませんけど、僕たちは同じ職業というのもあって、そういった“縁”や“つながり”がより強いかもしれないですね。
「本当に“人間中村勘三郎”は魅力的でしたから」(七之助)
――勘三郎さんは、串田和美さんや野田秀樹さんといった現代劇の演出家と組んだり、平成中村座を立ち上げたりと、さまざまな挑戦でファンを魅了しつづけましたが、改めてお二人にとってはどういう存在だったのでしょうか。
勘九郎:憧れでしかないですね。とても話をするのが上手な人で、僕らがまだ幼いころから、食事や旅行に行くとその土地で起きた出来事や、芝居に関するエピソードなんかを話してくれて。
父の話を聞いて、その土地や歴史の魅力に惹き込まれていったものですが、大人になって近くで芝居をするようになってからは、もっと憧れの気持ちが強くなりました。
七之助:本当に「人間・中村勘三郎」は魅力的でしたから。僕たちは必死でついていくだけでしたし、いなくなってからも、たくさんの方に愛していただいているのは誇らしい限りです。
僕の中では、どんどん憧れが強まっていくばかりなのですが、同時に「ああ、あのとき、気づいてあげられたらよかったな」と思うことが多々あります。
僕たちが浮かれていたときに、一人でプレッシャーを抱えて、走って。すごく悩んだこともあったんだろうな…って。これは僕がおもんばかるだけで、「(天を指しながら)そんなことねぇよ!」って言われるかもしれないけど(笑)。
勘九郎:そうだね。僕たちには弱いところを絶対に見せない人でしたから。
七之助:ニューヨークの中村座(※)でも、僕たちは「わーい!中村座が建った!」「お父さんはすごい人だな」と思っていただけでしたけれど、父の中には僕たちと違った感情が絶対にあったはずなんですよ。
とはいえ、そこに気づいて助言をしたとしても、「そんなことないよ」で終わっちゃう人なんですけれどね。「疲れた」「しんどい」「辞めたい」…そんなことを言っているのを、聞いたことがない。家に帰って無言でずっといるということも、絶対にありませんでしたから。…それは早く死にますよ。
(※)2004年の「夏祭浪花鑑」からスタートした平成中村座のニューヨーク公演
勘九郎:父を見ていて、極端なのはいけないなと思いましたよね。でもやはり、芝居に対する姿勢とか、そこに到るまでのすべては父を見て学んでいます。例えば、5月の平成中村座の姫路城公演では、多くのお客様が出待ちをしてくださっていたんですね。それを見たとき、「どんなに疲れていてもお父さんだったらこの中に飛び込むな」と思って、40分間対応しました。本当は、僕は面倒くさがりなんですけれどね(笑)。
そういったすべての面で、「父だったらどうするか?」といつも考えてしまう。僕たちにとって、父はそういう存在です。
「芝居に対する憧れこそ上達の第一歩。あとは楽しんでほしい」(勘九郎)
――勘九郎さんがお子さんと接するときには、どのようなことを心がけていますか?
勘九郎:父をはじめ、先輩方から教わったことは僕たちにとって宝物ですから、それを正しく子どもたちに伝えていくことを、一番大事にしていかなければと思っています。
でも今は、息子たちにはのびのびやってほしいと思っていますし、彼らもイヤイヤではなく好きで歌舞伎をやってくれている。それはとても恵まれていることですよね。本当に好きじゃないと、この職業は続かないと思いますから。
<中村勘太郎&中村長三郎インタビュー 兄が演じた獅子を見た長三郎「いつか踊りたい」>
七之助:芝居がすごく好きだというのと、父を尊敬しているというのは僕もすごく感じます。その部分は僕たちと一緒ですね。
勘九郎:この間「こういう芝居でこういう役をやってもらうよ」と伝えたら、勘太郎がガッツポーズをして笑いが止まらなくなっちゃったんですよ。それはうれしかったですね。僕も父から「こういう役をやってもらう」と言われたときにはいつも、うれしいなとは思いましたけれど、あんなに笑いが止まらなくなっちゃうようなことはなかったですから。
「好きこそものの上手なれ」とよく言いますが、彼は芝居に対する憧れが強いし、それこそが上達への第一歩なので、あとは楽しんでやってもらえたらいいですよね。
七之助:あと二人とも、表現力がすごいし、照れがない。僕たちはあんなふうではなかったですし、びっくりしました。
これは二人が新作に挑んだときの話なのですが、新作の場合、古典と違って先輩方のお手本がないので、参考にする芝居がないんですよ。台本を読んで想像するしかないので、稽古場で「はい、やってください」って演じるのはとても難しいものなんです。それなのに、あそこまで表現できるなんて。
勘九郎:そこは、父として(自身)も心配していたところではあったんです。新作の面白さは、現場で共演者と対峙したときに出てくる化学反応にこそあるじゃないですか。自分の中で作りすぎていくと、面白くなくなってしまう。子どもたちにそこができるかな、と案じていたのですが、二人ともまぁ自由でした。それは誇らしかったですね。
七之助:僕が彼らの年代のときは、あんなふうに演じることはできなかったな。初めての演目でも、知っている人とご一緒できると恥ずかしさは半減するもので、共演者のみなさんと触れ合う時間が多かった僕たちのほうが、有利だったはずなのに(笑)。彼らの場合、コロナもあったので稽古場で「はじめまして」の人が多いのですが、その状況であれだけできてしまうのは、本当にすごいことだと思っています。
勘九郎:僕たち兄弟は年の差が1歳半で、同じ演目や二人で演じるものが多かったのですが、勘太郎と長三郎は2歳半離れていますし、身長差もかなりあるので、兄弟で同じものができない。本当ならそれも、不安に感じるはずなんですけどね(笑)。
「僕が面白いと思ったものを息子と一緒に見る。そういう時間が大事」(勘九郎)
――その違いはどういうところから生まれたのでしょうか?
勘九郎:感覚なのか天が与えたものなのか…。子どものころから歌舞伎に限らず、現代劇など僕の好きなジャンルの作品を見ていたのは、大きいかもしれないです。
物心つく前から(劇団☆新感線の舞台)「レッツゴー!忍法帖」のDVDを見ていたので、彼らに表現力がついたのは、阿部(サダヲ)さんのおかげかもしれない(笑)。
七之助:そういう影響はあるかもしれないね。
勘九郎:僕が純粋に面白いと思って見ていたものを、息子たちも飽きずに見ていた。そういう時間は、大事なのかもしれませんね。
――勘三郎さんが切り開いた新しい世界を、君たちが引き継いでいくんだよ、というような話をしたりするんですか?
勘九郎:まったくしません。最近は、ゲームでいえば「ポケットモンスター」とか、「ゼルダの伝説」「ドラゴンクエスト」を一緒にやったり…。
七之助:そこは変わらないよね(笑)。それにしてもゲームも古典が好きなんだなぁ。
勘九郎:あとは、勘太郎は歴史が好きなので興味のある書物を読んだり博物館に行ったり、長三郎は絵が好きなので美術展に連れて行ったりすると大変喜びますね。
――勘太郎さんは中学生になって、そろそろ反抗期なのでは?
七之助:(即答で)いや、それはない。って僕にはわからないけど。どう?
勘九郎:全然ないですね。僕たちに比べてやんちゃじゃないし、行儀が良いと思います。
七之助:でも、僕たちも反抗期はなかったよね?
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勘九郎:全然…反抗期って、どんなふうになるんですか?
――理由がないのに機嫌が悪くなったり、大きな音を立てて歩いたり、といったことでしょうか。
七之助:僕たちがそんなことをしたら、外に出されていたと思う(笑)。
勘九郎:そうね。子どもたちにもそんな気配はないなぁ…。心配のタネもまったくない。
とにかく二人には、のびのびと育っていってほしいと思っています。
取材・文/須藤美紀
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