2024年夏に開催される、パリ五輪の予選大会の一つとして、国立代々木競技場 第一体育館(東京都渋谷区)で開幕した「FIVB パリ五輪予選/ワールドカップバレー2023」。
9月30日(土)からは、いよいよ男子日本代表の戦いが始まる。その見どころと注目のポイントを、スポーツライターの田中夕子氏が解説する。
ブラン監督の下、世界基準のサーブ、トータルディフェンスを構築
12年のロンドン五輪で女子バレー日本代表が銅メダルを獲得するなど、世界で上位争いを繰り広げてきたなか、男子日本代表は、ロンドン、リオと出場を逃し後塵を拝してきた。
だが女子のあと、今年6月6日に開幕した「ネーションズリーグ」では開幕から10連勝を飾り、ファイナルラウンドでも準々決勝でスロベニアを打破し、目標としてきたベスト4進出を果たす。
準決勝はポーランドに敗れたが、3位決定戦でイタリアに勝利し、世界ランキングに関連する主要国際大会で、実に46年ぶりのメダル獲得という快挙を成し遂げた。
最大の要因は、東京五輪後の21年に就任したフィリップ・ブラン監督の存在だ。現役時代はフランス代表としてプレーし、引退後は監督、コーチとして母国フランスやポーランドを率い、コーチを務めた14年にはポーランドを「世界選手権」優勝へと導いた名将だ。
17年に日本代表コーチとして選手とのコミュニケーションを図り、信頼関係を築いてきた。何より大きかったのは、これまでは高さで劣る日本が世界と戦うためにはスピードが重んじられる傾向が強かったなか、ブラン監督は世界と異なる日本オリジナルを追求するのではなく、世界と同じ基準でサーブを攻め、ブレイクチャンスをつくるためのブロックとレシーブのトータルディフェンスを構築。
さらに、攻撃時には最低4枚の攻撃陣が同時に入り、ブロックを拡散させる。いわば世界の強豪がなしえる当たり前の戦術を、日本代表にとって最も適する形へと落とし込んできた。
苦しい戦いが予想されるが、今の日本代表には勝ち抜く力がある
その中心となるのが、主将も務める石川祐希だ。中大在学時からイタリアへ渡り、想像ではなく自らの体験として世界を知り、撃破するためにはどんな攻撃が通用するのか。自分に必要なものは何かを考え、追求し、磨き続けてきた。
特に大学卒業後の18年にプロとなってからは、ケガを防ぎ、より高いパフォーマンスを発揮するためにトレーニングや食事、セルフケアを含めた休息にも重きを置き、戦う身体を整える。セリエAでも年々レベルアップを果たし、昨シーズンは目標としてきたプレーオフ進出、ファイナルラウンドでのベスト4進出も成し遂げた。
<石川祐希“龍神NIPPON”を分析「プレーの精度が備わってくれば、互角の勝負ができる」>
そしてキャプテンとしてもチームを鼓舞、牽引するのはもちろん、勝負がかかった場面では、まず自らが欲しい1点をもぎとる強さも石川の大きな武器だ。その姿に触発され、同じアウトサイドヒッターの髙橋藍も日体大在学中ながらイタリアでプレーすることを選択し、ハードスケジュールをこなしてきたにも関わらず、直後の「ネーションズリーグ」「アジア選手権」でも石川とともに攻守の柱として日本代表にとってなくてはならない存在となった。
石川、髙橋ばかりではない。オポジットには東京五輪も経験した西田有志がいて、さらには西田の1歳上の宮浦健人も存在感を発揮している。ミドルブロッカー陣も小野寺太志、山内晶大、髙橋健太郎といった攻守でそれぞれ個性を持つ選手がそろい、ディフェンスはリベロの山本智大が束ねる。
何より、多彩な攻撃陣を活かすセッター関田誠大の正確で大胆なトスワークも光り、まさに全員が欠かせぬ戦力であり、出場機会が限られる選手たちもめぐってきたチャンスで着実に成果を残す。決して大げさではなく最強の日本代表といっても過言ではないはずだ。
同じB組にはアメリカ、セルビア、スロベニアといった世界の強豪がそろう。ホームアドバンテージがあるとはいえ、苦しい戦いが予想されるが、今の日本代表には勝ち抜く力がある。五輪出場ではなく、メダル獲得に向け、「ワールドカップ」からどんな戦いが見られるか、注目だ。
フジテレビ系列では『FIVB パリ五輪予選/ワールドカップバレー2023』として、日本戦全試合を19時から独占生中継します(延長対応あり)。
<「FIVB パリ五輪予選/ワールドカップバレー2023」概要>
「FIVB パリ五輪予選/ワールドカップバレー2023」
英文名称:「FIVB Road To Paris Volleyball Qualifier / World Cup 2023 Japan」
開催国
女子:中国、ポーランド、日本
男子:中国、ブラジル、日本
試合方式:
男女ともに開催国・フランスを除くFIVB(国際バレーボール連盟)世界ランキング上位24ヵ国(男子は、2022年9月12日時点、女子は10月17日時点)のうち8ヵ国が参加。男女3都市で同時開催され、3つの会場に8ヵ国が抽選によって振り分けられる。総当たり戦を行って上位2ヵ国がパリ五輪への出場権を獲得。日本では「ワールドカップバレー2023」も兼ねた大会となり、東京都渋谷区に位置する国立代々木競技場 第一体育館にて男女大会を開催。
男子大会
9月30日(土) 日本×フィンランド
10月1日(日) 日本×エジプト
10月3日(火) 日本×チュニジア
10月4日(水) 日本×トルコ
10月6日(金) 日本×セルビア
10月7日(土) 日本×スロベニア
10月8日(日)日本×アメリカ
放送日時:
男子:9月30日(土)~10月8日(日)
日本代表戦全試合を19時から20時54分生中継(延長対応あり)
公式HP:https://www.fujitv.co.jp/sports/wcv2023/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/fujitv_volley1
公式Instagram:https://www.instagram.com/fujitv_volleyball/
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