崎山つばさ『赤ひげ』で若き医員役「養生所で生きる人たちの“生”を丁寧に表現したい」

インタビュー

2023年10月17日 |

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崎山つばさ『赤ひげ』で若き医員役「養生所で生きる人たちの“生”を丁寧に表現したい」

めざましmedia編集部

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崎山つばささんが名作に挑みます。

山本周五郎氏による小説「赤ひげ診療譚」を原作に、これまで何度も映像化されてきた「赤ひげ」が、創業150周年を迎えた明治座で舞台化されます。

＜船越英一郎共演者から“崖の帝王”とイジられ「うまいこと言った（笑）」＞

崎山さんが演じるのは、主人公の“赤ひげ”こと新出去定（船越英一郎）が医長を務める小石川養生所の医員・津川玄三。噂好きで、養生所にやってきた医員・保本登に養生所の現状などを吹聴し、どこか皮肉めいた言動をのぞかせる役柄です。

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フジテレビュー!!では話題作に出演する崎山さんにインタビュー。初舞台をふむ船越さんとの共演や作品の魅力を聞いたほか、公演中に誕生日を迎える心境などを聞きました。

＜崎山つばさインタビュー＞

――これまで「赤ひげ」という作品にふれたことはありましたか？

今回の出演が決まってから原作を読み、黒澤明監督の映画版を見ました。人間の生々しさや生に対する思い、あの時代ならではの生き方などが描かれていて、伝説といわれる作品は何十年経っても色あせないんだなと感じましたね。

去定先生を演じた三船敏郎さんの存在感や、保本役の加山雄三さんの熱血ぶりに感銘をうけ、そして、津川を演じた江原達怡さんのお芝居からは吸収できるもの、今回の舞台の参考になりそうなヒントが随所にあって、勉強になることばかりでした。

船越さんがテレビシリーズ（2017年～2022年／NHK）で長く演じてきた「赤ひげ」の原作を舞台化し、船越さんにとっては初めての舞台出演。さらに、その会場となる明治座さんが創業150周年記念で、背負うものがあまりにも多すぎてプレッシャーだらけですが、原作や映画で感じたものを丁寧にお客様にお届けしたいです。

――明治座への出演は今回が初めてだそうですね。

歴史ある劇場に立たせていただくのは、並々ならぬ思いがあります。役者として一つの目標でもありましたし、劇場前に自分の名前の入った幟（のぼり）が立つことも感慨深い。それを、僕を応援してくださる皆さんが写真に撮って記念に残してくださることも楽しみです。

“赤ひげ”に扮する船越英一郎のオーラに圧倒され…

――船越さんとは初共演ですが、どのような印象をうけましたか？

ビジュアル撮影時に役の扮装をした状態で初めてお会いしましたが、去定先生なのか船越さんなのかわからないぐらいに佇まいが自然で、醸し出すオーラに圧倒される自分がいました。

でも、それって津川が去定先生と初めて対面したときも、もしかしたらこうだったのではないかなと思わされたので、そんな印象も今回の役作りに活かせそうです。

――船越さんは今回が初舞台。“舞台の先輩”としてアドバイスしたいことはありますか？

いやいやいや、そんなアドバイスなんてできる立場ではないですよ（苦笑）。作品をつくり上げるうえで、初めての人も熟練の人もあまり関係ないと僕は思っていて。今回は、小石川養生所で生きる人たちを描くことが一番のテーマで、そこで津川がどんなふうに影響を受け、どんなふうに成長していくかが重要。

女中を演じる方の中にはドラマシリーズから引き続き出演される方もいらっしゃいますし、キャストそれぞれ、違う場所で経験したものが一つの作品に集約され、そこに感化されて成長していきたいと思いますし、稽古も本番も隙のない時間になりそうです。

――座組の印象を聞かせてください。

保本役の新木宏典さんとは長いつき合いですが、久しぶりの共演です。これまでは僕が後輩という設定が多く、さらに、演出をうけた作品もありましたが、今回は保本に津川が養生所の先輩として教えることも多いので、そんな関係性がすごく新鮮です。

同じく、医員に扮する森半太夫役の猪野広樹くんや高橋健介くんとは共演経験があって、関係性を構築する時間を省くことができ、そのぶん、作品や役柄のことに時間を費やせるのは僕らにとってプラスなこと。養生所ではライバルのような関係ですが、稽古場では切磋琢磨して、刺激し合いながらやっていきたいです。

ほかに、山村紅葉さんや菅井友香さんなどがいらっしゃって、全体的に不思議な空間になりそう（笑）。とんでもない船に乗ったなという心境です。

公演中34歳に！33歳は人同士のつながりの大切さを実感

――津川をどう演じたいと考えていますか？

津川って、原作を読んだり、映画を見たり、今回の台本を読んだりする中ですごく掴みづらい人物なんです。というのは、心情を吐露する場面も登場しますが、それよりも常にのらりくらりと立ち回り、本心がみえない。

ですので、船越さんや新木さんとお芝居のキャッチボールをする中で構築される部分が多いのではないかなと考えています。もちろん、事前にできることはしっかりと準備して臨みますが、演出の石丸さち子さんや船越さんからいただくもの、得るもので津川をつくり上げていくことになりそうです。

――時代劇に出演する場合と現代劇に出演する場合で、心構えの違いなどはありますか？

作品のカラーや時代によっても変わってきますが、時代ものに出演する際には、当時を生きていた人たちがどんな信念をもち、どう過ごしていたのかという知識を得ることから始めるようにしています。

「赤ひげ」でいうなら、映画や原作で知った生活習慣だったり、食べるものだったり、生に対する考え方の違いが、お芝居を作りあげるうえでの参考になる。

津川たちが生きた時代は食事も満足にとれない状態で、空腹具合によって姿勢や動きなども変わってくるはずですし、きちんとした所作ではなく、雑な動きのほうが生々しさや緊迫感が伝わると思うので、考えすぎず自然な芝居を心がけたいです。

――舞台や映像と多ジャンルでの活躍が続く中、『赤ひげ』の公演中には34歳の誕生日（11月3日）を迎えますが、33歳はどんな年でしたか？

人と人とのつながりや縁などを改めて大切に思えた1年でした。もちろん、20代のころも大事さは感じていましたが、年齢を重ねるごとに重みが増していくといいますか、考えも変化していって。新たな役との出会いや人とのつながりなど、より真摯に受けとめた年になりました。

――8月まで『仮面ライダーギーツ』（テレビ朝日）に出演していましたが、ファン層に変化はありましたか？

子どもたちが、僕が演じたキャラクター・晴家ウィンの扮装を真似してくれたり、ロックのポーズをやってSNSに写真を載せてくれたりというのは今までなかったことで、「ヒーローになったんだな」と実感させてくれる瞬間が多々ありました。

――『仮面ライダーギーツ』でジットを演じた佐藤流司さんとは、ミュージカル『刀剣乱舞』に続いての共演でしたね。

流司とは戦いっぱなしで、仲良くなった試しがないんです（笑）。そういう運命なんですかね。現場でも「俺たち、（作品の中で）ずっとケンカしてるよな」なんて会話をしていました。バトルを繰り広げてばかりなので、いつかハートフルな兄弟役などやってみたいです。

――では、改めて『赤ひげ』への意気込みを聞かせてください。

原作を読んだとき、胸を締めつけられるような気持ちになったところもありましたし、生きていくうえで大事なものを感じとりました。体をこわしたときに改めて感じる健康のありがたさや、病を抱えた人と養生所の人たちの何気ないふれ合いで起きる笑い、ほんの小さなことから感じる幸せなど、お客様には何か一つでも持ち帰っていただけたら嬉しいですね。

撮影：河井彩美