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田中麗奈『いちばんすきな花』美鳥の役割の大きさにプレッシャーを感じるも「やるしかない」

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田中麗奈さんが、『いちばんすきな花』出演時に感じていた不安を語りました。

現在放送中の木曜劇場『いちばんすきな花』(フジテレビ)は、潮ゆくえ(うしお・ゆくえ/多部未華子)、春木椿(はるき・つばき/松下洸平)、深雪夜々(みゆき・よよ/今田美桜)、佐藤紅葉(さとう・もみじ/神尾楓珠)という4人の男女が、ふとした出来事を機に巡り会い、「友情」と「愛情」というテーマに自然と向き合っていくストーリー。

年齢も性別も、育ってきた環境も全く違う4人の抱える“思い”が共感を呼び、毎週SNSで関連ワードがトレンド入りするなど話題となっています。

また、第7話から、主人公4人に大きな影響を与え、それぞれにとって大切な存在である志木美鳥(しき・みどり)が登場。第9話には5人が一堂に会するシーンがありましたが、美鳥は「4人と、自分1人に感じた」と少しの寂しさを吐露し、その感情に多くの共感が寄せられました。

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物語も終盤を迎え結末も気になるなか、美鳥を演じている田中麗奈さんが取材会に出席。作品や美鳥役への思い、共演者との撮影中のエピソード、そして、自身の“いちばんすきな花”についても語ってくれました。

美鳥の初登場時、村瀬健プロデューサーの涙を見て「うれしかった」

<田中麗奈 インタビュー>

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──出演前、『いちばんすきな花』をどのように見ていましたか?

すごく優しくて繊細なドラマだなと思って見ていました。

言葉がすごく耳に残るというか…言葉遊びも、とても哲学的な言葉も、格言もあって。リラックスして見ながら、グサッと刺さるものもある、不思議な感覚のドラマですよね。

ただ、自分が関わるようになってからは、ただ楽しいだけでは見られなくなっています。細かい部分を見てしまいますし、何よりプレッシャーで。イチ視聴者としてはもう見られないです。

──美鳥は登場するまで、「実際にどういう人なのか」と注目されていました。そういった視聴者の声はどう受け取っていましたか?

いや、もう…緊張とプレッシャーですよね。7話の最後に初めて登場しましたが、そのときに「美鳥じゃない」「田中麗奈かよ」と言われるんじゃないかと思っていたので、自分の中にそういったネガティブワードをたくさん入れて、傷つかないようにしていました。

あと、今田(美桜)さんに「バッシングがあったら、慰めてください」と伝えていました(笑)。

──実際は、ポジティブな反響が多かったですね。

7話の放送時は、セットで撮影をしていたので、自分で視聴者の皆さんの反応を見ることはできませんでした。でも、放送直後、セットを出たところにプロデューサーの村瀬(健)さんが携帯を握りしめて立っていて。「やっぱり田中さんで良かったです!」「みんな『いい!』って言ってます!」と言いながら反響を見せてくださって。

村瀬さんは「泣きそうになりました」と言っていましたけど、すでに涙は出ているし(笑)。「本当に受けてくださってありがとうございます!」と言いながら喜んでくださる姿を見られたことが、一番うれしかったですね。そのときにまずは第一関門突破したかな、と感じることができました。

ゆくえに波長を合わせるように意識

──改めて、志木美鳥役のオファーを受けた理由を聞かせてください。

理由は…脚本を含めて独特な世界観で、単純に「好きだな」と思ったからですね。

あとは、出演者の皆さんが演じているキャラクターに合っていて、自然に演じられているなと思っていたなかで、美鳥のようなイメージが私にあるから声をかけていただいたんだろうなと思うとうれしくて。それに自分自身、美鳥を演じる自分も自然とイメージできたので、お受けしました。

役割はとても大きくて、プレッシャーも大きいですが、やるしかないという感じでしたね。

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──そのプレッシャーはどうやって払拭しましたか?

今も…美鳥が視聴者の方に受け入れてもらえるかなと、まだプレッシャーがあります。

でも、このプレッシャーを最後まで感じることが、今まで作品を作ってきたチームの皆さんに対する礼儀でもあるし、敬意でもあるし、それを表現の力にしていくことが大事だと意識しています。

──美鳥を演じるうえで、一番大切にしていることは何ですか?

ゆくえ、椿、夜々、紅葉の4人がすごくいい雰囲気なので、その世界観を大事にしたいんですよね。1人の方と対峙したときに、その人をとにかく大切に思って演じています。

特にゆくえが『いちばんすきな花』の世界観を体現していると感じているので、ゆくえが発する周波数に入っていくというか、波長を合わせることを意識していて。声のトーンや強弱も合わせています。

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ゆくえと一緒にいるときが美鳥にとってベーシックな状態だと思うので、そこがパチッとハマったときに心地よくて。ゆくえのおかげで美鳥を作ってもらえているなと感じています。

──他の作品でも声のトーンなど気にすることが多いのでしょうか?

声は気にしますね。声で表せるものもあると思うし。でも、今回はより敏感になっていると思います。

──田中さん自身が、主人公4人のなかで友だちになる可能性がある人は誰でしょうか?

ゆくえでしょうか。夜々ちゃんは美鳥からすると妹目線なので。でも、ゆくえは塾の先生と生徒という関係があっても、友だちのような感覚があるので、私自身も友だちになるならゆくえかもしれません。

──撮影はどのような雰囲気で進んでいますか?

皆さん、15ページとか、17ページとか、長いおしゃべりをお芝居でやられているので、本当にすごいなと思っていて。特にこのドラマは、おしゃべりをしながら、その話題もあっちに行ったりこっちに行ったりしながら、コーヒーを淹れたり、掃除をしたりという動きもあって、それがテンポよく進んでいくところを視聴者の皆さんも楽しんでいらっしゃると思います。

すごく難しいことなのに、ナチュラルに演じていらして、レベルの高い素晴らしい役者さんたちだなと。チームワークも素晴らしいですし、空気感がステキで、4人をずっと見ていたいと思いながら撮影しています。

──皆さんとどのような話をしていますか?

だいたい1人ずつの共演なのですが…多部ちゃんとは、お互いの子どもの話をしていますね。今田さんとは地元が同じ福岡なので、地元の話を。神尾さんは…私が、「7話のあれ面白かった!」などというドラマの感想を伝えて、それに対して「あれはヤバかったです!」と答えてくれる会話が多いですね。

松下さんとは、「撮影何時から?」というなんでもない話が多いです。「美鳥さん、みんなが待っていました」「全スタッフ、キャストが『受けてくださってありがとうございます』と思ってます」とお話してくださったこともありましたね。でも、うれしいのですが、そういうお話を聞けば聞くほど、またプレッシャーになって(笑)。ただ、本当に4人ともお人柄がよくて、ステキな方々です。

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──意外な一面があった方はいましたか?

私が見る限り、皆さんナチュラルで、意外な方はいなかったですね。

待合室でゲームをしていることが多いみたいで、私も1回カードゲームの仲間に入れてもらったのですが、楽しかったです。

そのときは、自分が持っているカードの数字を言わず、数字が分かるような話をしながらそれぞれの持っている数字を想像して、最終的に数字が小さい順に出していくゲームをやりました。話をしながら、アイコンタクトをしながら、自分の順番を探るそのゲームをして、「こうやってみんなコミュニケーション能力を高めているのか!」と知ることができました。

“いちばんすきな花”は「ガーベラ」

──美鳥は子ども時代に、将来の夢として「自分が帰りたい家がほしい」と話していました。田中さんご自身が、子どもの頃に思い描いていた夢はありますか?

子どもの頃からこの仕事をしたいと思っていました。仕事を始めたあとも、ドラマとか映画とか、お芝居をずっと続けていきたいと思っていましたね。

──現時点の夢はありますか?

ないですね(笑)。でも、それもいいと思っているんです。

私たちの小さい頃って、「夢を持て」とよく言われていましたけど…夢を持つことって素晴らしいですが、苦しいこともあるじゃないですか。私自身、「役者をやりたい」と思う気持ちがあって、自分の理想もあるけど、届かないことが苦しすぎて「こんな夢、持たなければ良かった」と思ったこともあるんですよね。

夢って覚悟の一つでもあるから、持つことで前進もできるけど、自分を痛めつける要素にもなるから、自分は子どもに「夢を持ちなさい」とは言いたくなくて。好きなことを見つけて、自分がやりたいと思ったらやればいいし、それに対して「夢」と名前を付けるならそれでいいし、と最近思っています。

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──日常生活で花を飾ることはありますか?

季節のお花を植えたり、室内に飾ったりしていますね。花は好きです。

──いちばんすきな花は何ですか?

ガーベラです。たしか、上京したときに初めて買った花だったんじゃないかな、と。あとは、小さい頃から絵に描く花の形がガーベラに似ていて、“お花”っていう感じがするから好きですね(笑)。

──ガーベラのなかで、好きな色はありますか?

オレンジですね。いつもオレンジやピンクを手に取る気がします。元気が出るので。そのあたりは美鳥とちょっと似ていますね。

──本作は「男女間の友情は成立するか」がテーマ。田中さんご自身はどう思いますか?

「成立する」とか「成立しない」とかそういうことじゃなく、どちらもあると思います。

人それぞれ、考え方や感覚は変化していくものですし、変化しないとおかしいですし、人生の状況によってまったく変わるものですから。

私も結婚したり、子どもができたりして、生活の時間も人間関係も変わりましたし、それは自然なことだなと感じています。ですから、「絶対成立するよね」「絶対成立しないよね」とは言えないですね。

──藤井風さんが歌う主題歌「花」を聴いた印象を聞かせてください。

オープニングの音楽からすごくおしゃれ。朝早いとき、撮影でプレッシャーを感じるとき、ランニングをしているときにすごく聴いています。

ドラマの中で聴いていると、「今日はこの部分の歌詞が入ってきた」と、同じ歌でも物語の内容によって違うように聴こえて、新鮮さがあってすごいですよね。

──普段はどのような音楽を聴きますか?

歌がない、ビル・エヴァンスやジャズを流して聴くのが好きです。お料理をするときとかに。

あとは、『いちばんすきな花』の撮影に入る前に、『silent』も一気見したので、Official髭男dismさんの「Subtitle」もすごく聴いていたんです。「よし、頑張ろう」と元気をもらった曲ですね。

──視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

生方(美久)さんの脚本って、クロスワードを解いていくような面白さがあって。読み進めれば進めるほどに「○話で出てきたあのテーマがここで出てくるんだ」と、解読していく面白さがあります。

そういった知的感覚みたいなものを満たしてくれる部分もありますし、生方さんが構成する物語が、10話、11話に向けてさらに盛り上がっていきます。哲学的な言葉や格言もありますので、言葉を大事に聞いてもらえたらうれしいです。

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