＜コラム＞『いちばんすきな花』最終回前に「みんなでちょっと住みたい」というブッコミだからこそ、このドラマらしい！

全ての画像を見る

＜コラム＞『いちばんすきな花』第10話

＜【写真8枚】この記事の写真を見る＞

第9話、夜々ちゃん（今田美桜）と椿（松下洸平）の、“二人”のクライマックスで…

夜々「（告白後、涙を流しながら椿に）そういうとこ好きです…」

――長い沈黙

あー、その、“そういうとこ”ってのは、うんうん、そうだよね？夜々ちゃん、そうだよね？椿に対する気持ちを、改めて表明した、あの「やっぱり可能性ないですか？」に対して、あの意を決した、意を決しまくった、あの、夜々ちゃんの「やっぱり可能性ないですか？」に対して、椿ってば、即答レベルで、「うん」とか言えちゃう、あの感じだよね？

あの、なんか、いつもは遠慮してるくせして、はっきり言わない風情なくせして、THEノーとは言えない日本人なくせして（言い方！）、いざ、そういう、真剣なとき、真剣と書いてマジと読ませるときに限って、「うん」とか、はっきり言えちゃう、あの感じ、だよね？あの、男らしさと草食男子の間！！な感じ、だよね？（どんな感じだよ）いや、普段はどう見積もっても草食なくせして、いざ婚約者との別れともなると、「好きというパッケージに満足してた」とか、ズバリ言えちゃう、男らしさが垣間見えるあの感じ…今回だって、どう解釈しても「私のこと好きじゃありませんか？」っていう問いだっていうのに、それに対して、「うん」とか即答できちゃう、あの感じ！！そういうとこ！！椿の、“そういうとこ”が、好きなんだよね！？ね？！？！

…え？でも、ちょっと待って？？え？なに！？その、椿の、服装！？（急に）何色か言い難い、くすみカラーのノーカラーシャツに、何色か言い難い（言えよ！）同系色のビッグステッチのカーディガンをあわせた、その服装は、部屋着ですか！？普段着ですか！？パジャマですか！？そのまま、寝る、服装なんですか！？にしては、かわいすぎませんか？！

なんなんですか！？もう、はっきりして！！！！？？告白に対してははっきりするくせして、自分の服装はちっともはっきりしてない！！普段着なのか！パジャマなのか！もう、いい加減、はっきりして！！！（怒りの矛先がおかしすぎ）

――長い沈黙を破って、椿が一言

椿「…え、どこ？」

聞くんかぁぁぁぁあああいい！！それ、聞いちゃうんかぁぁぁああいいい！！！

夜々「普段めちゃくちゃ喋るのに、こういうとき、余計なこと言わないでティシュを持ってきてくれるとこです…」

あ？え！？あぁ、そこ！？最終的に、椿の服装に気をとられ過ぎて、“ティッシュのくだり”見えてなかったわ…（おい！）っていうか、自分が即答して、泣かしといて、ティッシュ差し出すも何も、ないと思うよ？！あまりに、“客観”、しすぎだよ！？椿？！うん、そういうとこ！！そういうとこが…、椿…、だよ♡（わけわからん）

はい、続きまして（おい！）そのちょっと前。紅葉くん（神尾楓珠）が、手がけた装丁の件でだいぶめんどくさくなってたとき（雑にまとめすぎ）、椿が満を持しての励ましの言葉を放つ…

椿「見て！あんなに好きな人もいるから！（大量に買った椿くんの本を指差す）」

いや、いくら何でも残りすぎぃぃぃぃ！！！ほぼ、残ってますやん！！！

椿「あんなに配るほど、友だちいないって気づいて…（テヘ）」

ああ、そこ、ちゃんとツッコミ入って安心…。だって、あまりにも残りすぎなんだもん…（前回冒頭に登場した段ボールと比較したところ、2冊しか減ってない！！！）

さらに続きまして（おい！）そのほんのちょっと前。紅葉くんがめんどくさくなっての（2回も言うな）、その、第一弾の励ましの言葉…

椿「左手の薬指に指輪してる人みると、“あぁ指にゴミつけてるな”って思います。」

エピソード、強すぎぃぃぃいいいーーーーーーー！！！！

その後、夜々ちゃんが重ねた “会員カードがゴミ”が頭に入ってこないレベルで、エピソードが強すぎだよね。そのくらい、椿の、婚約指輪いらない＝ゴミ＝指輪つけてる人はゴミって（簡略化し過ぎ）、エピソードが尋常じゃなく強いよね。そことそこ、婚約指輪と会員カード、並列にするもんじゃないと思うよ！？（いや、それすら並列に語れるのがこのドラマ！）

っというわけで、ここまで、僕が、一体、何を言いたかったのかと申しますと（ホントに）、最終回前の第10話、だというのに、あまりにも通常通り…。

普通、もっと、とんでもないフックエピソードが待ち受けて、最終回への視聴意欲を無理矢理にでも搔（か）き立てる…ってのが、連続テレビドラマの常、だっていうのに、このドラマときたら、もちろん、男女に友情は成立するか？を掲げた今作で、紅葉くん→ゆくえちゃん（多部未華子）、夜々ちゃん→椿という、二組の恋愛感情の決着を描いてみせた、このドラマの大テーマの結末を描いてみせた、と言っても過言ではない描写はあったんだけど、その描写があまりにも自然過ぎて、さりげなさ過ぎて、決して大事で劇的な演出にしないもんだから、こんなにも椿を愛でる“余白”がある！！！最終回前だというのに、いつもどおり、椿に対してツッコめる！！通常営業！！ありがとう！！って、よだれが出てた（なぜ！？）そんな矢先…。

話は急に変わりますが、“最終回前”と言えば山田太一先生なんですね（話変わりすぎ）。

先日、山田太一先生のご逝去の報に接して、先生の作品に思いを馳せていたわけですが、僕にとって山田太一作品と言えば、“最終回前”、なんですね（いや、もっともっと、いろんなことを語れるけど、自分なりに表現するとってことで）。

フジテレビでの連続ドラマで例えるなら、1983年の名作『早春スケッチブック』は、連れ子同士で結婚した4人家族に“昔の男”が現れて揺さぶられる…という物語なんだけど、ようやく全員が心を通わせて次回の最終回で大団円！？となろうとした、最終回前の終了直前、“昔の男”の家に母親が行ったきり帰ってこない！（不倫？）という、まとまりかけてた超最終盤に、とんでもないブッコミが展開されるんです。

で、それがまた、最終回で、嘘みたいに美しく終わるんです。そしてもう一作品、直近作でいえば、2009年の山田太一先生の最後の連続ドラマ『ありふれた奇跡』は、自ら命を絶とうとした経験がある男女の恋愛ドラマなんだけど、主人公の女性は子どもが産めない体で、そのせいで家族を巻き込んでの大騒動になるのだけど、これまた、ようやくそれぞれに決心がついた最終回前の終了直前、子どもを産めない主人公の男女に、見ず知らずの女性から突然赤ん坊を預けられ、逃げられてしまう！という、とんでもないブッコミが展開されるのです（で、これももちろん、最終回で美しく完結されます）。

はい、ここまで、とてつもなく長くなりましたが（ホントに）、そんな、山田太一作品とともに、“最終回前”に思いを馳せていたもんだから、このドラマも、最終回前の終了直前…

（4人）みんなでちょっと住みたい！

って！！！！！

もう、この、最終回前の、しかも終了間際だっていうのに、来週からシーズン2始まるんですか！？レベルのエピソードがぶっこまれる！！これこそ！このドラマ体験こそ！！まさに山田太一作品！！まさか、生方（美久）先生と山田太一先生がつながった！！！

いい先生、いい作品っていうのは、こうやって、自然とつながるもんなんですね！！（？）

さすがに、山田太一先生の“最終回前”と比較すると劇的具合は異なりすぎるけれど、「みんなでちょっと住む」というブッコミだからこそ、このドラマらしい、じゃないですか！！

って、今気づいたけど、『ありふれた奇跡』にも携わっておられた谷村（政樹）監督が今回の演出を担当されているではないですか！？！なんという奇跡！！ありふれてない奇跡！！

椿のあれやこれや含めてご馳走様でした！！！（結局）