さまざまな世界で活躍しているダンディなおじさまに、自身の半生を語ってもらう「オヤジンセイ~ちょっと真面目に語らせてもらうぜ~」。
年齢を重ね、酸いも甘いも経験したオトナだからこそ出せる味がある──そんな人生の機微に触れるひと時をお届けする。
今回は、歌手・俳優の植草克秀が登場。1985年に少年隊のメンバーとしてデビューした彼は、約40年間在籍した所属事務所を2020年の年末をもって退所。今年1月に個人事務所を立ち上げ、第二の人生をスタートさせたばかりだ。
前編ではやんちゃばかりしていた幼少期や芸能界へ入ることになったきっかけ、運命的な出会いについて明かしてくれた。
後編では、50代半ばにして始めたSNSや趣味にまつわるエピソード、そして、これからのことを赤裸々に語ってもらった。
Twitter開始初日。冷静を装いながら、心の中では「お願いします」と祈った
新たな一歩として、まずは、今までできなかったことから始めてみようと今年の1月16日にTwitterとInstagram(以下、インスタ)を開設しました。実は、「誰もフォローしてくれなかったらどうしよう」と、ドキドキしていたんですよ。だって、公式ホームページの開設も、SNSを始めることも事前には誰にも伝えずに準備していましたから。
それでも、あえて告知はせず地道にやろうということで始めて。Twitterは、フォロワーが30人ぐらいいればいいなと思っていましたが、心の中では「お願いします、お願いします」と強く祈っていました(笑)。
SNSを始めた当日、フォローやいいねなどをされるたび、スマホに通知が届くように設定していましたが、「ピン、ピン、ピン、ピン…」って続々来るからうれしくなってしまって。まったく通知が鳴りやまず、スタッフから「この音、うるさいから消しますか」と言われたのですが、「ううん、消さないで」と、楽しくウォッチしていました。
Twitterは始めてすぐ20000人くらいフォローしてくれる人がいたのですが(フォロワー数は3月上旬の時点で約25000人)、その数が多いのか少ないのかもわからず、スタッフに尋ねてみたら「イケてる美魔女ぐらい」だと言われて。今どきの美魔女さんってすごいんですね。僕ももっと頑張らないと…と言いつつ、徐々にフォローしてくださる方が増えていけばいいかなと思っています。
僕にとってSNSは、とても平和で幸せな世界
僕は初心者だから、SNSってどんなことをつぶやけばいいのかわからなくて。始めたときに、いろいろな方のアカウントを見てみたんです。だけど、たどり着いたのは「自分は自分でいいんだ」ということ。今、つぶやいていることも、ほぼその瞬間に思いついたことばかりです。
皆さんが書き込んでくれたことは、時間がある限りちゃんと目を通しています。ファンの皆さんのリプ(返信)を見ると、川柳を書いてくれてる人もいて僕より面白いんですよね(笑)。ちょっと使わせていただこうかなと思いつつ、「いや、真似はいけない」と自制して。楽しく見ています。
昨年まではファンの方と、SNSを通じた交流をする機会がまったくなかったものだから、リアルな声を聞けることがうれしいし、幸せなんですよね。
この間なんて、テレビで見た「にゃーにゃーにゃーにゃにゃっ…」という高橋洋子さんの「残酷な天使のテーゼ」の歌詞を「にゃにゃ」で表現したCMソングが頭にこびりついちゃって、「これは!」と思ってつぶやきました。そうしたら、中には僕がおかしくなってしまったと勘違いした人もいて(笑)。そういう反応がすごく面白いですね。
まだSNS初心者なのでハッシュタグなどよくわかっていないのですが、フォロワーの皆さんに守っていただいてる感じがして、とても幸せで平和な世界だと感じています。
キャンプを始めたきっかけは三浦洋一の「中禅寺湖へ来い」といういきなりの電話
インスタは、以前から趣味で行っているキャンプの画像を少しずつアップしています。昨年ごろからソロキャンプが流行っていますが、僕の場合はグルキャン(グループキャンプ)です。だって、1人だと寂しいじゃないですか(笑)。大勢でワイワイやりながら料理をつくって、みんなに振る舞う時間がすごく楽しいです。
キャンプを始めたのは20代前半。きっかけはドラマで共演した三浦洋一さんでした。とある休日、洋一さんから「中禅寺湖へ来い」と電話がかかってきたんです。当時の僕はポルシェに乗っていたので、「轍がないから入っていけないです」と返事をしたら、「中禅寺湖の駐車場に俺のデリカが停まってるから、それに乗って入ってこい」と。
そこまで用意してもらったら行かざるを得ないじゃないですか。行ってみたら、洋一さんが湖のほとりでソロキャンプ的なことをしていて、その姿がやたらシブかった。でも、当時はソロキャンプなんて言葉がない時代ですから、正直、「この人、友達いないんじゃないか?」と思っていましたね(笑)。
しばらくして暗くなり、ランタンの点け方を1から教えていただきました。すると洋一さんが「あと3時間ぐらい起きてられるか?」と言うんです。「起きてろと言うなら起きてますよ。何があるんですか?」と尋ねても、洋一さんは「いいから」と言って教えてくれない。何があるのか気になりながらも、その3時間を待つ間、洋一さんは芝居から私生活までいろんな話を聞かせてくれました。
そして、数時間が経った頃に「向こうを見ろ」と言われて視線を向けると、湖に紫色の朝もやがフワーッとかかっていて。それはもうすごく幻想的な光景でした。
「この景色は今、俺たちだけのものだから」と言われ、「この人カッコいい!」と僕は感激してしまって。「スゴいですね、洋一さん。こんなにキレイなんですね」と言いながら振り返ったら、洋一さんはすでに寝ていました(笑)。気づくまでの間、僕1人で興奮してしゃべりっぱなしだったんです。もう、寝るんなら「寝る」って言ってくれよと思いましたね。
皆さんの前で歌を披露する機会も計画中!そのタイミングがきたらよろしく
インスタにキャンプの写真をやたらアップしているから、遊んでばかりいるんじゃないかと思われる方もいるでしょうが、仕事の準備もしっかり始めています。まずは3月19日にファンクラブを立ち上げます。そこでは、今までお見せできなかったものを動画で公開する企画など考えていて、皆さんが驚かれることもおそらくあるんじゃないでしょうか。
「歌わないの?」という声も届いていますが、僕はこれまで、歌手としていろんな曲を歌ってきたので、ディナーショーなど皆さんの前で披露する機会があってもいいのかなと。ファンクラブの中では、いろいろなことに挑戦していきたいと思っているので、お披露目のタイミングがきたらその時はよろしくお願いします。
僕もこの夏には55歳になりますが、さすがに年とったなと思います。ストレートでしょ(笑)?今はこうやって元気にしゃべっているけど、自宅に戻ったらこんな(疲れきった表情)ですからね。最近は、「ちょっと足が痛いな」とか「腰が痛いな」と思ったら家のまわりを歩くようにしているんですよ。そうすると、なぜか元気になるんです。そうやって健康を保った生活をしています。
今後の仕事に関していうと、僕はこれまで自分の趣味についてあまり出してこなかったのですが、キャンプのほか、レーシングカートやゴルフ、釣りなどいろんな趣味があるので、それを仕事に活かせたら面白いなと考えています。
もちろん、役者の仕事もタレントの仕事も、できるものなら何だってやっていきたい。植草克秀54歳、第二の人生を歩き始めたばかりですが、どうぞ見守ってください。これからもよろしくお願いします。
【思い出の品】電話番号
すごく考えたんです。いろんな方からいろんなものをいただいているのですが、コレと具体的に言ってしまうと「私のあれは思い出の品じゃないの?」となっちゃうので、「一番丸くおさまるのは何だろう…」と考えた結果、電話番号にたどり着きました。
この世界に入ってから現在に至るまで、出会った方たちから教えていただいた電話番号が僕の宝物で財産。何かあった時に、いや、何もなくても電話をかけてきてくれることが本当にありがたいです。これはずっと残るものだから、今後も大切にしたいと思います。
植草克秀公式サイト/公式Twitter/公式Instagram
ファンクラブの詳細は、公式サイトの概要ページまで。
撮影:河井彩美
ヘアメイク:花田紗希