NEWSの加藤シゲアキが4月3日(土)、東京・新国立劇場にて開催された主演舞台「モダンボーイズ」の公開ゲネプロ及び取材会に、山崎樹範、武田玲奈、作の横内謙介、演出の一色隆司と共に登壇した。
1994年に都政施行50周年記念公演として上演された、幻の名作ともいわれる青春群像劇「モダンボーイズ」。
日中戦争直前、浅草のレビュー小屋を舞台に、プロレタリア革命を志す学生でひょんなことから浅草エフリィという芸名でレビューの人気者となった矢萩奏(加藤)が、小屋の座付き作家と出会ったことにより、居場所を見つけ、自分にしかできない革命を見出していく物語だ。
矢作を未来へ導くレビュー小屋の座付き作家・菊谷栄を山崎、スター女優を目指し一座にやってくる若月夢子を武田が演じる。
本作は、演劇を上演することもままならない時代にどうブレークスルーして作品を作っていくか、登場人物たちの奮闘が描かれる。
加藤は「今のこの時代に、実はシンクロするところがあるのではないかと思います」と言い、「試行錯誤しながらどうやって舞台を上演するかというのは演劇界だけではなく、全てのエンターテインメント界で乗り越えないといけない壁だと思うので、この舞台にヒントがあるんじゃないかなという思いがあり、参加することを決めました」とオファーを受けた当時の心境を告白。
また、「とにかく無事に幕が開くことに、本当にほっとしていますし、このまま完走できたらいいなと思っております。感染に気を付けて頑張っていきます」と意気込みを。
先日、加藤が著書「オルタネート」で第42回吉川英治文学新人賞を受賞したことを受けて、作家役の山崎は「個人的なことですが、吉川英治文学賞受賞をありがとうございます。生みの苦しみが…」と挨拶冒頭から早々にぼけ、加藤は「違うでしょ!?それ僕です!」とすかさずつっこみ。
山崎は「今日はこれさえ言えればいいなと思っていました」と笑い、「幕を開ける以上は、観ていだいた方にエンターテインメントやライブが必要だと思っていただけるように全力で努めたいと思っています」と宣言。武田も「今は自信をもって幕が開くのを楽しみに待っています」と笑顔を見せた。
木村拓哉先輩がやったことを継承したい
27年前の「モダンボーイズ」では、加藤が演じる矢作を木村拓哉が演じていたが、横内から「加藤くんが出演するなら作家の菊谷の方がいいのではと思ったのですが、加藤くんが『いや、木村拓哉先輩がやったことを継承したい。あわよくば、木村超えを目指したい』と言って」と話すと、加藤は「そんなこと言ってないですよ!」とすかさず制止。
また、記者から「木村さんが出演していたことを聞いたときはどう思いましたか?」と聞かれると、加藤は「そこはあんまり言わないでほしいなと思いました」と苦笑い。
木村が演じていたことは、話をもらった際に聞いたそうで、「正直なところ恐れ多いと思っていたのですが、同じ役に挑戦してみたいとも思って。僕がジャニーズ事務所に入るきっかけになった先輩の1人で、ずっと憧れている先輩。こういった形で同じ役を演じることは、きっともうこの先なかなかないんじゃないかなと思い。また、僕じゃない誰かが演じたらきっと嫉妬してしまうので、ぜひやらせてくださいと言いました」とコメント。
続けて、「作家役の菊谷の方がいいのではという話もありましたが、そこは作家というところでなく、一役者としてチャレンジさせてほしいとお願いをさせていただきました」とエピソードを披露した。
木村には情報解禁で伝えるのは失礼だと思い、木村の仕事現場に出向き挨拶したそうで、「知らないと思っていたんですが、(木村が)僕を見た瞬間に、『“モダンボーイズ”やるんでしょ!?』とお話しになりまして。緊張していたんでギチギチに台本を作っていってたんですが、その瞬間に僕の台本は総崩れしました」と苦笑いしながら明かし、「(木村が)すごく温かく応援してくださって、最後には『頑張ってくれ、体に気を付けてくれ』というお言葉をいただきました」と先輩の心遣いに感謝。
また記者から横内の言葉を受けて「やるからには木村拓哉超え?」と声をかけられると、「言いません!」と即否定し、「当時の公演の映像資料を観させていただいて。当時の木村さんは21歳で演じられていましたが、とても素晴らしくて。もし先に映像資料を見ていたら、断っていたかもしれないと感じるくらい完成されていて、超えるのは不可能だと思います。なので、別の新しい人物を演じるつもりでこの役に臨まなければ、きっとこの舞台は成功しないと思ったので、稽古場では先輩のことは片隅に置かせていただいて、自分なりに取り組ませていただきました」と恐縮気味に明かした。
木村が公演を観に来るかどうかを聞かれると、「知らないけど、いらっしゃる場合は、僕に言わずにいらっしゃってほしいなと思います」と苦笑いしていた。
3年半ぶりの舞台で新国立劇場に「また一つ夢のよう」
また、自身は3年半ぶりの舞台出演になるが、「僕自身はグローブ座で演じることが多かったので、今回、お客さんとして見てきた新国立劇場に自分が立っているのはまた一つ夢のようです」としみじみ。
「オルタネート」で第42回吉川英治文学新人賞を受賞した際は稽古中だったそうで、加藤は「クラッカーと、武田さんが持ってきてくれた小さくて全然割れないくす玉でお祝いしてもらいました。それで(共演者との)関係がくだけた気がします」とニッコリ。公演中の14日には本屋大賞が発表されるが、「意識しているか?」と聞かれた加藤は「いやいやいや、そういうのは結果を待つのみですから」と謙遜していた。
最後には、「新年度になりまして、心機一転の心持ちで頑張られる方が多いと思いますが、この舞台は一歩踏み出す勇気をもらえるような物語だと思います。観た方にとってはいろんな角度で心に響く作品になったと思います」と胸を張り、締めくくっていた。