爆笑問題らが所属する芸能事務所・タイタンが2ヵ月に1度開催している恒例のお笑いライブ「タイタンライブ」が4月16日(金)、時事通信ホールで行われた。

今回もこれまで同様、「爆笑問題withタイタンシネマライブ」として、TOHOシネマズの全国の映画館22館でも同時生中継された。

今回の「タイタンライブ」は、3月に加賀が休養から復帰し、コンビでの活動を再開したかが屋が登場。また、どぶろっくが初参加。さらに、爆笑問題とはラジオでも共演するインスタントジョンソンが5年ぶりに登場するなど、多彩な顔ぶれとなった。

ライブのトップを飾ったのは、タイタン所属の若手、シティホテル3号室。“子どもの魂を食う化け物”が登場するも、その化け物が奪ったのは“子役の魂”。子役の苦労、悲哀、活躍の裏にある努力を、朗々と語る化け物に圧倒される展開。

また、ダニエルズのコントでは、“正義のヒーロージャスティス仮面”が登場。こちらはいつ呼び出されるかわからない毎日に「美容院、3回連続キャンセル」「歯医者の予約が取れない」と苦情の声をあげる。「俺がギリ行けるところに来るなよ。世界征服したいなら、アメリカ行けよ、ドイツ行けよ。俺がギリギリ行けるところに来るな!」と正義のヒーローの苦悩を放出して笑いを誘った。

じっくりとしたテンポで会場を独特の空気感で満たした漫才のキュウは、「将来的にシュークリームになりたい」という導入から、「皮膚をシュー生地、体液をすべてカスタードクリームに」という具体策を語り合う独自世界。

さらに、どんな時でも「こんちわーす」と登場の脳みそ夫は、「浦島太郎にも妹がいるっつーの」と妹の浦島花子が、兄の太郎をおじいさんにした乙姫に抗議に行く、というらしさ満開の突っ走り芸を見せた。

ワンシチュエーション劇で、観客を引き込んだかが屋

ゲストとして最初に登場したのは、かが屋。トランプの“大富豪”をする4人(もちろんあとの2人はエアー)。その中で加賀は電話の相手であるサキちゃんと話し込み、「ちょっとベランダに行ってくるわ」と席を外す。その態度に怒り出す他の2人を「あいつもええとこあるんよ」と熱弁する賀屋、舞台上には賀屋だけにも関わらず、そこにいない2人が見えてくるような展開。ベランダから戻ってくる加賀と再び大富豪をする4人の感情がはっきり浮き彫りになる終盤。かが屋ならではのワンシチュエーション劇は、観客を引き込む力は圧倒的で、笑いとともに大きな拍手も沸き起こった。

一転して、ウエストランドは迫力の掛け合い漫才。河本が井口に「楽屋で“俺の才能マジですげー”とか言ってた」と指摘すると井口が「そんなことない。僕は僕のことを“俺”とは言わない!」と“僕か俺か”論に。「僕が僕であるために僕であり続けなければならない!」と叫び上げる井口。人はどのタイミングで僕から俺にスイッチするのか、という僕・俺論一本で勝負するまっすぐな漫才は、観客の期待感と完全一致。最高の盛り上がりを見せた。

さらに、5年ぶりの出演となったインスタントジョンソンは、高速道路のサービスエリアの食堂を舞台に、律儀に「33番でお待ちのお客様~」と1ヵ月呼びかけ続ける店長のゆうぞうに、「もうあきらめてください」と嘆くスギ。そこに「33番です!」と飛び込んでくるジャイ。なぜ1ヵ月かかってしまったのかを語り始めるジャイの、“なんだこいつ感”を醸し出す口調がじわじわとツボをつき、突然のオチへのなだれ込みで不条理な世界を作り出した。

どぶろっくは、YouTubeで再生回数100万回超の「イチモツ音頭」を披露

そして、初出演のどぶろっくは、おなじみの「もしかしてだけど~♪」で姿を見せ、江口が「俺たちが犯してしまった取り返しのつかないあやまちを歌にしました。聴いてください、『やらかしちまった』」と曲紹介し、「あー、これ歯磨き粉じゃなくて、洗顔フォームだ」「あー、万歩計のスイッチ入れずに1日歩いてた」と小さなあやまちを、長渕剛風に切々と歌い上げた。

さらに、森が「盆踊りをご用意しました」と観客に振り付けをレクチャーし、浴衣姿に着替えた江口が登場。「ウマナミハルオでございます~」とあいさつし、YouTubeで再生回数100万回を超えるという「イチモツ音頭」を披露。「チョーメチョメチョメしてみませんかぁ♪」と高らかに歌い上げ、会場も謎の一体感に包まれた。

さらに、「タイタンライブ」でおなじみのBOOMERは、漫才のセンターマイクの前に。伊勢は立川談志師匠に扮した姿で登場し、途中からは河田と2人で歌を歌うという形式に。クリスタルキングの「大都会」、Sugarの「ウェディング・ベル」、シャネルズの「街角トワイライト」と、昭和歌謡のみの選曲で押し切り、観客の高年齢層を引き込む展開に。

コロナ、有吉&夏目の結婚、THE FIRST TAKE、松山英樹…旬なネタで笑わせた爆笑問題

そして大トリはもちろん爆笑問題。「また、コロナが増えてきまして、まん延防止等重点措置が…」というその日のニュースから入り、「最近一番驚いた話題というと、なんといっても、有吉と夏目三久ちゃんの結婚!」と田中が振ると「久しぶりの明るいニュース」と太田が応え、「こうなると夫婦共演が期待されますね」という田中の発言に、「(洗剤の)ジョイのCMだけは渡さない、って田中が焦っちゃって、あちこちに電話かけてました」と太田。さらに、注目のアーティスト、YOASOBIの話題から「THE FIRST TAKE」の話へ。太田は「我々がやってる漫才だってFIRST TAKE。何を偉そうに。“夜にボケる”だ」と熱弁。

また、後半に入ると話題は、ゴルフの松山英樹選手に。ゴルフがわからない人にマスターズ優勝の意味を伝えるために例えるなら、と田中が「サッカーのワールドカップで優勝、オリンピックで金メダル獲ったようなもの」と話すと、太田は「おぼんこぼんが仲良くなったようなもの」と例え、「もっとすごいんだよ、マスターズは!」と田中が間髪入れずにツッコむ。さらに「これから松山にはCMのオファーがガンガンくるだろうね」と話し、「見てみたいよね、松山の“みなさん、過払い金が返ってきます”とか」と、ボケ、笑いを呼んだ。

漫才終盤は、1年前はマスク不足で、アベノマスクが話題になったと振り返り、「菅さんもマスク配ればいい、“ガースーからマスクが来たよ、ガスマスクだ”」と、コロナ話題でのオチでエンディングとなった。

エンディングトークでは、復帰の加賀を爆笑問題がねぎらう

すべてのネタが終わったあとのエンディングトークでは、ゲストのかが屋が登場、「元気になってよかったね」と復帰した加賀を爆笑問題がねぎらうと、会場からは大きな拍手。「すごい緊張しました。まだライブも4回か5回くらいしかやってなくて、今日は古いネタの中から一番いいネタ持ってきました。楽しかったです」と加賀。

さらに、賀屋が毎回太田に対して行う本番前の楽屋挨拶が独特という話に。この日は「扉の向こうに30年ほど生き別れになったお父さんがいて、扉を開けたら太田さんに撃たれる」という設定をして楽屋に入ったものの、「設定がわかりにくい!」と太田にツッコまれたというエピソードを披露した。

爆笑問題にとっても、『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!』(テレビ朝日)などで共演するかが屋だけに、エンディングトークの短い時間だったとはいえ、2人への復帰への喜びがあふれ、会場も温かな拍手に包まれる一幕となった。