6月5日(土)24時10分よりスタートする、羽田美智子主演、オトナの土ドラ『♯コールドゲーム』。

本作は、隕石衝突の影響で地軸が大きく変動し急激に寒冷化、マイナス45℃の氷河期に覆われた地球が舞台。避難所第七支部に逃げ込んできた、前科2犯の天才詐欺師・木村祥子(羽田美智子)が、大輝(結木滉星)、陽菜(久間田琳加)、隆(やす)の偽装家族の母親として過酷な日々を戦い抜く、完全オリジナルサバイバルストーリー。

昨年の『隕石家族』に続き、オトナの土ドラ2度目の主演となる羽田美智子に、祥子の魅力(決めゼリフは「トラストミー、私を信じて」)や、ドラマの魅力について話を聞いた。

<羽田美智子 インタビュー>

――今回の木村祥子役、とても面白い役と感じられているそうですね。祥子の魅力を教えてください。

私、どこか祥子が、『遠山の金さん』みたいに思えていて。悪であり、善でもあります。やっていることはもしかしたら悪かもしれないけど、基本的には善の人だと思いますし、人情派。表現方法としては、「大丈夫?」とやさしく言うのではなく、「そんなの舐めておけば大丈夫だよ!」と言うような、きっぷのいいやさしさの人です。

また、どん底を味わった人の強さというのを、祥子から教えてもらっている気がしています。底辺を知ると人は過度な期待もしないし、自分がどう生きていこうかと考えるだけだから、すごくシンプルに物事を考えられるところも彼女の魅力だと思います。

――祥子は、前科2犯の天才詐欺師。「詐欺師役に憧れていた」とコメントされていたのは、なぜですか?

詐欺師の女性の話をニュースで見て、「この人がこんな多くの人をだます背景には、いったい何があるんだろう?」と考えたときに、詐欺師の役ってきっと面白いだろうなと感じたんです。

その詐欺師には、心の隙間を埋めるような魅力や率直さとか、絶対だますというストーリーがあっても、相手といるときには100パーセントのピュアな愛もあるのかなとか。

『ルパン三世』の峰不二子さんとか、だますとわかっていても、いつもルパンを魅了していますし、どこか憎めない。祥子も素直に生きていて、図々しくて自分の要求は通すところもありますが、とても魅力的な人。正義感があって、しかも有言実行の人だから、やっていて楽しいんです。

――今まであまり経験していない、新鮮だと思うシーンはありましたか?

私は比較的、何をやっても不器用という役のほうが多いのですが、祥子は何をやっても器用で、何でもできてしまう完璧な人です。得意げに「私、できるでしょう?」みたいな顔をしているときは、とても面白いです。

――台本を読んだ感想は?

避難所での日常は、限られた食べ物や一枚の毛布の大切さなどサバイバル状態。その中で祥子の生きることへの執着、パワーは勇気をもらえます。

去年の『隕石家族』のときは、撮影が終わった後に新型コロナ感染症が世界中に蔓延しました。台本上は奇想天外でしたが、現実的にそういうことが起きて、急に皆マスクをつけるようになったり、物の価値が変わってきたり、現実感が出てきてしまったなと思ったものです。

今回の『#コールドゲーム』では、氷河期での避難所が舞台になっていて、今も世界中で大きな台風や火事、洪水などがあって、避難所で暮らすことが結構日常化していると思うこともあります。

「あなたは、何もない状態から生き延びられるのか?」というテーマを台本からも突き付けられているような気がして、どんな状況でも寝て食べて生きる力というのが、これから本当に必要な時代が来てしまうのかもしれないと考えると、とても怖くなりました。

ちょっと今、疑似体験をしている感じもあります。1個のじゃがいもから野菜を育てる男性たちがすごいとか、自転車を漕いでエネルギーを供給したりとかね。

避難者が「缶詰じゃないお肉が食べたい」と要望したときに祥子が言った、「どこに豚や鶏がいるんです?」(第1話)というセリフがとても好きでした。人間がかろうじて生きている世界で、家畜なんてどこにいるのよと。

そして、こんなに危機的な状態に相反する人間のぬるさというか、そんな感じもリアルでおかしくもあり、いいセリフだと思いました。そういうなんてことないセリフも満載で、物語に効いてくるんです。

――偽装家族として暮らす、木村家のみなさんのことを教えてください。

実は、隆さん(やす)、大輝(結木滉星)、陽菜(久間田琳加)…みんな大人で、結構一人の世界を持っているような感じがします。

でも木村家って、ギャーギャー騒ぐシーンが多くて、撮影が進むにつれて、みんなが心の扉を開いていき、今は気づくといつも4人で固まっていて、ちゃんと家族になった気がします。

――羽田さんがいない日は、「お母さんいないね」と、みなさん寂しくなってしまうそうです。

うれしいです。家族の定義も考えさせられますよね、「血のつながりって何だろう」とか。祥子には、血のつながりのある息子がいますが、その息子は育ててくれた人を「お母さん」って言うんです。

「人の根源って、何?」ということもこのドラマはえぐっている気がします。木村家は偽装家族ですが、一緒にいる間にみんなの情が移り合って、ドラマとしても、私たち役者としても、ストーリーが並行している感じがします。

――やすさんが、「ドラマ経験の少ない僕に恥をかかせないよう、さりげなくレクチャーしてくれる」と感謝していました。


やすさん、なんか可愛くて。「どうやって泣けばいいんですか?初めてなんですよ、泣けるかな」って聞いて来られたので、「今から家族のシーンのときにたくさん妄想でドラマを作っておくといいですよ」と言ったら、「今、聞いていたら泣けてきました」って(笑)。

あんなに素直な大人っているんだなって思いました。可愛らしくて、ついお節介を焼きたくなるようなタイプの方です。

――祥子は息子に会うことが生きる目標ですが、羽田さんのパワーの源、生きるエネルギーになっているものは?

自分を笑顔にすることと、誰か1人でもいいから、出会った人が笑顔になったらそれだけでいいのかも。それが私の指針なのかもしれないです。究極は愛なんじゃないでしょうか。

――それでは最後に、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。

設定は奇想天外のドラマですが、未来の私たちに警鐘を鳴らすようなテーマがあると思います。人間が極限までいったときに、今の社会情勢とオーバーラップして考えたり、この小さい避難所が独立国家になろうともしていて、人間のおぞましさも描かれています。

普遍的な人間の持つ善や悪が、非常時にはひっくり返ることもあり、このドラマは逆さメガネだと思います。

いろんなからくりがふんだんに入っていて、最後に解き明かされるという、とてもチャレンジングなドラマです。完全オリジナル作品で、ホームドラマでもSFでもない、カテゴライズできない魅力がたくさん詰まっています。絶対に面白いから、トラストミー、私を信じて、このドラマを見て!

<第1話あらすじ>

西暦20××年。隕石落下の影響で地軸が大きく変動し、マイナス45℃の氷河期に突入した地球。

ここ避難所第七支部では、生存者たちが限りある食糧や資源を分け合いながら共同生活を送っていた。

前科二犯の天才詐欺師・祥子(羽田美智子)、息子の大輝(結木滉星)、娘の陽菜(久間田琳加)、夫の隆(やす)たち“木村家”は、支部長の如月(中村俊介)の考えで、“家族優先”が徹底されているこの避難所で、ある秘密を抱えて日々を過ごしていた…。