6月5日(土)、映画「はるヲうるひと」公開記念舞台挨拶が行われ、メガホンを取った佐藤二朗、山田孝之、仲里依紗、坂井真紀が登壇した。
本作で佐藤は、原作・脚本・監督を手がけ、出演もしている。自らが主宰する演劇ユニット「ちからわざ」で2009年に初演、2014年に再演し、演劇界からも絶賛された本作を、約5年をかけて待望の映画化にこぎ着けた。
物語の舞台は、至るところに置屋が点在する架空の島。その中の、ある置屋に「三兄妹」がいた。凶暴凶悪な性格で恐れられている長男(佐藤)、そんな兄に子分のように従っている次男(山田)、長年の持病を患い床に伏している長女(仲)。生きる手触りが掴めず、死んだように生きる男女が、それでも生き抜こうともがく壮絶な闘いが描かれている。
イベント冒頭の挨拶では、山田が「ありがとうございます。あとは『るろうに剣心』を観に行ってください」と、昨日公開された映画「るろうに剣心」にかけてボケ、会場の笑いを誘った。
佐藤は「おい、なんてこと言うんだい!」とツッコむが、山田が「映画は、すべて仲間ですから」と笑顔で返すと、佐藤は「そうだけど…」と苦笑い。
企画から5年を経ての公開に、佐藤は「コロナで1年以上延びて、その間に韓国の江陵国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞できたので、前向きに捉えております。まさか俳優としてもらった賞が『NG大賞』だけの僕が、映画大国の韓国で受賞できたのは、書くことを続けてきて良かったと励みになれました」と、真剣に喜びを語ったが…
「ははっ!俺すごい真面目(笑)!」と自虐気味に大笑いし、会場を和ませた。以前行われた本作の会見前に、妻から「作品の内容を鑑みて真面目にやれ」と言われたそうで「ふざけたくなったら、つねってオナラをしないと決めてきてる(笑)」と、この日のマイルールを暴露。
山田は、自身が演じた得太役について、2014年の再演以降「誰にも触れられずにふわふわと宙を待ってたような状態です」と、独特の表現で語った。
また、「得太はずっと1人でかわいそうだなっと思っていたので、大勢の人が見てくれて得太のことを知ってくてれ、気持ちが楽になれたんじゃないかな。重荷が取れたというか、スッと抜けた気がして、すごくうれしいです」と役に思いを馳せて、安堵の表情を見せた。
この山田の言葉を受けて、佐藤はクライマックスシーンでの撮影エピソードを披露。「孝之は、カメラが回ってないところでも(役に入り込んで)1日中ずっと泣いてて、誰も近づけなくて。死ぬほどつらいと思うんですけど。それしか方法が思いつかなかったんだと思う」と回顧。
また佐藤は、最優秀脚本賞受賞が決まった際、山田に報告メールをしたそう。すると「『それは僕もうれしいですね』ってくれて。絶対うれしがってくれてるだろうなって思った」と目を細めた。
また、仲は撮影を振り返って、「いつも私は『よーい、はい』って声がかからないとできないタイプで、それ以外はなるべく自分自身でいたいんですよ。でも、そうもいかない感じだったんです。いつも(気持ちを)切り替えずにヘラヘラしちゃう私でも、結構(精神的に)きました」と、大変な撮影現場だったことを明かした。
そして坂井は「私もなんだかんだ、二朗さんとお付き合い長いですね。そんな佐藤二朗監督の作品に出られることがうれしい。監督の思いを受け止めました。おめでとうございます」と優しい声でニッコリ。
佐藤と坂井は親交が深く、何度か飲みに行ったこともあるそう。佐藤が、坂井を「本当は毒舌だよね」とイジると、坂井は「なんでそれ言うの!毒舌じゃなくて素直!」とお茶目に笑い、和やかなムードに。
最後に、山田は「作品に出てくる人たちはとても孤独。そのことを感じてあげることで、少しでも救われるんじゃないかな」とコメントし、佐藤は「間違いなく、みんな本気でやった。簡単に登れない山を、必死に登り詰めるように作った作品」と、作品への思いをアツく語った。
イベントの様子は動画でも!
最新情報は、映画「はるヲうるひと」公式サイトまで
©️2020「はるヲうるひと」製作委員会