羽田美智子主演、フジテレビ系のオトナの土ドラ『#コールドゲーム』は、隕石の衝突により氷河期に突入した地球を舞台に、どんな手段を使ってでも生き抜こうとする前科2犯の詐欺師・木村祥子(羽田)と、その“偽装家族”が繰り広げるサバイバルストーリー。
祥子たち生存者が身を寄せる避難所・第七支部の支部長で、元国会議員の如月雄一郎を演じているのが中村俊介。如月は、氷河期以前から人当たりがよく、クリーンな政治家で売っていた。第七支部でも変わらぬ人気ぶりで、避難所の運営を任されている。実は、祥子とは少なからず因縁があるのだが、その事実を知る人は少ない。
そのスローガンは“愛をモットーに生き抜こう”。そして、「第七支部は家族を大事にします」と宣言する如月だが、そこにはある腹黒い計算が…。
「なかなかぶっ飛んだ設定が多いので、これからどんどんとんでもない方向に行きますよ」といたずらっぽく笑う中村に、作品の魅力、役柄について、俳優としてのスタンスなどを聞いた。
<中村俊介インタビュー>
──隕石が地球に衝突するまでを描いた同枠の『隕石家族』(2020年4月期)に続き、衝突後がテーマとなる今作をオファーされた時はどう思われましたか?
小さな隕石は、いたるところに落ちているじゃないですか。でも、そんなもんじゃないというくらいの巨大な隕石が来るわけですよね。ちょっと現実離れしていると思う一方で、ないことではないな、という思いもありました。
最近、日本だけでなく地球規模でいろいろな事が起こっているので、危機的状況について考えないといけない時期が来ているのかなと感じました。
──「地球が滅亡したらどうしよう」と考えたりしましたか?
地球が滅亡するということに対してはピンとこないんですけど、『隕石家族』が描く世界では、わりと出歩けたりしたんですよ。(登場人物たちが)居酒屋で大騒ぎすることもできました(笑)。
でも、今作は閉ざされた世界。氷に覆われた避難所だけで起こる物語なので、まだ前作の方が救いはあったかもしれませんね。物資もなければ、食料も何から何まで手に入れづらい状態ですから。
──今作で演じる避難所の支部長・如月雄一郎は、どういう人物像ですか?
だれからも愛されて、歩いているだけでキャーキャーと歓声が上がるほどの人気があって、頼りがいがありそうな男なのですが、それは初めだけ。話が進むにつれ、とんでもなく腹黒い面が明かされていきます。
だから、最初は優雅で頼もしい人物に映ると思いますが、ふと、「あれ?コーヒー飲んでいるのは、そういえば如月だけ」「暖かい部屋にいるのも、如月だけ」「そんないい洋服を着ているのも、如月だけ」という感じで、気づくと「あれ、あれ??」というところがたくさん出てくるんです。
──羽田さん演じる祥子をはじめ、登場人物それぞれが秘密を抱えています。如月も一癖二癖ありそうです。
如月は、自分は日本のリーダーになるべき人間だと思っています。最初は、「この人に任せておけば間違いないだろう」と思わせますが、実は、“この人に国を任せたら絶対ダメ”という人物(笑)。
そもそも自分だけがよければいいという人間なので、過去にもいろいろと悪いことをしています。どんな手を使ってでも、上へ上へと行きたいと思っている男なんです。
──『浅見光彦シリーズ』に代表されるように、正義漢を演じるイメージが強い中村さんですが、最近はヒール役も演じています。如月も悪ですが、そういった役を演じることにおもしろさを感じますか?
浅見光彦を演じていた時は、あまりイメージを壊さないようにと考えたりしましたが、今はお話をいただいたら何でも挑戦したいと思っています。
悪役からコメディまで、「中村俊介にやってほしい」と言っていただけたら、それに応えられるようにやっていきたいと思っています。
──バラエティ『アウト×デラックス』(フジテレビ)に出演されたことでの影響はありましたか?
決して、自分のイメージを壊すために出演したわけではないんですよ。“アウト(=世間の常識から逸脱している)”な人が出る番組ということだったので、番組を盛り上げようと少し色を足したら、大変なことになっちゃって(笑)。
僕自身、明るい性格なので、楽しくやれるのが一番いいと思っています。楽しい雰囲気で、みんなで一丸となって作品を作り上げていきたいので、なるべくキャストやスタッフさんに喜んでいただけるような現場作りをしているつもりです。
──前科2犯の詐欺師役を演じている羽田さんをご覧になった感想を教えてください。
穏やかでほんわかした雰囲気の羽田さんが、詐欺師役なんて驚きますよね。しかも、如月と祥子は過去に因縁があります。避難所でばったり再会した2人は、過去に何があったのか。これからどうなっていくのかは見どころの1つです。
のちのち危険な目にも遭ったりして、話が進むほど盛り上がっていくので、ぜひ楽しみにしてください。
──厚着をしての収録は大変だったようですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?
『隕石家族』でお世話になったスタッフも多くて、とてもいい雰囲気でした。如月は支部長で、祥子たちが生活しているエリアとは違う場所にいるので、なかなか木村家と絡むことがない分、みんなと会えるシーンは毎回楽しみにしていました。
羽田さんはじめ、長男・大輝役の結木滉星さん、長女・陽菜役の久間田琳加さん、夫・隆役のやす(ずん)さんたち木村家はすごく仲がよくて、いつも固まってお話をしていて、僕たちが入っていけないくらい(笑)。それくらい結束が固くて楽しそうでした。
──ところで、もし地球が氷河期になたとしたら、中村さんは生き残れる自信はありますか?
僕は、実家が群馬県草津で雪国なのですが、それでも最低でマイナス10℃くらい。マイナス45℃は、想像もつかないですね。
ただ、家も食料もあるなら何とかなるかもしれないかな。でも、マイナス45℃とかになったら電気やガス、水道などライフラインが使えなくなってしまうし…。やっぱり、みんなで助け合ってなんとかしていかないと生き残れないんじゃないでしょうか。人と人とのつながりや信頼関係が大事になると思います。
──マイナス45℃の世界を生き抜くために、何か1つ持って行かれるとしたら何を持っていきますか?
そもそも僕は、サバイバル番組とかディスカバリーチャンネルが大好きでよく見ているんです。過酷な自然の中で生き残るには、何が一番大事か。とにかく“火”が大事。火があればお湯も沸かせるし、料理もできるし、暖も取れる。雪を溶かすのも火が必要ですよね。
だから、1つだけ持って行かれるとしたら、ライターとか火打ち石、ファイヤースターターなど、火が起こせるものを選びますね。
──最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。
氷河期を生き残るために、祥子たちが結託して偽装家族になるのですが、なぜ偽装家族になったのか。そもそも祥子は、なぜ詐欺師になったのか。だれからも愛されていそうな如月が、今後どうなっていくのか。閉ざされた世界でどんな奇想天外な物語が巻き起こるのか。
明日も見えない極限状態で生きていく中で、助け合ったり、信じたり、裏切られたりといろいろなドラマが描かれ、どんでん返しもあります。見どころだらけのドラマなので、どうぞ楽しんでください。
僕としては、来年はぜひ『灼熱家族』を作ってほしいですね(笑)。すべてが燃えさかっている東京で、人はどうやって生きていくのか──。お楽しみに!(笑)
撮影:今井裕治
スタイリスト:浅井秀規 ヘアメイク:松本恵