アイドルやアニメ、VTuberなど幅広いジャンルに楽曲を提供するうえで、ジャンルごとの意識の違いはあるのでしょうか?さらに、小池さんが見据える、2027年の音楽のムーブメントを聞きました。
Z世代のヒットメーカー・小池竜暉が予想する2027年
――Z世代、デジタルネイティブ世代として、最前線でやっているという感覚はありますか?
ありがたいことに最近、Billboard JAPANの「Hot 100 Composers(作曲家チャート)」でとんでもない方々の中に並ばせてもらっていて。僕の力ではなく、提供先のみなさんがいるからこそのお仕事なんですけれど、そういうのを見ると「すごいところにいるのかもしれない」という実感が湧きます。
ただ、まだまだ音楽的にも人間的にも深くなっていかなければと日々思っているので、作家の先輩方の背中を見ながら勉強して頑張っています。
――アイドルだけでなく、VTuberやアニメなど、多彩な楽曲を提供していますが、ジャンルが違うことで意識が切り替わることなどはありますか?
僕は、VTuberオタクでもあるんです。『SUPERNOVA』を提供させていただいたVTuber・白上フブキさんに関しては、もともと配信を見ていたという経緯もあり、「好き」がそのまま仕事に直結しました。
VTuberさんに曲を作るときは、その素敵な声に魅了されている方も多いので、声を最大限生かすメロディ作りを意識しています。作詞・作曲・編曲まで全部僕がやらせていただくことが多く、好きだからこそ、VTuberさんの歴史をすべて詰め込んだ楽曲が書けたりもします。
アニメ系になると、原作を意識しつつ、ドラマのタイアップに近い曲作りになります。参照する情報に忠実に作っていきますが、VTuberさんの場合は、ご本人とミーティングをしながら作ることが多いですね。
――そこはメッセージのやり取りではなく、リアルに顔を合わせて制作するんですね。
そうなんです(笑)。VTuberさんの場合、ご本人が「こんなアルバムを作りたくて、小池さんにはこんな曲をお願いしたい」というオーダーが多いので、しっかりとミーティングをします。例えば、どれくらいコールが欲しいか、ファンのみなさんとどれくらい声を出し合いたいか、テンポはどうか、といったことを相談させてもらいながら作っていきます。
――これだけ多忙だと、インプットの時間を取るのも難しいのでは?
ここ2、3年は常に締め切りに追われながら制作していたので、インプットが難しいですね。1日に何百曲と聴く中でも、もっと深く、各楽器を分けて聴かないといけないなと思っています。
ソロアルバム『CIPHER』を出したことで、まだまだ力不足なところも感じたので、昔みたいに、アイドルの現場に自ら足を運んでチェキを撮りに行ったり、VTuberさんのライブに行ったり、自分の体で音楽を浴びたり、小説をもっと読んだり。そういうことをもっとしないとなと。自分を見つめ直す機会にもなりました。
――最後に、2027年に来ると思う音楽界のムーブメントを教えてください。
考えれば考えるほど難しいですね…。2027年は、 “かわいい”がどれだけ残るのか、アイドルソングをたくさん書いている身としては気になっています。僕の推測では、かわいいにもいろいろ種類があるので、また違った種類のかわいいになっていくと思います。
暗いニュースも多く、人々の考えも混沌としている気がするので、どちらに転ぶかはわからないんですけれど、ダーティな曲が席巻するかもしれない。
と思いきや、逆に、Mrs. GREEN APPLEさんのような開けたポップさ――あれは本当にミセスさんぐらいしかやれないと思うんですけれど――底抜けに明るい曲たちが出てくるのかなとも思います。すごくワクワクしていますが、楽曲提供をさせていただいている身なので、時代を先読みしていかないとなと思っています。
撮影:河井彩美
