『うちの弁護士は手がかかる』第7話完全版
蔵前勉(ムロツヨシ)は、仕事だけでなくプライベートも充実させたいと思い、漫談教室に通い始める。
一方、天野杏(平手友梨奈)は、仕事の依頼がなくヒマだと所長・香澄今日子(戸田恵子)に訴えていた。
するとそこに、野村聖子(安藤聖)という女性が訪ねてくる。
聖子の依頼は、女優・笠原梨乃(吉瀬美智子)が主演している連続ドラマの放送を止めてほしい、というものだった。
20年前、「成金老人殺人事件」と呼ばれた事件があった。資産家老人の愛人だった女子大生が遺産目当てに老人を毒殺したとされ、連日ワイドーショーを騒がせていたこの事件。その女子大生こそ聖子だったのだ。
聖子は事件直後から散々マスコミに追い回されたが、世間が飽きてくると次第に扱いも小さくなり、真犯人が逮捕されたときは大して報道もされなかったという。
それ故、聖子は世間から殺人犯だと勘違いされたまま何年も偏見の目にさらされていた。ようやく何も言われなくなったと思った矢先、成金老人殺人事件とそっくりな内容で、しかも女子大生が犯人というドラマが放送されたのだ。
聖子は、放送しているヤマトテレビに抗議をしたがまともに取り合ってもらえなかったという。しかし、このドラマのせいで小学生の娘まで「人殺しの娘」と呼ばれてしまったことに心を痛めた聖子は、杏がヤマトテレビと裁判で戦った経験があると知って助けを求めに来たのだった。
次の放送まであと5日。依頼を引き受けた杏は、過去の記事などを調べ始める。
そこで杏は、マスコミの報道を信じた被害者遺族が聖子に対して損害賠償請求訴訟を起こそうとした際、それを止めたのが杏の父・天野昌幸だったことを知る。
実家に戻った杏は、父が残した当時の資料を見つけた。だがそれに気づいた杏の姉・天野さくら(江口のりこ)は、「あなたにはその資料を使う権利はない」と言い放ち、杏を追い返す。
同じころ蔵前は、ヤマトテレビのドラマプロデューサー・静川薫(東根作寿英)を訪ねていた。
そこで蔵前は久しぶりに梨乃と再会。梨乃は蔵前に次回の台本を差し出すと、このドラマは蔵前が最後にとってきてくれた仕事だから代表作になるよう全力で演じている、と告げた。
事務所に戻った蔵前は、弁護士の辻井玲子(村川絵梨)や山崎慶太(松尾諭)らと事件とドラマの類似性や、証明することの難しさについて話す。
それを聞いて、蔵前が真剣にやっていないと怒りだす杏。「あなたの代わりなんて、いくらでもいますから」と杏から言われた蔵前は反発し、部屋を出て行ってしまった。
その結果、杏は丸屋泰造(酒向芳)をパラリーガルに指名し、蔵前は辻井と組むことになる。
ヤマトテレビを訪れた杏は、さくらの部下である弁護士・大神楓(菅野莉央)や静川らと対峙。だが、ヤマトテレビ側は、ドラマはフィクションであることをうたっており、ドラマを見て犯人と聖子を同一視する人はいないと主張する。
蔵前は、辻井とともにクライアントの三谷絹代(草村礼子)に会っていた。絹代の訴えは騒音トラブルだったが、その原因は幽霊だという。それを聞いた辻井は、蔵前にあとを任せて退席。
疲れ果てた丸屋に代わって杏のパラリーガルを務めることになった岩渕亮平(日向亘)は、視聴者のうちどの程度が事件を連想したか調べたい、と言い出した杏に、リサーチ会社を利用するほか、SNSでドラマファンの意見を見てみてはどうかと助言する。
それは、蔵前のアイデアだった。
丸屋たちは、杏との関係を修復させるため、蔵前を飲みに誘う。だが蔵前は、杏のほうから謝ってくるまで許さない、と頑なだった。
すると、絹代から緊急の電話が入る。
蔵前が絹代のアパートに駆けつけると、彼女は部屋の隅で震えていた。
落ち着かせるためにお茶を用意しようとした蔵前は、絹代の部屋に怪しげな健康食品や壺などが多数あることに気づく。
落ち着きを取り戻した絹代は、蔵前が元芸能マネージャーだと知ると古い芸能スキャンダルの話を始め、本棚にあったゴシップ誌を取り出した。
その雑誌に、成金老人殺人事件のルポ小説が載っていることを知った蔵前は、それを借りて帰る。
事務所でルポ小説について調べていて夜を明かした蔵前は、やってきた辻井に、絹代が霊感商法詐欺に遭っていることを伝える。
絹代が住んでいるアパートの付近では再開発が進んでいることもあり、幽霊騒動も土地を安く買い叩くために悪徳業者が仕組んだ可能性があった。
すると辻井は、この案件の資料集めは岩渕に頼むと言い、「蔵前さんには他にやりたいことがあるんじゃないですか?」と、蔵前をクビにする。
杏は、再度ヤマトテレビを訪れ、視聴者の意見をリサーチした資料を提示。だが楓は、今回の件は問題ないとする、高名な法律家たちの意見をまとめていた。
帰り道、杏は落ち込んでいる聖子に、放送されてた後でも精神的苦痛に対する慰謝料を請求することが出来る、と告げる。だが聖子は、争いたくないと訴え、「先生に頼んだ私がバカでした」と言い残して去って行っていった。
事務所の屋上にいた蔵前は、やってきた杏に許しを請う。そんな蔵前に、小さな声で謝る杏。
再びタッグを組むことになった蔵前と杏は、すぐさま資料集めに取り組む。そして杏は、蔵前とともに聖子に会いに行った。
聖子が何を望んでいたのかを理解した杏は、一緒に戦ってほしいと聖子に申し出て…。
ヤマトテレビを訪れた蔵前と杏は、ドラマの台本とルポ小説の内容が酷似していることを指摘し、ヤマトテレビを著作権法違反で訴えると告げる。ルポ小説の中には、実際の事件と異なる創作部分がいくつもあったが、それがそのままドラマに使われていたのだ。
そして蔵前は、脚本家の家にそのルポ小説があることも突き止めていた。小説の作者から送られてきた放送の中止を求める内容のメールを見せられた楓は、ドラマの放送を差し止める代わりに、今回の件に関する情報を口外しないという条件で合意するしかなく…。
ドラマの放送は差し止められ、その代わりに撮影の裏側を語る梨乃のトークショーが放送された。
杏は「今回の件は、多少助かったかもしれません」と小さな声で蔵前に礼を言う。
蔵前が帰宅しようとすると、事務所が入っているビルの前で梨乃が待っていた。梨乃は「やっぱり私にはあなたが必要なの。戻ってきてほしい」と蔵前に告げ…。