触って遊びながら、平成時代にタイムスリップしたような感覚を覚える『平成恋愛展』。
展覧会における分類では『中期』にあたる30代の増田さんですが、自身が経験していない初期や後期の文化は、どのように吸い上げていったのでしょうか。
“字”に時代の変化が現れる!「平成を憑依させながら…」
増田さん:
当時、恋愛をしていた人や青春時代を過ごした人にインタビューをしたり、実際に持っていたものを見せてもらったりしました。
恋愛となると、気持ち的に深い部分があるじゃないですか。なので、街中でオープンに聞くというよりかは、自分たちの身近な人を伝って、当時の恋愛エピソードも含めてかなり深くインタビューしました。
増田さん:
あとは、当時の雑誌やドラマ、映画を見ると、憧れていた恋愛の世界観が出てきて分かりやすかったです。そういった作品も見ながら、みんなで必死に平成30年を“インストール”して展示を作っていきました。
そんな没入感を意識して作られた展覧会には、約3000点もの“平成恋愛”アイテムが大集結!ほとんどが本物だそうで、中には、実際にインタビューした人から集めた“ガチアイテム”もあるといいます。
増田さん:
手紙とかは、当時の筆跡を書き分けて作り上げているのですが、字に時代が出ていましたね(笑)。初期だと、コミュニケーション手段が手紙しかないので結構ストレートで。中期や後期になると、ガラケーやスマホでやり取りしながらの手紙になるので、時代によって筆跡、話している内容やトーン感も全然違います。
そういった時代による、細かい表現の違いは、チームメンバー皆で自分の中に“平成を憑依”させながら作り上げたといいます。
増田周平さん:
本当に自分が恋愛をしているかのように、皆人格が変わっていましたね(笑)。でも、そこまで入り込まないと作れなかったと思います。なので、その時代を生きていた人の恋模様や感情が、体感できるようになっています。
平成にタイムスリップしたような感覚に陥る展示品の数々。忠実にやり取りが再現されているからこそ、その時の感情を見て取ることができます。そんな無数のアイテムの中から、訪れた人たちが「テンションが上がっているな」と増田さん自身が驚いた、あるアイテムについて教えてくれました。
増田さん:
「法政二高」バッグというスクールバッグがありまして。当時“めっちゃイケてるアイテム”だったらしく、このスクバを手にしていることが一種のステータスみたいな感じだったそうです。その年代の方が来てくださると、みなさんテンションがすごく上がっていて。その様子を見て、こちらも「え、本当だったんだ」という発見もあって面白いです。
「恋愛ってこんなに自由だったんだ」平成30年から見た令和との違い
大きく『ポケベル』『ガラケー』『スマホ』と、コミュニケーション手段が変化した平成の30年間。その変化をダイナミックに感じ取ってもらうために、『初期・中期・後期』と、時代をたどる並びにしたそうですが、そこに“恋愛”というフィルターを通すことで、不変性もみえてきたそうです。
増田さん:
伝えたい思いや、伝えられないもどかしさなど、恋愛って変わらない部分もすごく多いなと思いました。コミュニケーションツールがダイナミックな変化を遂げていく中で、変わっていったものと変わらないものを感じ取ってもらえる展示の構成にしています。
増田さん:
今回は恋愛がテーマなので、その思いをどのように伝えるのか苦悩しているところは、どうしても変わらないんだなと思いました。どの時代も、思いを伝えたいという根っこの気持ちは一緒なのですが、時代によって抱えている悩みに違いが出ていたのは、面白いですよね。
そんな、平成30年を頭の中に“インストール”し、どの時代にも共通している恋愛への苦悩が見えたという増田さんに、令和との違いはどんなところにあるのか伺ってみることに。
増田さん:
初期や中期を見ると「恋愛ってこんなに自由だったんだ」とは思いました。とにかく、ストレートに自分からいくしか伝える方法がなかったので、逆に動きやすいんですかね。
一方、現代は ふんわりと匂わせることができたり、駆け引きができたりと手段が無数に。手法が多くなりすぎてしまったからこそ、逆に難しくなっているのではないかと話します。
増田さん:
改めて恋愛って、思いを伝えるというところが根っこにあると思うので、皆さんも平成を心に宿してみるといいんじゃないかなと思います。僕たちも作っていく中で平成をインストールしたら、めっちゃギャルマインドで思いをストレートに伝えられたので(笑)。
平成を見ると「あ、そうか、人間これでもいいんだな」と、ダサく恋愛してもいいんだなとか、逆にこのくらいダサくなれるとかっこいいという気持ちになると思います。
幅広い世代の人をとりこにし、話題沸騰中の『平成恋愛展』。
キャピキャピ楽しんだり、懐かしさの余り「うぐっ…。」と心に刺さったり。人気を集めた要因にも迫りました。
