<完成披露試写会リポート>
――仲島さんは、本作が俳優デビュー作となります。
仲島:こういった場所に立つのが初めてなので、今は緊張でいっぱいです。素晴らしい監督のみなさんのもと、デビューを飾れて本当に恵まれているなと思いますし、こういう形でみなさんに見ていただけて、すごくうれしいです。
『転校生ナノ』は、私が演じさせていただいた転校生のナノが学園や教師の嘘や秘密にどんどん迫っていって、それを明かしていくというミステリー・スリラードラマです。監督ごとに、話の作り方や映像のテイスト、音楽など雰囲気が異なっているのが見どころになっています。
堤:私の回は、タイ版をトレースしたストーリー。もともとの作品が素晴らしいので、私も大船に乗ったつもりでやりましたけど、仲島さんのお顔が見られる第1話目ですから。そこをまず一番見てほしいなと。それに加えて、社会性があるシリーズなので『あなたの周り、どこにでもあるお話ですよ』という、どこか怖い部分もあるストーリー。『世にも奇妙な物語』を彷彿とさせるものになっているんじゃないかなと思います。
ユ:斬新なジャンルに挑戦したいという欲が出てきたところもあり、第3話、第5話ともにホラー映画を観るような観点を加味したらどうだろうと。ぜひ、そこに注目していただきたいです。今回、初めて日本で撮影を行いましたが、大変なことはまったくありませんでした。ただ意外だったことがひとつだけあり、それはお弁当がとてもおいしかったこと。韓国では、撮影現場の近くにある食堂で食べることが多いので、毎回用意してもらえるお弁当が力になって、撮影を頑張れたように思います。
畑中:第6話は、恋愛を描いた回なので、ほかの話では見られない、いろいろな表情のナノが見られるのが見どころです。唯一の恋愛回ですけど、有彩さんが脚本をすごく理解してくださっていて、タクト(西山蓮都)の芝居(の意図)を汲み取りながら、一緒に作っていけました。
仲島:脚本をいただいたときは、第6話だけテイストが違ったので、どう演じればいいのかとすごく不安がありましたが、現場で畑中監督がたくさんコミュニケーションをとってくださったおかげで安心して撮影に臨むことができました。
堤:とてもキュートな、ラブを感じる話でよかったですよね。
熊切:episode2.「ソーシャル・ラブ」は、日本の現代的なテーマを扱っているので、それをいかに映像的に、ポップに仕上げられるかというところで勝負しました。episode4.「正しいのは私」は、ドラマ作品ではありますが映画的に、静謐(せいひつ)なフィルムノワール調で仕上げたので、じっくりと味わっていただけたらと思います。
――ナノ役を演じるにあたって、苦労した点はありますか?
仲島:ナノは、弱みや迷いを見せないキャラクター。私たち人間は、常に悩みを抱えながら生きていくものなので、そういった意味ではちょっと浮世離れした存在なのかなと。すべて完璧じゃないといけないと思ったところもあったので、そこが難しいところでした。1話ごとにナノをとり巻く人たちが変わるなかでも、どこか一貫性を持って演じられるように意識しました。
――(各監督に)仲島さんを一言で例えるなら?
堤監督の回答「選ばれた人」
堤:こういうドラマの主役に選ばれるというのは、プロが見れば一瞬でわかるものがあったんじゃないかなと思うんですね。それも才能であって、能力なんだろうなと。演技の修行をほとんどしたことがないというなかでも、今回ほぼミスなく演じてくれた。やっぱりそれは“選ばれた人”なんだろうなと思いました。
仲島:今、ミスなくっておっしゃっていただきましたけど、失敗も正直たくさんありました。でも、そう言っていただけてすごくうれしいです。
ユ監督の回答「静かなカリスマ」
ユ:ロングで撮影するシーンを何度か繰り返したときに、瞬きすらせずに毎回同じ芝居を見せてくれたことがありました。僕はもちろん、スタッフからも驚きの声があがったくらい、毎回『ナノだな』と思う姿を見せてくれました。
仲島:瞬きをしないとか、目線については撮影前から意識していたことです。タイ版のナノを見たときに、彼女の目線がすごく印象的で「私も、絶対にこういうふうに演じる」と決めていました。
ユ:弓道のシーンも美しかったです。弓道に関しては、練習してもらえる時間が少なかったものの、もともと弓道がうまい人のように演じてくださったので、その表現力がすごいなと。
仲島:本来、習得するのには時間がかかるものですが、なんとか頑張りました。実は一度、矢が照明器具にあたってしまうハプニングもありました(笑)。
畑中監督の回答「アメーバ」
畑中:私が手がけた第6話には、純粋なナノが登場します。相手の心の映し鏡のような感じで表現するナノなんですけど、その受け答えの仕方がアメーバみたいだなと。
堤:ナノって、実際は存在しないんじゃないかと思っていたんですよ。人々が見る幻想の一種なのかなと。だって、毎回転校しているんですよ(笑)。たしかに、人の心の闇を映すような映し鏡的な存在なんですよね。
熊切監督の回答「浮世離れした人」
熊切:普段の仕草から、地上から10cm宙に浮いている感じがあったんですよね。
仲島:浮いてないですよ?地に足をつけて頑張りました(笑)。
――各監督から受けたアドバイス&印象は?
堤監督からのアドバイス「目線」
仲島:撮影の前にお会いした際に、「ナノは目が合っているようで合っていない」とアドバイスをいただいたので、どうやったらそういう目線を作れるのかなといろいろ考えました。堤監督からは、目ではなく本心というか、心で話しかける感じというように教えていただきました。
堤:そんないい言葉だったかな(笑)。手前をちょっと見るといいよ、というようなことを言った気がします。
熊切監督からのアドバイス「ギャップ」
仲島:「ソーシャル・ラブ」の読み合わせがあったときに、最初はキャピキャピした女の子だけど、後半は全然違うナノを見せてほしいと。そのギャップを大きくつけてほしいと言われたことが印象的でした。
ユ監督には…「よーい、カッ!」の印象が
仲島:普段は、やさしくてナチュラルな声なんですけど、スタートとカットのかけ声になると「カッ!」と男気あふれる声に変わるのが印象に残っています。
ユ:映画の勉強をしたときに、先輩方から「現場で『カット』が言えるのは監督だけ。できるだけかっこよく大きくやりなさい。そうすると、役者もスタッフも現場を楽しめる」と教わったので、一番強くインパクトがあるように言うようにしています。
仲島:(実際に再現してくれたユ監督に)これです!これを聞くと、一気に気合いが入るんです。
堤:僕は、だいたいちょっと離れたベースにモニターを置いているので、移動の手間を考えてマイクを使ってスタートとカットを言うようなシステムを作っているんですけど、もしかしたら「近くで言ってよ」と思われているかもしれない。
仲島:演技が終わったあと、「OK」とだけ言われることが多かったので「本当に大丈夫かな」と思ったりしました。声が低いOKだと、余計に気にしちゃって。
堤:「OK」は「OK」ですよ。まあ、何割かのOKか、100のOKかは声のトーンで判断してもらえれば(笑)。
畑中監督のアドバイスは「感情」
仲島:感情が一番あらわに出る回だったので、現場で随時コミュニケーションをとってくださったのが印象的でした。
畑中:ナノの軸がちょっとぶれたり、戻ったりする回なので、シーンごとにどこまで見せて、どこまで見せないか。それを計算してやらなきゃいけなかったので、相談しつつ進めていった記憶があります。
――ナノの「不敵な笑み」が印象的な作品です。
堤:映画『シャイニング』に出てくる、不敵な笑みに近いものがあるなと。でも、わかりやすいホラーにしてはダメだし、ちょっと考えさせながら次につなげるものしなくてはいけないところがありました。でも、「こうしてください」と言わせることなく、この笑みが作れる仲島さんがすごいなと改めて思いました。
ユ:世の中で一番怖い顔は、笑う顔だと思うんです。夜歩いているときに、笑っている人が通り過ぎる場面って、怖くないですか?その感覚になるような表情を見せてほしいと思っていたのですが、それをうまく汲み取ってくださいました。
仲島:細かい指導はなかったので、タイ版を参考にしたり、鏡を見ながら自分で研究して作りました。
畑中:私の手がけた第6話には、この不敵な笑みが出てこないんですよ。でも、映像を見てすごく印象的だなと思いました。
――タイ版シリーズのエグゼクティブ・プロデューサー兼チーフ・コンテンツ・オフィサーのエカチャイさんからのメッセージも
エカチャイ:あるキャラクターは簡単に説明できます。しかし、ナノはそうではありません。彼女は神秘性と予測不能さによって定義される存在であり、簡単に言葉で捉えることはできません。しかし、有彩が演じ、監督たちの手によって、日本で新たなナノが誕生しました。
それは、これまでのナノとは異なる、唯一無二の存在です――ぜひ、その目で確かめてください。この“転校生”は、すでに私に強い印象を残しました。次は、世界の番です。仲島さん、おめでとうございます。
仲島:タイ版のナノが世界中から愛される作品だったので、責任とプレッシャーがありましたが、この言葉を聞いてほっとしました。
――ゲスト俳優・安達祐実さんからの質問「この世のものとは思えない透き通った透明感は、一体どんな仕組みなのか聞いてみたいです(笑)。
仲島:そんなことをおっしゃっていただけるなんて、本当に恐縮です。現場では、緊張しすぎて全然お話ができなかったんですけど、安達さんは存在感やオーラがものすごい方。それがどんな仕組みなのか、逆におうかがいしたいです。
――「episode6. 探しものは何ですか?」で共演した西山蓮都から、遊園地シーンでのハプニングエピソードが。
西山:撮影中、風が強かったこともありコーヒーカップを回したら、何回も風船が顔に当たってしまい、そのたびに何度もやり直しました。
仲島:ハイスピードだったので、後半は三半規管がやられてヘロヘロになってしまいました。
畑中:クレームですかね(笑)。いいシーンにはなったんですけど…。
――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
堤:初めてドラマを撮るような純粋な気持ちで臨みました。そうしないと主役に失礼なのかなと。シリーズとしては、人の心の闇を浮かび上がらせる鏡としてナノが存在しており、不思議かつ恐怖の面もあり、「そうだよね」と共感を覚えるところもあり。毎回、変化球を投げてくる楽しみな作品になっていると思います。
ユ:私は、ナノの魅力はギルティ・プレジャーであることなのかなと思っています。その魅力を感じていただきたいです。
畑中:各話30分くらいですが、各話いろんな表情をしているのが魅力。それを楽しんでほしいです
熊切:すごく丁寧にこだわって作った作品ですので、ぜひFODでご覧になってください。
仲島:さまざまな社会の問題が題材になっていますし、必ず共感できる部分や心に刺さるところが一つはあると思います。それを探すためにも全話通して見ていただきたいです。
