突然ですが、みなさん。難易度は非常に高いんですが、いったん、このドラマのタイトルを忘れて、次のあらすじを読んでみましょう。
絶対、絶対に、このドラマのタイトルを思い浮かべてはいけませんよ??!!レッツ・トライ!!
主人公の一条颯太(近藤頌利)は金融庁で働くエリートサラリーマン。容姿端麗で、仕事もでき、同僚たちからの信頼も厚いのだが、どこか満たされない日々を送っている。
そんなある日、亡くなった祖母から“タイムカプセル郵便”が届き、赴(おもむ)くまま、都会の喧騒(けんそう)を離れ、祖母(ジュディ・オング)の家へと向かう。すると、そこで出会ったのは、青果店を営んでいる祖母の友人・三木真尋(ゆうたろう)と、祖母が残した珍しい海外のスパイスたち、そして一冊のレシピノートだった。
一条は祖母に導かれるように、残されたスパイスとレシピノートで、“ある料理”を作り上げる――。
うん、絶対無理!!
自分であらすじ書いときながら笑っちゃってたもんね。むしろ、言われれば言われるほど(自分で言ってんだけど)、より一層タイトルが強調されるようだったし、むしろタイトルが引き立つような、逆に悪意すら感じさせるようなあらすじ、書いちゃってたもんね。“満たされない日々”とか“赴くまま”とか、タイトルと重ね合わせるだけで深み倍増する…。(何が!?)
そうです。このドラマのタイトル。それは…、
『全ラ飯』!!!!!
いくら“金融庁のエリートサラリーマン”で“容姿端麗”というイイオトコドラマ風情を醸(かも)し出そうとも、いくら物語のきっかけが“祖母から届いたタイムカプセル郵便”というノスタルジックであろうとも、いくら最終的に“ある料理”が完成し深夜の飯テロドラマの体裁を整えようとも、このドラマのタイトルは『全ラ飯』。そのすべてを、“ラ”、によって見事に吸いきってしまう、大吸引力パワーワードタイトルドラマ、それが、『全ラ飯』なのです。
クリエイター各位の会議室想像するだけでご飯3杯いけそうです!!
しかもみなさん、なぜ『全ラ飯』の“ラ”が、カタカナなのか、ご存じでしょうか?うん、それは、「全裸」というそのものズバリで言っちゃうことによる軋轢(あつれき)、コンプライアンス対策ではないのです。公式のイントロダクションによると、『全ラ』の“ラ”とは、裸(ら)(=自分に正直に)であり、LOVE(ラブ)であり、LIFE(ライフ)でもある、それらを集約した、“ラ”!!なのです。
裸でラブでライフの“ラ”!!なのです!!ちゃんと意味が、あるんです!!決して “ゼンラ”という響きだけで視聴者を引きつけようとするあさましい魂胆、安直さからくるものではないのです!!!!!…。
でも…うん…。“裸”であり、“ラ”ブであり、“ラ”イフでもある、それが…『全ラ飯』…。
意味わからん!!!意味不明すぎるトリプルミーニング!!!(特に自分に正直=裸、の部分)このドラマの企画会議で、ホワイトボードに、『全ラ飯』の“ラ”は、裸でありラブでもありライフでもある、の、“ラ”でいきましょう!!とか言っちゃってるクリエイター各位の会議室想像するだけでご飯3杯いけそうです!!
と、のっけから僕の方が意味不明ですが、僕は基本的にドラマのあらすじなどは事前に一切入れず、唯一の手がかりである“タイトル”だけで想像を膨らませて第1話を鑑賞する…が信条なのですが…だって先入観を持たず、すべての情報をドラマの中だけで吸収したいじゃないですか?
だけど、ここまでタイトルが主張してくる…いや、ドラマを凌駕(りょうが)してくる…いや、邪魔してくる…いいや、いい意味でドラマを邪魔をする作品(いい意味で邪魔をするって何!?)があったでしょうか?前クールの、タイトルはキャッチーでありながら、その実リアルな夫婦のあり様を描いた『忍者に結婚は難しい』なんてかわいいもんですよ。
だってこちとら『全ラ飯』ですよ?仕事はできても『全ラ飯』。イケメンだろうと『全ラ飯』。都会で田舎で『全ラ飯』。うまい料理も『全ラ飯』。何はなくとも『全ラ飯』…なのですから。さまざまな機微を、物語を、映像を、丁寧に紡げば紡ぐほど『全ラ飯』がつきまとって、すべてを『全ラ飯』へと昇華させてしまうドラマ、それが『全ラ飯』!!!(もう『全ラ飯』言いたいだけ)。
そうです(何が!?)。このドラマ、冒頭の「あらすじ」にちょっとだけつけ加えるとしたら…。どこか満たされない日々を送っている【が、そのストレスを“全裸”で食事をすることによって発散させている。】と、残されたスパイスとレシピノートで、“ある料理”を作り上げる――【が、それを、“全裸”で食う。】そんなドラマなんです(どんなドラマだよ)。
とにかく、どんなに些細で何気ない出来事だって、“全裸で食する主人公”というパワーフックによって、さまざまな意味を浮かび上がらせてくれる…。自分に正直に(=裸)、生きること=“ラ” イフの素晴らしさを、気づかせてくれる…。そんなドラマなのです!!!(って自分で書いといて笑っちゃってる)
でもってこのドラマ、祖母の実家で知り合った真尋くんとのBL要素…つまり、ボーイズ“ラ”ブも加わるという、欲張り過ぎもいいとこな展開も見せるそう(第1話の段階では、それが芽吹く程度…)。ね?なんか、わかんないけど、見たくなってきたでしょう? ね??(興味くらいはわいたでしょ??ね??)
特に秀逸なのは、一条颯太演じる近藤頌利の造形美
うん、とはいえ、なことより何よりも(今まで何だったの)、このドラマの主人公・一条くんの造形の素晴らしさですよ。
さっきから何度も連呼してますが、このドラマのタイトルは『全ラ飯』。だもんで、“裸”も“ラブ(BL)”も“ライフ(人生の素晴らしさ)”も“飯”も表現しなければならないわけです。だけど、裸になることのいやらしさ、ラブ(BL)になることのあざとさ、ライフを描くことの仰々(ぎょうぎょう)しさ、飯を食らうことの生々しさ、そのどれもが、絶妙な塩梅(あんばい)で成り立っているのです。だって、それらのどれかが過剰になれば、ただのタイトル先行ドラマ、“出オチ”でしかなくなってしまうでしょう?
なかでも特に秀逸なのは、「キャー!イケメンが裸だわ♡」と「裸で食することの変態性」のバランス感覚。「裸♡」と思わせた次の瞬間「こいつやべぇ」とも思わせるんだけど、「さもありなん」と、いとも簡単に軌道修正させてしまう、一条颯太演じる近藤頌利の造形美ですよ。
「キャー裸♡」だけではただのおかずドラマだし(おい!)、「やべぇ」だけでは共感も何もないドラマだけど(どうしたって共感はできないんだけど)、「さもありなん」=「こういう人だっている」=「どんな人だって尊重し合える社会」、そう!それこそが多様性=ダイバーシティ!!!
と、うまくしまったところで(しまってない!)、最後に疑問なんだけど、一条くんは普段、ランチはどうしてるんだろうか?いや、違った、“ラ”ンチはどうしてるんだろうか?(“ラ”言いたいだけ)職場周辺で食すランチは、もちろん裸にはなれないのだから、そのときはきっと、ストレス感じながら食事してるわけだよね?食欲を満たす行為=ストレス発散のはずなのに、裸になれないストレスを感じてしまう主人公……(鼻息)(妄想し過ぎ!)。この先、一条の“ラ”ンチ事情は描かれるのか?!!(僕が変態なだけ)
あと、今作の英タイトル(世界配信する気です!!)『Naked Dining』って、考えた人、天才かよ!!英語にしてもしっかり残るキャッチーと変態性!!たまらん!!(何が!?)。
ともあれ、第1話を見たら、絶対に続きを見たくなることうけあいです!!