いま、TikTokを中心にじわじわと広がりを見せている謎の楽曲『ケバブのダンス』。
2020年に誕生したこの曲は、中毒性のあるリズムとキャッチーなフレーズ、そしてゆるく踊れる振り付けが相まって再び注目され、SNS上で“再発見ヒット”として拡散しています。

この楽曲を手がけた音楽クリエイター・ハヤシユウさんに、めざましmediaが取材。曲が誕生したきっかけや制作秘話、そして約5年半越しのバズについて話を伺いました。

“あの人に”に届いた!ようやく喜びを実感した瞬間

リリースから5年半越しにバズるも、なかなか実感できなかったというハヤシさん。
しかし、2025年12月下旬。

©︎あのTikTok

タレントのあのちゃんが『ケバブのダンス』を音源とした動画を投稿すると、ハヤシさんは自身のXで…

ハヤシユウさんが2025年12月26日に投稿したX
「2020年に出した曲が5年の歳月を経て注目され始め、あのちゃんに届いたことをここに報告します。#嬉」

と投稿し、喜びをあらわにしました。

その時のことについてハヤシさんは…

――あのちゃんに曲が届いた時はどんな気持ちでしたか?

12月からバズり始めて、TikTokerの方やアイドルの方とかも踊ってくれていたのですが、ただ自分がそういう方達に疎くて…。そんな中、テレビに出ているような方で、あのちゃんがおそらく一番最初に踊ってくれたかなと思うので、すごく特別な嬉しさがありました。

あとは、人に説明する時にも「あのちゃんが踊っていた曲だよ」と言えば一瞬で伝わるので、ありがたかったです。

『ケバブのダンス』MVより

――もし東京に住んでいた頃にバズっていたら今でも東京で活動していたのでしょうか?

よっぽどライブやメディア出演が増える、とかでなければ変わらず小豆島へ引っ越していたと思いますね。

――こうして注目されてきたからこそ、改めてここを聴いて欲しい!というポイントはありますか?

TikTokではサビの15秒バージョンが流行っているのですが、この曲は歌詞が一番推しポイントなので、Aメロから最後まで聴いてもらえたらうれしいなと思います。

ショート動画で切り取られた一部分だけでなく、物語のように展開していく“意味があるようでない世界観”こそが『ケバブのダンス』の真骨頂。
その全体像を、ぜひ通して聴いてほしいと語りました。
 

次はアニメ?みんなのうた? 広がる未来図

約5年半越しの“再発見ヒット”となった『ケバブのダンス』。その反響を経て、ハヤシさんは次にどんな楽曲を思い描いているのでしょうか。

――次はどんな曲を作りたいと思っていますか?

バズはもう特に狙っていなくて、今はただただ自分が作りたいものを作るというスタンスでやっているので、次もやりたいことをやるだけです。

少し優しくて、親しみやすい曲調に、きれいなメロディーやハーモニーが重なっている。そのバランスが、自分らしさなのかなと思っているので、これからはそんな自分の“味”を出したいなと思っています。

写真:小黒 恵太朗

そんなハヤシさんは、実は2023年頃から“ハヤシユウ”名義ではなく、別名義「おしりちぎりパン」での活動をスタートしています。

――「おしりちぎりパン」名義でも活動されていますが、なぜ2つの名義で活動されているのでしょうか?

ハヤシユウ名義で曲を作りすぎてしまって…。本当は最新の曲を聴いてほしいのですが、『ハヤシユウ』で検索すると、歌ものやフリーBGMなど、いろいろな作品がたくさん出てきてしまうんです。そうすると、新しく知ってくれた人が昔の曲だけを聴いてしまうのが、ちょっともったいないなと思っていて。

一度ポートフォリオを整理して、数を絞って、“このアーティストの曲なら全部いい”と思ってもらえる形にしたかった。それで新しい名義を作りました。

バズの有無にかかわらず、自分の音楽をどう届けるかを真剣に考え続けてきた姿勢がうかがえます。
そんなハヤシさんが、この『ケバブのダンス』がきっかけで活動の幅が広がるとしたら、挑戦してみたいことは何なのでしょうか?

――これをきっかけに活動の幅が広がるとしたら、どんなことをやっていきたいですか?

今は特に話が来ているわけではないですが、アニメソングやNHK『みんなのうた』とか、チャンスがあったらやってみたいです。テレビでみんなが知っている曲というのもやってみたいです。

――確かに、『みんなのうた』は合いそうですね。

そうですね。やってほしいというのはよく言われます。

ゆるくて、不思議な歌詞。けれど耳に残り、気づけば口ずさんでしまう――。
偶然のようでいて、計算と遊び心が絶妙に重なって生まれた一曲『ケバブのダンス』。5年半の時を越えて、花開いた“再発見ヒット”。その先にあるのは、バズを追いかける音楽ではなく、“ハヤシユウの味”を大切にした音楽づくり。

あの優しくて親しみやすい歌声が、新たなステージへと広がっていく日も、そう遠くないのかもしれません。