「は~、かっこいい…(うっとり)」

ドラマを見ている最中、ずっと興奮気味に「かっこいい…」を連発してしまいました。

あ、すいません。「かっこいい」というのは、主演のディーン様ではなく、岩ちゃんでもなく、なんなら蔵之介さんでもありません。

演出がずっと「かっこいい」んです。

アンティークを基調にしたセットや、“東京”を強く意識したロケーションなど、映像の見た目のかっこよさはもちろん、目を奪われる画角、揺らめく光と影、紡がれるシーンのつなぎ目、そしてセリフの抑揚やどうしてそこで傘をさすの!?なんていう細かい演出のつけ方まで、何から何までかっこいい!!

あまりのかっこよさにドラマのオンエア前にアップしなければならない試写記事だというのに、映像を頂いたこないだの夜から、掲載に間に合わなくなりそうな日曜深夜(つまり月曜)まで、繰り返しずっと見ちゃいました。社会人としては失格です。

そんな興奮状態の中で思い返す、一番の「かっこいい」は“主人公の自己紹介”。

テレビドラマの第1話はチェックしたい要素がたっぷりあります。例えば、オープニングカットはどんな映像か?どのように主人公を登場させるのか?自然にキャラクターを紹介できるか?第2話への引きは?などなど…。この作品はそのどれも気が利いていてかっこいいのですが、特に主人公の自己紹介=名前の登場シーンが実にさりげなくて「かっこいい」んです。

例えば田村正和主演の『古畑任三郎』シリーズは、冒頭のシーンでカメラ目線になり自己紹介するのがお馴染みで、木村拓哉主演の『HERO』では、主人公の趣味と名前を“通販のコールセンターへの電話”で一気に伝えるといううまいやり方で紹介しました。

ではこの『シャーロック』はどの段階で、どんな風に主人公の名前を紹介するのか?

かつてないびっくりするタイミングと、とってもさりげない方法で登場するので必見です。

そして何より「主人公の名前」が紹介されたときに初めて「そんなこと気にする余地、全くなかったわ…」と物語に入り込んでいた自分に気付くので、余計かっこいいが倍増します。

もちろん主演のディーン様も、岩ちゃんも、蔵之介さんも当然かっこいいです。かっこいい映像の中に、どうしたってかっこいいお三方がいるわけですから濃縮還元の最高密度でかっこいいです。

ディーン・フジオカさんが演じる主人公は、他の多くの謎解きドラマと同じく、頭脳明晰でありながら変人でエキセントリック…なのに大袈裟で漫画チックなキャラクターに全くなっていない、一人歩きしていないし“世界観”の中にしっかり溶け込んでいる!改めて“ディーン・フジオカ”が唯一無二の俳優だな、と感じました。

最後に、一番謝罪しなければならないことがありました。それは僕が『シャーロック・ホームズ』シリーズを読んだことがないということ。ドラマ『シャーロック』のコラムを書くからには本家を知ってこそ…というのには違いありません。とはいえ後悔なんてしていませんよ!だってこんなにも興奮できたから!だけどきっと本家を知る方も、いい意味で『シャーロック・ホームズ』を忘れてしまうくらい没頭してしまうドラマになっている…と思うんだけどなあ。

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)