誉獅子雄(ディーン・フジオカ)は、若宮潤一(岩田剛典)とボクシングの試合観戦。ボクシングのこととなると熱くなる獅子雄が飛ばすキツい野次に辟易する若宮は帰ろうとするが、獅子雄に無理矢理引き止められウンザリ顔。この日のメインイベントは、二階級制覇の世界チャンピオンである梶山裕太(矢野聖人)の初防衛をかけた注目の戦い。観客のボルテージも最高潮となる中、その時を迎えた。
しかし、リングアナウンサーが派手にコールするも、梶山は一切姿を現さない。異様な状況に観客がどよめき始めると、梶山の急病による試合中止のアナウンスが。騒然とする観客席を後に、獅子雄は若宮の制止も聞かず梶山の選手控室へと入って行ってしまう。すぐに獅子雄は、梶山の急病は嘘と見抜き、ボクシングジム会長の石橋卓也(金子ノブアキ)に梶山を出せと迫る。その時、江藤礼二(佐々木蔵之介)が現れ、梶山の行方を捜していると言う。
一時間ほど前に、近くの坂で、ある男性の遺体が発見され、付近で梶山が目撃されていたのだ。世界チャンピオンから一転して殺人事件の重要参考人となった梶山は一体どこへ消えたのか? そんな中、獅子雄は、梶山の控え室に置かれたプレゼントの山の中に、女性物の傘を見つけ目を輝かせる…。
殺害されたのは村川正雄。過去に公園のアスレチック用具を故意に切断して怪我人を出し、障害と器物損壊で起訴されていた。死体の顔面にはボクサーの手によるような複数の殴打痕があり、目撃証言も合わせると梶山への疑いは深まる。だが、獅子雄は控室で見た女性物の傘が事件の引き金になったと若宮に話す。獅子雄は傘にカードの封筒がついていたが、カードは抜き取られていたことを確認していた。獅子雄はレオ(ゆうたろう)に傘の写真を見せ、販売した店を探すよう依頼する。梶山のジムに行った獅子雄は、石橋会長にも傘の写真を見せるが心当たりはないと言われてしまう。
ベーカーハイツで、獅子雄と若宮は江藤に経過報告。江藤は梶山と村川の接点は見つからないと言う。若宮も事件を調べていた。村川が損壊したアスレチックから転落した被害者は、祖父と孫の二人連れと、息子を連れた母親の4人。江藤には、息子連れの母親、細谷郁恵(朝加真由美)は、事故で頚椎を損傷して入院生活を余儀なくされ、昨年死亡したと話す。郁恵に夫はなく、息子の細潤(小林喜日)は祖母、優子(小島藤子)に引き取られていた。獅子雄は、潤が村川を殺害した可能性を指摘する。
若宮は郁恵に話を聞きに行く。郁恵によると、優子は結婚せずに潤を産み、父親の名前は自分にも言わなかった。また、潤を宿すまでは高校教師をしていたが、出産後に塾の教師になったと言う。その時、若宮は玄関の傘立てに梶山の控室にあったものと同じ傘を発見して、密かに写真を撮った。
獅子雄は石橋ジムに通う潤と会っていた。潤のバッグには梶山の記事ファイルが入っている。梶山が好きだからかと質問する獅子雄を潤は否定して、石橋が親切だったからだと答えた。獅子雄は梶山が村川殺害の容疑者と疑われているとも告げるのだが、潤は知らないと去ってしまう。
若宮は、郁恵の家で撮って来た傘の写真を獅子雄に見せる。さらに、若宮は潤の父親は梶山ではないかと話す。優子は高校教師だった時、梶山の担任だった。そして、優子が辞めた時に、梶山も高校を中退していたのだ。梶山が村川を襲う動機を発見したと意気込む若宮だが、獅子雄は冷めている。なぜ女物の傘が梶山に贈られたのかが分からないと言うのだ。それが何より重要だと。
梶山を指名手配にすると決め込む江藤に、獅子雄は冷静に、村川と接触した裏も取らずに進めれば警察の失態となると語った。目撃情報を頼ろうとする江藤。だが、獅子雄は梶山が現場に行くところを目撃されたことに疑問を抱いていた。梶山のような有名人が人を殺害しに行くなら普通は他人に見られないようにするだろうと言うのだ。そして、獅子雄は、梶山は殺害しに行ったのではなく、誰かを止めるためではないかと続けた。
獅子雄がジムに行くと、石橋が梶山から届いたと一通の手紙を見せる。そこには謝罪と死んで詫びると書かれていた。差出人の名前がない手紙だが、文面から梶山しかいないと言う石橋。そして、獅子雄は江藤に何やらメールし、石橋を連れ出した。
獅子雄が石橋を伴ったのは後楽園ホール。待っていた江藤に、手紙を渡す石橋。江藤が知っていることを全て話すよう促すと、石橋は話し始める。
村川は梶山が好きだった女性、優子を殺した犯人だと石橋が明かす。また、石橋は大学生時代に優子の友人だった。優子は担任している生徒にどうしようもないワルがいると、梶山を石橋に託す。だが、一年ほど経過した時、梶山の子を妊娠したと打ち明けられた。梶山はボクサーとして名を上げ始めた時期だったため、優子はお腹の子供とともに自ら去って行った。優子に口止めされた石橋は、子供のことを梶山には伏せる。
梶山は、自分が誕生日にプレゼントした傘を優子が取ってくると行ったまま戻らなかったことに傷ついていた。その後、梶山はボクシングに打ち込み、チャンピオンまで上り詰めたのだ。
ところが石橋のジムに潤がやって来る。潤の素性を調べた石橋は、優子が死んだことを知る。それを、試合前日に梶山に伝えた。それで梶山は、村川への復讐を考えたのではないかと言う石橋。しかし、獅子雄は石橋をリングへ上げた。リングに上がった石橋は客席に梶山を見つける。獅子雄は、梶山は無事で手紙は自分が書いたと言いだす。獅子雄は、試合の日に石橋がやったことを真似しただけだと告げる。そこに江藤がボロボロになったカードを持って来た。そこには、母の恨みを晴らす、と、いかにも潤が書きそうなことが書かれている。読み上げた獅子雄が、君が書いたのではないね? と、別の観客席に目をやると、若宮に連れ添われた潤がいた。獅子雄はプレゼントの傘を置いたのは石橋だと決めつけた。
カードを読んだ梶山は、潤を止めに行った。だが、潤の姿はなく既に村川は死んでいた。そして、獅子雄は村川を殺害したのは石橋だと突きつける。動機は好きだった優子を奪われ、ボクシングでも自分を乗り越えて行った梶山への嫉妬だと言う獅子雄。もはや、石橋に否定することは出来なかった。